スーパーフォーミュラ 第11戦・第12戦鈴鹿

苦労人の知られざる壮絶な過去。SFルーキーイヤーで大活躍のイゴール・オオムラ・フラガが涙ながらに明かす「それを全部乗り越えてきた」

2025年スーパーフォーミュラのルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたイゴール・オオムラ・フラガが、国内最高峰の舞台にたどり着くまでの壮絶な苦労を涙ながらに語った。

戎井健一郎

編集: 2025/11/23 13:00

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Igor Fraga, PONOS NAKAJIMA RACING

写真:: Masahide Kamio

 2025年のスーパーフォーミュラが閉幕した。ルーキードライバーの中で最多得点者に与えられる同年のルーキー・オブ・ザ・イヤーは、文句なしでイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)となった。

 第3戦もてぎでの3位表彰台を筆頭にコンスタントにポイントを稼いできたフラガは、鈴鹿での最終ラウンドで躍動。第11戦で優勝を争い2位を獲得すると、翌日の第10戦では初優勝。最終戦も4位で終え、77.5ポイント獲得のランキング6位でシーズンを終えた。今季は数多くのルーキードライバーがエントリーしたが、フラガの成績に肉薄できたドライバーは誰もいなかった。

 日系ブラジル人ドライバーのフラガは、幼少期は日本の石川県で育ち、その後家庭の事情で両親の母国ブラジルへと移り住んだ。それからは経済的な問題もあり、F1を目指すレーシングドライバーとしての王道を進むことができなかったが、参戦したカテゴリーの多くで結果を残し、グランツーリスモの世界王者にも輝くなど非凡な才能を見せつけてきた。

 しかしフラガは2020年にFIA F3を戦った後、数年間レースを戦えない時期があった。そのため2022年秋に再来日して日本で活路を見出すことになるのだが、スーパーフォーミュラへのステップアップには2年を要した。その間スーパーフォーミュラのアンバサダーを務めてレースの現場には関わっていたが、人知れず悔しい思いをしていたという。

 フラガはシーズン閉幕後の記者会見で、次のように語った。

「今シーズンは自分の存在感を示すことがすごく重要だったと思います」

「過去にカートでやり合った選手がスーパーフォーミュラやスーパーGT・GT500、海外などで活躍していたり、ジュニアフォーミュラでやり合った選手がF1に行ってたりしている中、『なんで自分はレースができていないんだ』と思ったのが2年前でした」

「2023年の開幕イベントに参加した時、みんな(参戦ドライバー)のカッコいいプロモーションビデオが流れて、めちゃくちゃ悔しい思いをしました。今年乗ることができて、育成出身ではない、メーカーに関係していない自分にとっては、このチャンスは絶対に無駄にできないと思っていました」
 
「意地を見せてやるしかないと思っていたので、本当に嬉しいです。やっとトップと遜色ないパフォーマンスを出せたと思っていますし、来年どうなるかは分かりませんが、チームと一緒に良い仕事ができればと思っています」

 途中から感極まり、声をうわずらせて話していたフラガ。彼は第10戦で優勝した際、ウイニングランで号泣していたと明かし、その際には「親がどれだけ苦労して僕をここまで来させてくれたか」が脳裏をよぎったと話していたが、当時の苦労について改めて尋ねた。

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 前述の通り、フラガは経済的に恵まれた家庭ではなかったが、両親はそれでも息子の夢を応援し続け、かなり無理をしていたようだ。

 フラガは再びあふれる涙を拭いながら、次のように語った。

「自分は裕福な家庭ではありませんでした。カートに乗っている時には、親が週5や週6で働いている中、毎週末石川県から琵琶湖(スポーツランド)や関西まで、深夜までかけて連れて行ってくれました」

「レースができなかった時にも、チャンスを与えたいと諦めないでいてくれました。銀行から借金もしてくれたんです」

「アメリカに行った時も、自分と父でクルマのメンテをして、メカのコストを抑えていました。でもシーズンの最後までは支払いができなくて、シーズン終わりのテストには、自分が乗っていたクルマに別のドライバーを乗せて、そのクルマのメンテをしたこともありました」

「それを全部乗り越えて今があるので、感謝しきれないです」

 記者会見場を、温かい拍手が包んでいた。

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