「泣きそうになりました」福住仁嶺、ついにF1ドライブの機会手にする。欧州で夢破れたあの日から8年……レースに対する“熱”が再燃
ハースF1チームのTPCへの参加が決まった福住仁嶺は、オファーを受けた時は驚き、「泣きそうになった」という。
写真:: FIA Formula 2
5月のスーパーフォーミュラ第5戦鈴鹿でトヨタ移籍後初勝利を挙げ、ROOKIE Racingに初の優勝をもたらした福住仁嶺が、7月に富士スピードウェイで行なわれるハースF1チームのTPC(旧車テスト)でF1マシンを初ドライブすることになった。その福住が、同じくTPCに参加する坪井翔と共にメディアセッションに臨み、その心境を語った。
鈴鹿での優勝後に舞い込んできたTPCのオファーを「すごく驚きましたし、泣きそうになりましたね」と振り返る福住。今ではトヨタのドライバーとして国内トップカテゴリーを戦う福住だが、かつてはホンダの育成ドライバーとしてF1を目指して戦っていた。
GP3(現FIA F3)では2年目の2017年にランキング3位に。しかし翌年ステップアップしたFIA F2では大苦戦し、F1への夢はここで潰えることになる。福住はF2でアーデンに所属したが、DRSが閉じなくなったり、アライメントが狂ってまともに操舵できない状態でのレースを強いられたりと、トラブル頻発の厳しい環境に晒された。この時の福住は大きくショックを受け、モチベーションを保つのも難しかったという。
「モチベーションという意味でも一番キツかったシーズンでしたし、レースに対する思いもだいぶ変わってきてしまっていた瞬間でもありました」
福住は悲劇的な8年前のシーズンをそう振り返った。
「ただ、トヨタに移籍させてもらってから、色々と自分の中でも変わるものがありました。チームのおかげでスーパーフォーミュラで久しぶりに優勝させていただくことができ、こういうお話をいただいた……という流れです」
「(TPCのオファーを受けた時)電話をスピーカーにして喋っていたのですが、いつも自分を支えてくれている家族もその場にいて聞いていたので、みんなですごく喜びました」
ここ数年、自身の中で何か変化があったことを仄めかした福住に、変わったのはレースへの向き合い方か、それとも違う何かか問うと、彼はこう表現した。
「よりアツくなってきているなという感じです(笑)」
「自分の中でも、レースに対する思いが色々とあります。(スーパーフォーミュラでは)ダンディライアンで優勝させてもらった後、経験をもっと積みたいと思ってスリーボンドに移籍させてもらいましたが、そこからうまくいかないシーズンを過ごしました。色々と凹みそうになる瞬間もありましたが、ここまで諦めないで頑張ってきたからこそ、今こういうチャンスをいただけたんだなと。そういった思いです」
福住がGP3時代に名門ARTグランプリでチームメイトだったドライバーは、シャルル・ルクレール、アレクサンダー・アルボン、ニック・デ・フリーズ、ジョージ・ラッセル、ジャック・エイトケン、アントワーヌ・ユベールの6名。F2での事故でこの世を去ったユベールを除いた5人全員がF1出走経験があり、そのうちルクレールとラッセルはグランプリウイナーだ。
福住はそんな環境で戦っていただけに、自分がF1にたどり着けなかったのは悔しい気持ちがあるとしつつも、「当時そこで戦った人たちや、僕のことを知っている海外の方々にまた注目してもらえるチャンスでもあると思うので、非常に大事なテストになるんじゃないかなと思います」と意気込んだ。
坪井「人生の中であと何回F1に乗れるかは分からない」
写真: Motorsport.com Japan
また、昨年の富士TPCでF1マシンを初体験した坪井も、2年連続での参加となる。既にシルバーストンでのTPCも経験するなど、F1に乗る姿も板についてきている。
ただ坪井としても、F1ドライブのチャンスが今後も続いていく保証はどこにもないと気を引き締めており、しっかりと自分にできる仕事をしたいと意気込んだ。
「やはり1回目(のテスト)は夢が叶った瞬間でしたし、何よりも楽しむことを一番に、F1はどういうものかを噛み締めていました」
「ただ、もう3、4回乗っているので、僕としてはどういう仕事ができるかを評価されていると思います。速く走るのも当然ですが、コメントだったり、プログラムされたことをいかにちゃんとこなすかが大事になってくると思います。そこはしっかり集中していきたいです」
「とはいえ、F1に乗れるチャンスがこの先の人生で何回あるかは分かりません。チャンスを掴めるかもしれないし、掴めないかもしれない。次が最後になる可能性だってあると思うので、夢の舞台をしっかり噛み締めつつ、しっかり走りたいです」
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