SF開幕ラウンドで多くのドライバーが訴えた「エンジンが吹けない」症状、原因は大雨と長時間のSCラン、そして車両の構造か
もてぎで行なわれたスーパーフォーミュラの開幕ラウンドでは、「エンジンが吹けない」と訴えるドライバーが多く見られた。これはエンジンの吸気口に水が大量に侵入してしまったことが原因である可能性が濃厚のようだ。
写真:: Masahide Kamio
モビリティリゾートもてぎで開催されたスーパーフォーミュラ第1戦・第2戦では、特に雨のレースとなった土曜日の第1戦でエンジンの不調を訴えるドライバーが多く出た。ただ彼らは一様に「エンジンが吹けない」と訴えた一方で、それは一時的かつランダムに出る症状に過ぎず、リタイアなどの致命的なトラブルに発展するマシンもなかった。この時何が起きていたのだろうか?
ホンダ・レーシング(HRC)の佐伯昌浩氏は、これらの症状は雨の影響でエンジンに水が入り込んだことが原因の可能性が高いと説明した。ドライコンディションとなった日曜の第2戦では、午前中の予選の走り出しだけは、前日と同じ症状が出ていると無線で報告するドライバーが数名いたものの、それ以降コンプレインはなし。これは、その時点では何らかの要因で水分が残留していたと考えると説明がつく。
「水がエンジンに入ってくることで、通常とは違った回転上昇になったのではないかと思います」
「“ミスファイア”という言葉の定義も難しいのですが、回転が全く上がらなくなるとか、大きなカットが入る状態ではなく、何サイクルかおきにうまく燃焼していない状態でした」
スーパーフォーミュラではこれまでにも雨のレースは数多くあったが、なぜ今回これほど多くのドライバーが不調を訴えたのか? これには複数の要因がありそうだが、そもそも現行車両のSF23は雨天時にエンジンに水が入ってしまいやすいような構造になっているという指摘もある。
第1戦で「エンジンが吹けない」症状が出ていたと話していたドライバーのひとりである岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)は、こう語っていた。
「聞いている話では、ホンダ勢に限らず全車に症状が出ているわけですよね。ということは、それこそクルマの構造的にも雨が入ってくる要素があるということだと思いますし、そこが影響していると思います」
サイドポッド上の吸気口
写真: Motorsport.com Japan
SF23では正面から見て左側のサイドポンツーンに、NREと呼ばれる2L直4ターボエンジンに空気を取り込むための、四角形の吸気口が設けられている。ただ、形状と位置的にウエットレースでは雨水を取り込みやすいのだと佐伯氏は説明する。
さらに先日の第1戦はかなりの雨量に見舞われた上、セーフティカーランが長引いて長時間スロー走行を強いられた。これらの要因も重なって、多くのドライバーが異常を感じとることになったようだ。
佐伯氏は言う。
第1戦は非常に雨量が多くなる時間帯もあった
写真: Masahide Kamio
「SF23はサイドポンツーンに長方形の吸気口があるのですが、そこに全部(雨水が)流れ込んじゃうんです。フロントタイヤが巻き上げた水も入っていくし、サイドポッドの上の方からうまく流れ込むような形になってしまっています」
「そうすると、そこに入ってきた水がコンプレッサーの前のフィルターボックスの中にどんどん溜まっていくんです。これだけ大雨が降っていて、スピードも遅い中ですからね」
「そうして溜まっていった結果、今度はそれがコンプレッサーからインタークーラーへ、インタークーラーからエンジンへと入り込んでしまいます。アクセルを踏んで過給圧がかかった時に一緒に水も吸い上げて、エンジンの中に水が入っていくんです」
これについて岩佐は、水を取り込む量は各車様々な要因によって異なるため、第1戦の決勝レースでは少し運の要素もあったと語った。
「マシン間で雨を取り込む量、吸っちゃう量は絶対に変わると思います。そこでエンジンのバラつきの差が出たりしているので、正直……不平等と言えば不平等ですよね。そこは運じゃないですかね」
「(雨を取り込む量の差は)色々な要素が関係していると思いますが、ある意味ゲームのような感じでしたね」
佐伯氏は対策として水抜きのドレーンなどを付ければ解決できるとしたが、当該箇所は共通部品であり、「現状そこは触らないことになっています」とのこと。ただその一方で、「ちょっと対策しないとまずいですね。そこはこのクルマの課題かな」とも述べた。
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