スーパーフォーミュラ

ウエットタイヤスタートの真相……KCMG松田監督「勝ちを狙いにいった結果」

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ウエットタイヤスタートの真相……KCMG松田監督「勝ちを狙いにいった結果」
執筆:
2019/10/28 8:20

2019スーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿。carrozzeria Team KCMGの小林可夢偉はまたしても変則的な戦略でレースに臨んだ。

 鈴鹿サーキットで行われた2019スーパーフォーミュラ最終戦。16番手スタートの小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)はドライ路面にも関わらずウエットタイヤでスタートする戦略を敢行。松田次生監督は逆転優勝を狙いに行った作戦だったと語った。

 決勝スタート前に各車がスリックタイヤを装着する中、16番グリッドの小林はウエットタイヤを装着。この光景に来場したファンや関係者たちは驚きを見せた。

 前回の第6戦岡山からタイヤ交換義務を消化できる“ピットウインドウ”が設定されたが、小林はスタート直後の1周目にミディアムからソフトに交換すると、ピットウインドウ内のレース後半に再びタイヤ交換をし新しいソフトタイヤに履き替えた。

 この戦略はレギュレーション違反ではなかったものの、この一件を踏まえて最終戦では、7周完了時点から最終ラップに入るまでの間に“異なる種類のタイヤ”を装着しなければならないという記述が加えられ、同じ戦略が採れなくなってしまった。

 そこで小林を始めcarrozzeria Team KCMG陣営はウエットタイヤでスタートし1周目でピットイン。そこからソフトタイヤで最後まで走りきるという戦略を考え出した。

 通常なら前述の通り、ソフトとミディアムの2種類のタイヤを1度ずつ使用しなければならないが、ウエットタイヤを使用した場合は2スペック制の義務は“適用外”となる。チームはそこに目をつけたのだ。

 しかし、松田次生監督に話を訊くと、正直“やりたくない作戦”だったと語った。

「正直あまりやりたくない作戦ではありました。でも、チャンピオンの可能性が残っていて、“勝つこと”を前提に考えたら、あの作戦しかなかったです。あの状況で、セーフティカーが(ピットウインドウがオープンする)7周目までに入れば、トップに立てるという計算でした」

 見栄えとしては、決して良いものではない戦略ではあるものの、松田監督はあくまで“勝つため”、“逆転チャンピオンへの少ないチャンスをものにするため”に選んだ最善の策だったという。

「トップに立つということを考えると、あれ以外は正直選択肢はなかったです。ここで少ないポイントを獲ってもチャンピオン獲得は無理なので。ドライバーとエンジニアが『可能性があるのなら、それに懸けてみよう』と言って臨んだんですが……全くセーフティカーが出ないレースになってしまいました」

「毎回、(レース展開とは)逆の戦略になってしまっているなと思いました。開幕戦は最後まで引っ張って、何もなければ勝てたレースだったんですが、4回もセーフティカーが出ました。でも今回は全く出なかったですね……」

 結局、頼りにしていたセーフティカー出動の展開にはならず。さらに最後はガス欠でスロー走行状態となり、小林はポジションをふたつ落として12位でフィニッシュとなった。

 松田監督は険しい表情を見せたものの、勝つために選んだ結果だったということもあり、後悔しているという様子はなかった。

 それでも、こういった奇襲作戦を今後採らないようにするためにも、予選でのペース改善が急務だと語った。

「あまりカッコよくない戦略でしたが、やっぱりレースなので、勝てる可能性がある限り、レギュレーション的に問題がないのであれば、自分たちは最後までやり切らないといけないなというのはありました。僕もその判断に対して『やってもいいんじゃない?』と答えました」

「でも、一番は予選でもっと速いクルマを作らなければいけません。そこがなかなか出来なくて、結局こういう奇襲作戦を採らなければいけないというのが、一番のダメなところでした」

「別にトップからスタートできるのであれば、あんな作戦は採らないですからね」

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この記事について

シリーズ スーパーフォーミュラ
イベント 第7戦:鈴鹿
ドライバー 小林 可夢偉
執筆者 吉田知弘