【スーパーフォーミュラ】TEAM MUGEN、新体制には意外なメリットも? 結束力武器にタイトル目指す
2022年シーズンのスーパーフォーミュラでは2台体制を敷くTEAM MUGEN。チーム内部にも変化があったが、そこにはメリットも多いようだ。
写真:: Masahide Kamio
2022年のスーパーフォーミュラは、鈴鹿サーキットでの公式テストを無事終え、各チームが開幕に向けて一歩一歩準備を進めている。その中でテスト直前に大きなサプライズとなったのは、TEAM MUGENが2台体制で参戦するということだ。
TEAM MUGENは昨年、野尻智紀を16号車のドライバーとして走らせていたが、一方で大津弘樹が走らせるレッドブルカラーの15号車に関しては、TEAM GOHとのジョイントという形で“Red Bull MUGEN Team Goh”というエントラント名となっており、形式的には別チームという扱いになっていた。
そして2022年からは、TEAM GOHが単独エントラントとして2台体制を敷くことを発表。レッドブルとのジョイント体制もTEAM GOHが引き継ぐ形となり、TEAM MUGENは野尻の1台体制で2022年シーズンを戦うものと見られていた。
しかし鈴鹿テストを目前に控えたタイミングで、TEAM MUGENは15号車のドライバーとして笹原右京を迎え入れると発表し、2台体制を敷くことを明らかにした。
「ポテンシャルを上げ続けるためには、2台体制は重要です。1台体制だとデータは限られますし、私としてはなんとか2台にできないかとチームやホンダとも相談しまして、1台体制と2台体制のメリットとデメリットについてお話しさせていただきました」
そう語るのは、昨年の王者である野尻。笹原の加入による2台体制の実現にあたっては、スポンサーをはじめ多方面からの尽力があり、それも自身のモチベーションに繋がっているという。
昨年の15号車はエンジニアリングやメンテナンス、マネージャーまであらゆるメンバーがセルブスジャパンのメンバーで構成されていたが、今季そのセルブスは、TEAM GOHの運営を担当することになる。そのため、今季から15号車のスタッフは全てM-TECのメンバーとなり、同社がスーパーフォーミュラに割く人員は単純計算で2倍となる。ただ、野尻もその点は心配していないようだ。
「今年はTEAM MUGENとして2台体制なので、エンジニアさんやメカニックさんの仕事量もかなり増えてくると思います。TEAM MUGENはスーパーGTにも参戦しているので、その点でよりハードになると思います」
「とはいえ、全ての人が『絶対にチャンピオンになる』という強い思いを持っているので、仕事の大変さがマイナスに働くことはないと思います。重要なのは、チーム全体がチャンピオンを見据えてシーズンを戦えるかだと思いますし、何も不安はありません」
野尻を担当する一瀬エンジニアも、不安を感じていない様子。「(スーパーフォーミュラとスーパーGTを)兼任するスタッフを増やしたというだけですから、むしろ戦力増強できているんじゃないかと思います。個のパフォーマンス、経験値は高いです」と語る。
また一瀬エンジニア曰く、新体制には他にもメリットがあるという。昨年までは一瀬エンジニアもセルブスジャパンの所属であり、16号車のエンジニアとしてM-TECに“出向”するような形となっていた。しかし今季から一瀬エンジニアもM-TECの所属となったことで、情報共有が円滑になったようだ。
「昨年の16号車は、私がセルブスからエンジニアとして参画していただけで、メカニックやマネージャーさんも全てM-TECでした。実質僕がM-TECに出向しているような状況でした」
「今まで僕がセルブスの人間として担当させていただいていたので、M-TECのエンジニアと“ツール”を共有できなかったんですよね」
「“ツール”とは、セットアップなどの計算をするツールのことです。例えば、お互い同じセットアップに関する計算をしたとしても、僕は(M-TEC側の)ロジックを知らなかったんです。僕の下についてくれているパフォーマンスエンジニアやデータエンジニアは、それぞれツールを作ってやってもらっていました」
「今年のエンジニアは小池(智彦)をはじめとする主要なメンバーは社内で揃えていて、同じ計算ソフトを使っているので、『こういうクルマにしよう』という話し合いもしやすくなりました。僕としてはすごくやりやすいですね」
名前が挙がった小池エンジニアは、昨年まで一瀬エンジニアの下で働き、今季から笹原担当となる。「実は彼、去年と一昨年のルーキーテストも僕とポジションを入れ替えて野尻号を担当したりしているので、問題ないと思います」と一瀬エンジニアは言う。
その笹原はスーパーフォーミュラ、スーパーGT共にTEAM MUGENとの付き合いが長いが、「ファミリーのような感じです。みんなで戦っていくぞ、という感じが強いです」とチームの印象を語る。その結束力を武器に、ドライバータイトル連覇、そして昨年届かなかったチームタイトル獲得なるか注目だ。
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