数々のバトルに競り勝ち3度目の戴冠、山本尚貴「ちょっと長く感じた40周だった」
2020スーパーフォーミュラ第7戦で3度目のチャンピオン獲得を決めた山本尚貴は、フェアに戦ってくれた平川亮とニック・キャシディに感謝した。

富士スピードウェイで行なわれた2020全日本スーパーフォーミュラ選手権の第7戦で3度目のシリーズチャンピオンを決めた山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が、白熱した戦いとなったレースを振り返り、長い40周だったと語った。
3番手スタートだった山本だが、序盤からタイトル争いの最大のライバルである平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が食らいつき、接近戦のバトルを展開。特に途中のピットストップを終えた後は2台が激しく順位を奪い合うなど、近年のスーパーフォーミュラでは滅多にみられないような白熱したバトルを展開。さらにレース後半にもニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)とお互い一歩も譲らないサイドバイサイドのバトルを繰り広げるなど、終始闘志あふれるレースを披露した。キャシディの先行は許したものの、平川の前となる5位でフィニッシュした山本は、自身3度目となるスーパーフォーミュラ王者を決めた。
「40周とはいえ、真後ろに直接のライバルである平川選手がいたということで、非常にプレッシャーのかかる、ちょっと長く感じた40周でした」
そう語った山本。やはり平川とのピットストップ直後のバトルが、このレースのハイライトだったという。
「あの時はすごく興奮してましたね。(ピットアウトした時)まさかあんなにすぐ後ろに来ているとは思いませんでした。タイヤウォーマーがあったとはいえ、路面温度が下がっていたので、タイヤを温めるのはすごい難しかったです。あそこが今日の一番のハイライトだったと思います」
「前に出られたら正直抜き返せないと思っていたし、彼(平川)もそれが分かっていたから、前に出てなんとか抑えたいと考えていたと思うんですけど、おそらく僕の前に出るためにOTS(オーバーテイクシステム)をかなり使っていたと思います。僕が1コーナーでオーバーテイクした時には、彼は(OTSを)使えない状態で、僕が使ってオーバーテイクしました。OTSを使えれば抜けると思っていたので、そこは予定通りでした」
「ものすごくフェアに戦ってくれました。ストレート上でのウィービングだったり進路の変更だったり、細かいところを言えばきりがないですけど……だけど絶対に(チャンピオンを)獲りたいと思っていたからこそのあの動きだったと思います。だけど絶対に一車身残してフェアに戦ってくれました。それは素晴らしいところだと思います」
壮絶なバトルの末、平川からポジションを守り抜いた山本だが、レース後半はキャシディがチャンピオン争いをする上で一番のライバルだという意識をもって走っていたという。
「ストレートを走っていて、大型ビジョンにニック選手がずっと映っていました。おそらく彼がピット(ストップ)を遅らせて、単独で走ってペースがいいからカメラに抜かれているんだろうなと思い、今のターゲットはニック選手になるんだろうなというのは感じていました。ただ彼は勝たないとチャンピオンになれないということは分かっていたし、彼に前に出られても、平川選手を抑えればチャンピオンを獲れると分かっていたので……冷静に40周を走れたかなと思います」
数々のバトルを繰り広げて3度目のチャンピオンを獲得した山本は、史上初となる2度目の国内トップレース二冠を達成した。山本は最後までフェアに戦ってくれたライバルに感謝しつつ、このチャンピオン獲得の喜びを噛み締めていた。
「3度目のシリーズチャンピオンを獲得することができ、またスーパーGTと合わせて2度目のダブルタイトルも獲得することができ、非常に嬉しく思っています」
「平川選手には……正しい言葉が出てこないですけど、今年1年、スーパーGTもスーパーフォーミュラも、彼が直接的なライバルとしていてくれたからこそ、僕も自分の能力を最大限発揮しようと思えました。彼は嬉しくないと思いますけど、本当に彼には感謝しています。彼の存在が、僕の能力を引き立ててくれたので……“ありがとう”と言いたいです」
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