昨年味わった悔しさを晴らす快進撃、山本尚貴「杉崎エンジニアがいなかったら勝てなかった」
2020スーパーフォーミュラ第5戦鈴鹿。予選から決勝まで完璧に近いレース運びをみせた山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、この快進撃を可能にしたマシンを作り上げてくれたチームと杉崎エンジニアに感謝していた。
山本尚貴 Naoki Yamamoto(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
Masahide Kamio
鈴鹿サーキットでの2020全日本スーパーフォーミュラ第5戦でポール・トゥ・ウィンを飾った山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は、昨年の最終戦鈴鹿で見せられなかった力強い走りを今回発揮することができたことが、一番大きかったと語った。
午前中の予選では1分34秒533をマークし、従来のコースレコードを1.4秒も上回る速さをみせてポールポジションを獲得した山本。決勝ではスタート前からトラブルやアクシデントが各所で続出したが、それに全く動じることなく、序盤から後続をリードする走りを披露した。
セーフティカーが3度も出動する大荒れのレース展開となったが、山本は残り2周で1分37秒850のファステストラップを記録。後続を全く寄せ付けない走りで今季初優勝を飾った。
以前から鈴鹿では他を寄せ付けない強さをみせる山本だが、今回はDOCOMO TEAM DANDELION RACINGに加入して初めての鈴鹿戦勝利となった。特に同地で行なわれた最終戦では思わぬ苦戦を強いられて、タイトル獲得を逃しただけに、この勝利は色々な思いが詰まっている様子だった。
「同じ鈴鹿サーキットで同じような時期で、昨年はお互い悔し涙を流した1戦でした。今年はこうして勝つことができて、リベンジをしっかりとできたということで……エンジニアの杉崎(公俊)さんには頭が上がらないです。今回は杉崎さんが用意してくれたクルマが素晴らしくて、彼の頑張りなくして、この勝利はなかったです」
レース後、motorsport.comの取材に応じた山本は、昨年からタッグを組んでいる杉崎エンジニアと、今大会に来るまでの出来事も披露してくれた。
「今年ここに来るまで、結果が悪いわけではなかったんですけど、チームの中でより良くするための話し合いがあったりした中で、ちょっと(チームと)ぶつかり合うこともありました。その中で、お互いの本音を言い合ったからこそ、杉崎さんと僕の中ではかなりの結束力が生まれて『絶対に今回は勝とう!』と約束して、ここに来ました」
「得意な鈴鹿だからこそ、昨年の最終戦では全然うまく走れない感覚がありました。それはTEAM MUGENで調子よく走っていた頃のフィーリングが体の中にあって……申し訳ないけど、(昨年の最終戦は)あの時のフィーリングとはかけ離れていたし、合わせ込むことができませんでした。そこが何なのかをずっと杉崎さんと話し合ってきて、いろんなアイディアを出して、今に至っています。今回はその全てが組み合わさって、この鈴鹿で素晴らしいパフォーマンスを発揮できるクルマを作り上げてくれました」
「杉崎さんも僕もスーパーGTのレースがあったりして、かなりタイトなスケジュールの中で、スーパーフォーミュラの鈴鹿で戦えるクルマをSUGOとオートポリスの経験、あと悔しい思いをした昨年の鈴鹿を踏まえて、クルマを作り込んでくれましたし、今回のターゲットタイムも予想して準備をしてくれたので……本当に杉崎さんがいなかったら勝てなかったです。今までの勝利の中でも、トップ3に入るくらい嬉しかった勝利です」
今週末はダブルヘッダーということで、この第5戦で鈴鹿大会が終わりではない。この結果でドライバーズランキング首位に躍り出た山本だが、第6戦ではライバルが挽回して来ることを予想しており、それに負けないように“より良いクルマ”を作りたいと、気を引き締めていた。
「決して流れは悪くないと思っていますし、これがベースであれば十分に戦えると思っています。ただ、ライバルも差を詰めてくると思います。だから、僕も今回のレースで満足することなく、もうちょっと良くするにはどうすればいいかを考えて、第6戦に臨みたいなと思っています」
「予選でも1分34秒前半を出して、決勝でも1分38秒台でラップできるようなクルマを作らないと勝ちきることはできないかなと思っています。これに浮かれることなく、第6戦に向けてしっかりと集中し直して、また杉崎さんをはじめエンジニア・チームのみんなと勝てるクルマを作っていきたいです」
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