スーパーフォーミュラ

TEAM MUGENとの複数年契約を異例の公表。ドライバー評価の“見える化”に野尻智紀が寄せる期待「トップ選手の姿を知らないと、これからの選手が強い意志を持てないのでは」

スーパーフォーミュラで、TEAM MUGENと複数年契約を結んだことが発表された野尻智紀。ドライバーの契約条件などを公表することには、業界全体にとってもプラスの効果があると考えている。

戎井健一郎

公開日時: 2023/11/25 3:42

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Tomoki Nojiri, TEAM MUGEN

 11月23日、TEAM MUGENは2024年シーズンのスーパーフォーミュラで野尻智紀と岩佐歩夢を起用することを発表した。しかも2021年、2022年のシリーズチャンピオンである野尻に関しては、チームと複数年契約を締結したことが公表されるなど、国内レースの体制発表としては異例のケースと言えた。

 そもそも、スーパーフォーミュラやスーパーGTにおける体制発表は、基本的に各自動車メーカーの参戦計画発表時に一括で行なわれることが通例となっている。例えばホンダの場合は、モータースポーツ活動計画発表の中で、スーパーフォーミュラやスーパーGTに参戦するホンダ系チームのドライバーラインアップがまとめて発表されるといった具合だ。

 ただ今回に関しては、HRC(ホンダ・レーシング)とTEAM MUGEN、そしてドライバーの野尻と岩佐がそれぞれ早い段階で相互に合意したということもあり、このように早いタイミングでの発表となった。野尻の今までの通例が悪かったとは思っていないとしながらも、「(発表のタイミングに)こういった幅が出たりすると、この冬の時期におけるファンの方の楽しみも増えると思うので、僕個人としては良いことかなと思います」とポジティブな感想を口にした。

 2021年、2022年とスーパーフォーミュラで連覇を果たし、2023年シーズンも3勝を挙げて、1戦の欠場がありながらトップと8.5ポイント差のランキング3位でシーズンを終えるなど、シリーズを代表する選手となった感がある野尻。新たなシーズンに向けては、いちアスリートとして自身の評価についてHRCやチームと話し合いをした結果、思いが合致し、自身初となる複数年契約の締結が決まったという。

 このように、国内レースを戦うドライバーの具体的な契約条件が公表されたのはレアケースだと言えるが、野尻としては、トップドライバーの契約条件を少しでもオープンにすることにはポジティブな効果があると考えている。というのも彼は、将来のモータースポーツ界を担うであろう、そしてその道中で様々な壁にぶち当たるであろう若手レーシングドライバーのことを想っているのだ。

「これからプロを目指すような選手たちは、今までレーシングドライバーの姿を正しく把握することができなかったと思います。だからこそ、こういうものを少しずつ公表、発表できたらと思っています」

「金額に関しても将来的に出すことができれば、盛り上がる瞬間もあるかもしれません。そういうところまで見せるのは、全てが良いことばかりではないと思いますが、これからを担う選手がトップの選手たちの姿を知らないと、より明確で強い意志も持てないと思うんですよね」

「僕自身、キャリアの中でいくつも分岐点があったんですよね。辞めようか、続けようかと。その時に手に入れられる情報が少ないと、自分自身で決断をしにくいんじゃないかと思いました」

「今はそういうところが漠然としていて、ほぼほぼ見えていない状況だと思いますが、そこが明確になれば(若手ドライバーが)もっと高いモチベーションを持てるかもしれないですし、選手同士がより切磋琢磨して、それがモータースポーツ全体の盛り上がりにも繋がるかもしれません」

■既に2連覇を達成も、変わらず自分を追い込む

 TEAM MUGENが野尻の経験とフィードバック能力に期待している一方で、「このチームならチャンピオンが獲れる」と、TEAM MUGENの妥協を許さない姿勢に絶大な信頼感を置いている野尻。先日、チームの母体である株式会社M-TECを訪問したことで、その信頼がより強固なものになったという。

「M-TECの会社の中を見せていただき、色々な担当部署の方とお話しさせていただく機会がありましたが、どこも“一緒”なんですよ」

「ものづくりをやっている方たちもすごく高い意識でやっていましたし、これがTEAM MUGENなんだと思いました。より信頼が増したというか……一瞬一瞬をかけて戦う僕たちからすると、すごくありがたいですよね」

 2023年は中嶋悟以来となるトップフォーミュラ3連覇を逃し、来季は仕切り直しのシーズンとなる野尻。ただチャンピオン獲得以外で達成感を感じることはないということを、今年身をもって知ったといい、チャンピオンだけを目指して戦うと意気込んだ。

 スーパーフォーミュラで既に2度チャンピオンを獲得していることは心の余裕に繋がるのか? それともタイトル獲得が至上命題となることで、逆にプレッシャーになるのか? そう尋ねると、野尻はある程度追い込まれた状況でないと結果は出せないだろうと語り、初タイトルの2021年シーズンは実は“崖っぷち”の状態であったことを明かした。

「(気持ちが)楽になっていたら、タイトル取れないんですよね」

Photo by: Masahide Kamio

「実は最初にチャンピオンを獲った2021年は、もし(タイトルが)獲れなかったりしたらそれが最後になるかもしれない……そういう状況の中でシーズンがスタートしました。ずっと結果を残せていなかったので、『今年良くなかったら、その先は分からない』といったようなことを言われていたんです」

「あの時と同じようなパフォーマンスを出そうと思ったら、ある程度追い込まれていないといけないのかなと。ずっと負けていた中でチャンピオンになって、また負けて……という中で思うのは、強い自分をどう引き出していくかが大事だということです。できない自分を認めつつも、ちょっとずつちょっとずつ、頑張ろうと思っています」

 

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 宮田莉朋&平川亮の離脱が確定的なスーパーフォーミュラのトヨタ陣営、来季は大幅シャッフルか?

次の記事 野尻智紀が明かす、海外進出に対する複雑で“アンバランス”な感情。現状関心あるカテゴリーはない一方「挑戦したいという気持ちはあります」

More from

戎井健一郎



DENSO SARD、SUGO戦は今年も勝利まであと一歩届かず。「燃料の問題がなければ、優勝争いできたはず」とフェネストラズ

スーパーGT

スーパーGT

第6戦:SUGO

5 日前

DENSO SARD、SUGO戦は今年も勝利まであと一歩届かず。「燃料の問題がなければ、優勝争いできたはず」とフェネストラズ



タイヤ無交換で19番手から2位! GT300王座争い大量リードのリアライズ。しかしオリベイラ「こんな“ジョーカー”毎戦使うわけにはいかない」

スーパーGT

スーパーGT

第6戦:SUGO

6 日前

タイヤ無交換で19番手から2位! GT300王座争い大量リードのリアライズ。しかしオリベイラ「こんな“ジョーカー”毎戦使うわけにはいかない」



GT500ホンダ陣営、怒涛の3連勝でプレリュードは“シビック超え”。ランキングも2〜4番手に「最強パッケージに全力でチャレンジしていく」

スーパーGT

スーパーGT

第6戦:SUGO

6 日前

GT500ホンダ陣営、怒涛の3連勝でプレリュードは“シビック超え”。ランキングも2〜4番手に「最強パッケージに全力でチャレンジしていく」

最新ニュース



「誇りに思える週末だった」ラッセル、バクー勝利で自信ついた! 残りレース全勝計画ブチ上げる

F1

F1 F1

アゼルバイジャンGP

6 時間前

「誇りに思える週末だった」ラッセル、バクー勝利で自信ついた! 残りレース全勝計画ブチ上げる



WEC富士、レース終盤に衝撃のクラッシュ……マクラーレン720Sがメインストレートのガードレールに激突! その原因は”側面”スリップストリームだった!?

WEC

WEC WEC

Fuji

6 時間前

WEC富士、レース終盤に衝撃のクラッシュ……マクラーレン720Sがメインストレートのガードレールに激突! その原因は”側面”スリップストリームだった!?



トヨタ8号車が富士6時間を制す「最終コーナーを立ち上がるまで分からなかった」平川亮、0.591秒差で母国勝利

WEC

WEC WEC

Fuji

7 時間前

トヨタ8号車が富士6時間を制す「最終コーナーを立ち上がるまで分からなかった」平川亮、0.591秒差で母国勝利



激走マルタンス、平川亮とトヨタを苦しめる「あと1〜2周あれば……彼らの母国で、抜いてやりたかったな!」|WEC富士6時間

WEC

WEC WEC

Fuji

7 時間前

激走マルタンス、平川亮とトヨタを苦しめる「あと1〜2周あれば……彼らの母国で、抜いてやりたかったな!」|WEC富士6時間

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録