“講師と生徒”の関係から、チームメイトに。野尻智紀がスクール時代に感じていた岩佐歩夢の才能「どうして曲がらないのか、それを正しく判断できていた」
2024年のスーパーフォーミュラでは、岩佐歩夢がチームメイトとなる野尻智紀。スクール時代に講師として、“生徒”である岩佐の走りを見ていた野尻は、どういった点に才能を感じていたのか?
岩佐歩夢が、2024年からスーパーフォーミュラに舞台を移すことが決まった。過去2シーズン、FIA F2でランキング5位と4位を獲得し、スーパーライセンスの発給条件となるポイントも既に満たした岩佐が、F1昇格への“最終試験場”に向かうべく、日本に戻ってくる。
そんな岩佐とTEAM MUGENでチームメイトになるのが野尻智紀。野尻は2021年、2022年のスーパーフォーミュラ王者であり、2023年シーズンも1戦を欠場しながら最終戦までタイトル争いを繰り広げ、ランキング3位を獲得した。岩佐にとっては手強いライバルであると同時に、チームメイトとして心強い存在となるであろう。
4輪カテゴリーに本格参戦して以降は基本的に海外でレースをしてきた岩佐だが、野尻とは“はじめまして”の関係ではない。岩佐がホンダからのスカラシップサポートを受けて渡欧するきっかけとなった2019年の鈴鹿サーキット・レーシングスクール(SRS/現ホンダ・レーシングスクール鈴鹿)、そこで講師を務めていたのが、当時既にスーパーフォーミュラで活躍していた野尻だった。
「すごく丁寧というか、感性もすごくある印象でした。来年も、僕が教えなくても普通に優勝争いやチャンピオン争いをすると思います」
当時の印象を踏まえつつ、そう語った野尻。一方で岩佐はSRS時代の野尻との思い出を「僕が1セッションでも野尻さんの前の順位で終えると、次のセッションでは一気に抜かれてしまいました。本当にいつも、いじめられていたという印象なんです」と冗談混じりに話していた。
岩佐のコメントについて「大変でしたよ」と野尻は笑う。
「彼らは速いので、相当プッシュしないと彼らの刺激にもならないし、講師として居る意味がなくなってしまいます。だからこそ当然、本気で走る時も何度もありました。講師としては、もう少しゆっくり走ってほしいなと思うくらいで(笑)。そのくらい速かったです」
最終的には同年のSRS-Formulaを主席した岩佐だが、野尻は講師としてその走りを見る中で、岩佐の修正能力の高さを感じとったという。
「ミスをミスだと、走りながらちゃんと分かる能力があったと思います。そして、『次はどう走ろうか』というところがすごく理解できるんですよね。『次の周、やっぱりそうやって走るよね』というか……乗り始めた直後からそういう部分があったので、伸びるだろうなと思っていました」
「走りながら直せるかが非常に重要だと思います。一度(ピットに)帰ってから教えてもらって……だとすごく時間がかかってしまいますし」
「例えば、クルマを動かしすぎて曲がらないという状態になっていたとして、人によっては次の周はもっと動かしてきて、クルマを振り回すようにして走らせる人もいるわけです。そうなると瞬間的にオーバーステアは出るかもしれないですが、曲がらないという症状は消え切らないです。(岩佐は)なんで曲がらないのか、なんでスライドしてしまったのか、それを正しく判断して、次の周に反映させることができていたなという印象です」
来季の野尻と岩佐はチームメイトでありながら、お互いにシリーズタイトルを争うライバルとなる。ただ野尻は2023年シーズンのリアム・ローソンの時と同じく、チームメイトに対して自分の知識を隠すつもりはない。特に32歳でスーパーフォーミュラ初王座と遅咲きの部類に入る野尻は、自らが現在身に付けているスキルを今の若手ドライバーがもっと早い段階で習得できれば、より“完成された”ドライバーが生まれるのではないかと考えている。
「今僕たちが持っている経験って、そんなに大それたものではないのだと思います。これをもっと広めていけば、選手たちがもっと完成された状態になるんじゃないかと思っていますし、だからこそ、HRS(ホンダ・レーシングスクール鈴鹿)にも長く携わらせていただいています」
「岩佐選手は日本のサーキットをほとんど走っていないんですよね。初めて走るサーキットだと、『こういうところに“トラップ”がある』といったことが分からないと思うので、そこに足を取られないようサポートをしたいと思います」
「コース内では戦えばいいですが、コース外で戦う必要は全くないですし、彼ら(岩佐サイド)が高いパフォーマンスを出しやすい環境を作る手助けができればと思います」
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