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クールな大嶋和也がSF引退発表で男泣き。1分以上の沈黙から捻り出した思い「ワガママを言って『もう1年』とお願いして良かった」

今季限りでのスーパーフォーミュラ引退を発表した大嶋和也は、会見の中で号泣。その涙の理由について語った。

Kazuya Oshima, docomo business ROOKIE

写真:: Motorsport.com / Japan

 スーパーフォーミュラ参戦100レース目を迎えた大嶋和也(docomo business ROOKIE)が、今季限りでのシリーズ引退を表明した。会見で号泣した大嶋が、涙の理由について語った。

 7月19日(土)に富士スピードウェイで行なわれたスーパーフォーミュラ第6戦の後には、『大嶋和也100レース記念会見』なる会見がセッティングされていた。参戦ドライバーの節目の記録を祝う会見という点では違和感はないのだが、ここ最近100戦を迎えたドライバーが記念会見を開いた事例はない。そしてレース後のミックスゾーンではメディアに対し、会見前の大嶋には第6戦以外のことを聞くのは控えるよう通達があり、会見の時間が近付くと、ルーキーレーシングの豊田章男オーナーやドライバー仲間らが会見場に集まるなど、“普通ではない”空気が漂っていた。

 その答え合わせは、会見での代表質問が佳境に入ったタイミングで訪れた。

「せっかくお祝いの場を作ってもらったんですけど、僕自身、今季限りで(スーパーフォーミュラを)降りようと思っています」

「応援してくれるファンの皆さんにもなるべく早く伝えて、最後までレースを見てほしいと思い、この場で引退を発表させていただきました」

 大嶋は、2009年にトムスから当時のフォーミュラ・ニッポンにデビュー。2010年にはSUGOで初優勝を飾った。以降はブランクも挟みながら参戦を続け、2020年からは新規参戦のルーキーレーシングに加入。以降は1台体制の新興チームで奮闘を続けた。

 自身にとってフォーミュラカテゴリーは「ワガママを貫く場所。自分のプライドを貫き通すために、色々ワガママを言わせてもらった」と表現した大嶋。引退表明後、改めてその意味を問われた大嶋は言葉に詰まるようになった。「フォーミュラを降りたいと思うタイミングは何回もありましたが、やっぱり結果が出ていなかったので、今降りたら一生後悔するだろうなと……」と言ったところから、顔を紅潮させて涙を目に溜めた。

写真: Motorsport.com Japan

 続いた沈黙は合わせて1分以上に及んだ。その中で大嶋は言葉を振り絞り、本来は昨シーズン限りでの引退を考えていたものの、「チームオーナーにワガママを言って、もう1年だけやらせてほしいとお願いした」と明かした。

 “ラストシーズン”と心に誓った今シーズン、その思いを知ったチームと共に大嶋は奮起。2年前に記録した4位は超えられていないが、ここまでの6戦で入賞4回、6位2回というリザルトは、ルーキーレーシング発足史上最高水準の成績だ。

「辛い思い出ばっかりですが、今年のレースはここまで全部楽しく走れました。ワガママ言って、もう1年お願いしてよかったです」と大嶋は語った。

 “100レース記念会見”の冒頭では、「僕はあんまりそういうの(節目の記録)に興味はないんですけど……(苦笑)」「(思い出のレースは)そんなにないんですけど……」と、いつも通りクールに淡々と話していた大嶋だったが、引退を発表してからは人目をはばからず男泣きを見せた。その涙の理由について、彼はこう答えた。

「降りることに対する未練のようなものは特にありませんが、結果が出ない中で皆さんがずっと支えてくれたことに感謝しています」

「今日も良いレースができました。本当はもっと上を目指さないといけませんが、今の僕たちにできる最高のレースができたので、ホッとした気持ちもあります」

「そして、これまで結果が出ない中ですごく悔しい思いをしてきました。それが終わるのだと思うと、色々と気持ちが揺れてしまいました」

 トップフォーミュラでの勇姿は今季限りとなるが、スーパーGTなど他カテゴリーへの参戦は続ける。大嶋は「フォーミュラで戦うことはプレッシャーが大きいというか、重荷にもなる」として、肩の荷がひとつ降りる今後は新たな取り組みにも着手したいと語った。

「モリゾウさんが僕にやってくれたこと……僕のようになかなか器用じゃない人たちの中でも、頑張っている人がたくさんいますから、そういう人たちの支えになれるように時間を使いたいです」

 

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