“神頼み”も虚しく、不運の連鎖は続く……大湯都史樹、鎖骨骨折に意気消沈。SF第6戦出場をギリギリまで模索するも叶わず

トレーニング中の怪我により、スーパーフォーミュラ第6戦を欠場することとなった大湯都史樹。あまりにも不運が続く現状に、本人も言葉少なであった。

Toshiki Oyu, TGM Grand Prix

 大湯都史樹にとって、度重なる不運を払拭するはずだったスーパーフォーミュラ富士ラウンドは、“不運の上塗り”によってまさかの結末となった。

 新天地のTGM Grand Prixで今シーズンを迎えた大湯は、第2戦富士で3番グリッドを確保すると、第3戦鈴鹿ではチームに初のポールポジションをもたらした。そして第5戦SUGOでは2度目のポールを獲得するなど、予選では全ドライバー中1〜2を争うポテンシャルを見せている。

 

Photo by: Masahide Kamio

 しかし、決勝では流れが味方しないレースが続いた。第2戦富士ではバトル中のオーバーシュートが響いてタイヤトラブルに見舞われ、戦線離脱。第3戦鈴鹿は野尻智紀(TEAM MUGEN)と、第4戦オートポリスは阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)と絡み、いずれもグラベルの上でレースを終えた。そして第5戦SUGOはフロア破損に見舞われたことでリタイアとなった。

 今度こそは悪い流れを払拭したい。そんな中で迎える第6戦富士は、事前テストでも確かな手応えを掴んでおり、文字通り流れを変える一戦になる可能性があると本人も感じていた。しかしレースウィークの月曜日、トレーニング中にアクシデントがあり、右側鎖骨を骨折。レースを欠場する運びとなった。

 あまりの流れの悪さに、負傷する数日前にはお祓いにも行っていたという大湯。「お祓いに行ったばかりに……こうなってしまいました。厄をもらってしまったのかもしれません(笑)」と苦笑する。いつものように柔和な表情でインタビューに応える大湯だったが、その口数はいつもより明らかに少なく、まさかの事態に意気消沈している様子が伺えた。

 三角巾で腕を吊るという痛々しい姿で搬入日のパドックに現れた大湯だが、チームのプレスリリースに「なんとか走行可能なコンディションを確保するために最大限の努力をした」と記されているように、実はギリギリまで出場の可能性を模索していた。

 実際にマシンに乗り込み、「頑張れば乗れるという雰囲気もあり、自分としては、痛いけど乗る(出場する)という判断をした」というが、こればかりは大湯の一存で決められる話ではない。「『無理させられない』という声が色々な方面からあった」ことで、欠場が正式に決まったという。

 気になるのは今後の影響だが、3週間後に迫るスーパーGT富士戦は本人こそ「出れると思います。というか、出ます」と意気込むが、やはり回復の経過次第、関係各位の判断次第という部分もあり、なんとも言えない状況の様子だ。大湯がスーパーGTも欠場するとなれば、ホンダも代役を立てる必要性が出てくるため、予断を許さない状況が続きそうだ。

「(メンタルは)保ててないですよ。長い3週間になります」と大湯は言う。彼の代役を務め、TGM Grand Prixの53号車のステアリングを握るのは、同世代のライバルでもある大津弘樹。大湯の複雑な心中は察するに余りあるものがある。「正直、現場にいたくないという感じです……(笑)」と大湯は笑顔を崩さずに語るも、憔悴した様子は隠せずにいた。

 

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