【SF】真夏の富士で2度のタイヤトラブル。横浜ゴム「詳しく調べる」
第3戦富士で発生した2度のタイヤトラブルに対し、横浜ゴムの渡辺晋プランニングジェネラルマネージャーは詳細な調査を行っていくと語った。

気温30度を超える真夏のコンディションとなったスーパーフォーミュラ第3戦富士。レース中に各所で相次いでトラブルやアクシデントが発生する波乱のレース展開となったのだが、その中でも注目が集まったのはレース中盤に起きた2度のタイヤトラブルだった。
まずは5番手からスタートし、好調なペースで3番手を走行していた山本尚貴(TEAM無限)が25周目に入ったメインストレート後半で左リヤタイヤがバースト。なんとか1周してピットまで戻ってきたが、そのままリタイアになった。
その5周後の29周目には、山下健太(KONDO RACING)の左リヤタイヤもトヨペット100Rコーナーでバースト。ピットに帰ってくるまで時間がかかり、大きく後退を余儀なくされた。
2台とも、同じようなタイミングで同じ左リヤの内側が切れるようにバースト。2人のドライバーにその時の状況を聞くと、事前に何かしらの兆候が出ていたという。
山本は「スタートして数周してからリヤタイヤにバイブレーションを感じていました。でも、デブリを踏んだ時のような徐々に空気が抜けていくような感じではなかったです。ただ2~3周前から振動が大きくなり始めました。ピットに入ろうかどうしようかと無線でやりとりしていた瞬間にバーストしてしまいました」とコメント。
一方の山下は「セクター3を走っていた時にリヤタイヤがグリップしないなと思っていました。そのまま直線にいって、1コーナーを通過した後にタイヤの空気が抜けて内圧が急激に下がって、そのまま飛ばして走っていたのでトヨペット100Rまで来た時にタイヤが壊れてしまいました」と状況を話してくれた。
これについて横浜ゴム株式会社開発本部の渡辺晋プランニングジェネラルマネージャーは、この件について「今まさに(原因を)調べているところです。各チームにもヒアリングをして、トラブルが起きたタイヤや、細かいデータは工場に持ち帰って調べます」とのこと。
ただ、デブリを踏んでのパンクやバーストという可能性は少なく、内圧設定など、タイヤの使われ方がバーストの引き金になった可能性もゼロではないという。
「どちらのケースにも言えることは、エア漏れが始まっていたことです。エア漏れが始まったから振動が出て、エア漏れが始まったからグリップがなくなっていきました」
「2件とも同じところが壊れているので、何か(デブリ等)を踏んでパンクしたのではなくて、タイヤの限界を超えて使われた可能性もあるかもしれません。また熱は構造の材料を弱くするので、壊れやすくなります。今回も非常に暑かったですからね」
「あくまで推定ですが、どこかが壊れて、そこからエア漏れが始まってタイヤが潰れてきて、最後は大きなトラブルに至ったということなのではないかと思っています」
「当該のチームにはちゃんとご報告をして、他のチームさんも気にしているので、JRP経由で情報が伝わるようにしていきます。まずはしっかりとした原因究明を行いたいです」
昨年からスーパーフォーミュラへのワンメイク供給を開始した横浜ゴム。デブリや接触等の原因を除いてのタイヤトラブルというのは、公式戦では今回が初めて。
これについては、「初めてですね。まさかここで…という感じでした」と苦笑いするも、次のレースまでにはきっちり原因を究明して打てる対策を施していくと語った。
「タイヤがバーストしてしまうと、うちの評判も良くないので、(タイヤの限界を超えないように)内圧とかキャンバーの設定とかで対策を打っていきたいです」
取材・執筆/吉田知弘
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この記事について
シリーズ | スーパーフォーミュラ |
イベント | 第3戦富士 |
ロケーション | 富士スピードウェイ |