【SF】開幕戦タイヤ交換”1本以上”の義務。チームの戦略はどうなる?
スーパーフォーミュラ開幕戦は、レース中のタイヤ交換”1本以上”が義務付け。いつ、そして何本替えるのか、チームの判断が勝敗を左右する。

2017年のスーパーフォーミュラがいよいよ開幕した。予選も終わり、いよいよ決勝を待つばかりというところである。
しかしこの決勝レースは、一筋縄では行きそうもない。なぜかといえば、それはレース中のタイヤ交換が義務付けられているから。しかも「最低1本」のタイヤを交換しなければならなくなっているのだ。
今回定められている”特別ルール”では、1本以上なら、2本でも3本でも4本でも交換することができる。しかし、交換する本数によって、ピットストップでのロスタイムは、大きく異なってくることを意味する。
例えばF1ならば、4本全部交換したとしても、2〜3秒の静止時間でコースに復帰することができる。しかし、スーパーフォーミュラはピットイン時の作業員の人数が制限(6名)されているため、1本交換するのと4本交換するのとでは、そのロスタイムに雲泥の差が生じてしまうのだ。
この6人のうち、タイヤ交換作業に従事するのは3名。この3名で何本のタイヤを交換するのか、その判断が分かれるところになる。なおJRP(日本レースプロモーション)の発表によれば、2輪以下の交換であれば5〜8秒、4輪すべて交換すると14秒程度かかるという。またそれ以外の要素として、レース中盤で1本だけ交換すると、発熱/磨耗したタイヤのうちにひとつだけ冷え/磨耗していないタイヤが混在するということとなり、バランスを取るのが難しくなってくる可能性もある。
「1本交換というルールが非常に難しい」
そう語るのは、ヨコハマタイヤの秋山一郎開発本部長である。秋山本部長曰く「普通に考えれば、1周目に入るのがいい」という。
「トップに立ったドライバーは難しいかもしれませんが、残されるタイヤのことも考えれば、1周目に入るのが良いと思います。磨耗が進んでいないタイヤはそのまま次のセットとして使えますし」
「特に予選で後半の方になったドライバーは、1周目に入るのがセオリーかなと思っています」
レースの中盤で1本だけ換えるのは難しいだろうと、秋山本部長は語った。
「(他のタイヤは)温まってますからね。(そこに冷えたタイヤを1本だけ加えるのは)難しいと思います。とはいえ、作業できる人数が限られてますから、それとの兼ね合いだと思います」
どういう戦略を取ることになるのか、チームにも尋ねてみたところ、その反応は様々だった。
P.MU / CERUMO・INGING の浜島裕英総監督は「1周目に入る可能性が高いんじゃないですかね」と語れば、SUNOCO Team LeMansの片岡龍也監督は「1周目に入るという可能性ももちろんある」と前置きした上で、「逆に4輪全部変える可能性もあるかもしれません。レース半分で区切って、燃料も軽くして飛ばす。マシンに速さがないと、できませんけどね」とも語る。
TEAM 無限の手塚長孝監督は、「フラットスポットでも作らない限りは、4本替えるところはないんじゃないですか?」と言いつつ「まだ教えられないよ」と語る。
「というか、まだ決められないです。明日の朝、燃費を測ったりして、決めるでしょうね。もちろん、それまでにいくつかのストーリーは作っておくわけですが。そういうチームが多いと思いますよ。僕らもそうですから」
レースに動きを持たせるため、この開幕戦に導入されたタイヤ”1本以上”交換義務ルール。交換本数とタイミングは、一体どうするのか? チームの戦略と決断力、そしてドライバーの感性が、より見られることになるかもしれない。
明日の決勝レースは、”戦略面”にまずは注目だ。
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この記事について
シリーズ | スーパーフォーミュラ |
イベント | 第1戦鈴鹿 |
ロケーション | 鈴鹿サーキット |
執筆者 | 田中 健一 |