【スーパーフォーミュラ】野尻智紀、涙の初タイトル。TEAM MUGENの献身で人知れず抱えていた“劣等感”を克服
2021年のスーパーフォーミュラで力強さを見せつけ、王者となったTEAM MUGENの野尻智紀は「たくさんの人に支えられて、強くしてもらっている」と語った。
野尻智紀 Tomoki Nojiri, TEAM MUGEN
Masahide Kamio
全7戦で競われる2021年スーパーフォーミュラのドライバーズタイトル争いは、第6戦もてぎで決着。野尻智紀(TEAM MUGEN)が参戦8年目で悲願の初タイトルを手にした。
野尻が今季、開幕戦富士、第2戦鈴鹿、第5戦もてぎで勝利を挙げるなど、他の追随を許さない圧倒的なパフォーマンスを披露。ダンプコンディションとなった第6戦もてぎの決勝は序盤こそ苦しみポジションを大きく落としたものの、最終的には5位でチェッカーを受けて王座を引き寄せた。
そんな野尻も、これまでは速さを見せながらもタイトルには縁がなかった。スーパーフォーミュラには2014年にDOCOMO TEAM DANDELION RACINGからデビューし、同年にいきなり初勝利を飾るも、その後は優勝できずにいた。しかし2019年にTEAM MUGENに移籍すると、その年の最終戦でキャリア2勝目を挙げ、翌2020年もオートポリスでキャリア3勝目を記録。そして今季はさらに3勝を上積みし、悲願のタイトルに手が届いたのだ。
レース後の記者会見でも度々涙を拭う仕草を見せた野尻。レース当日の朝も3時間ほどしか寝られなかったとのことで、相当なプレッシャーが彼の肩にかかっていたことが容易に想像できる。
彼はまずレースを振り返り次のように語った。
「僕たちはドライ寄りのセットアップだった関係で、序盤のハーフウエットのコンディションではペースが上げられず、見ての通りコンサバな走りをしてしまっていました」
「関口選手(関口雄飛/carenex TEAM IMPUL)が牧野選手(牧野任祐/DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を抜いてトップ2を追いかけていったシーンを見て、弱気になっていた部分もありましたし悪いイメージが支配していました。しかし、旗を振って応援してくださる方の姿がセーフティカー中などに目に入ってきて、力になりました。何より、これまで頑張ってきたみんなの思いを乗せて走っているので、『負けてはいけない』という気持ちを取り戻すことができました」
タイトル経験こそなかったものの、ここまで長きに渡って国内最高峰カテゴリーにおけるトップドライバーのひとりとして君臨してきた野尻。本人は人知れず劣等感を感じていたという。しかし、共に高い志と熱量を持って戦えるTEAM MUGENの支えが、彼を一段と強くしたようだ。
「タイトルを獲るまでの過程を振り返ると、カート時代からたくさんの方々に力を貸してもらいましたが、僕はこれまで良い走りをすることが少なかったかなと思い、劣等感のようなものを感じていました」
「しかし、チームを移籍して、みんなに盛り立ててもらいながら、助けてもらいながら、ここまでたどり着くことができました。それを嬉しく思うと同時に、たくさんの方に感謝しないといけないなと思います」
「自分はとても弱い人間だと思うので、周りの力が全てです。たくさんの人に支えられて、僕は“強くしてもらっている”という感じです」
そして最後に野尻は、「ここから先が真価を問われる部分だと思うので、これで終わらないように、さらに力強く(最終戦の)鈴鹿を戦いたいなと思います」と力強いコメントで会見を締めくくった。
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