スーパーフォーミュラ・ルーキーテストに参加した4人の“新人”。驚速マシンSF19に何を感じたか
2021年のスーパーフォーミュラ・ルーキーテストには、4人のドライバーが参加した。彼らはSF19にどのような驚きを覚え、またどのようにマシンを乗りこなしていったのか?
鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト。その最終日はルーキー限定の走行枠として2セッションが実施され、4名のドライバーが参加した。
その4名とは、合同テストでも走行した佐藤蓮(Red Bull MUGEN Team Goh)と三宅淳詞(KCMG)、そしてルーキーテストからの参加となる平良響(ROOKIE Racing)、ジェントルマンドライバーの今田信宏(B-Max Racing Team)だった。彼らはセッション後の囲み取材に応じ、テストを終えての率直な心境を語った。
「負ける訳にはいかなかった」総合トップタイムの佐藤蓮。多くの走行距離稼ぎ確かな成長
Ren Sato, Red Bull MUGEN Team Goh
Photo by: Masahide Kamio
今回のルーキーテストで2セッションともトップタイムをマークしたのは佐藤だった。彼は合同テストから15号車で精力的に周回を重ねており、一度先輩の野尻智紀にマシンを託すこともあったが、基本的には3日間を通してマシンをドライブすることができた。そのため、ルーキーテスト最速という結果に対しても「この中では一番走行していたので、負ける訳にはいかないと思っていました」と控え目に語る。
また佐藤は、今回のテストで初めて乗ったSF19はエンジンパワーなどの面で驚きがあったものの、自分自身着実に成長することができたと語った。
「これだけの距離を走らせていただいたことに関しては、JRP(日本レースプロモーション)さんにも感謝です。とても良いテストになりました」
「エンジンパワーには驚きました。スーパーフォーミュラ・ライツの車両は(SF19と)マシン特性やダウンフォースなどで似ている部分がありますが、馬力はSF19の方が倍以上あるので、最初はアクセルワークなどに戸惑いました」
「昨日はチームメイトの野尻選手にも乗っていただき、良い比較ができました。その結果、今日は昨日より大幅にタイムを伸ばすことができました。着実に成長できていると思います」
「ただ、自分の限界はまだまだ先にあると思っているので、さらに分析していく必要があると思います」
三宅淳詞はベテランふたりのマシンをドライブ。学びを深め、今後に繋がるテストに
Atsushi Miyake, KCMG
Photo by: Masahide Kamio
三宅も佐藤同様、合同テストから参加。そこでは国本雄資とマシンをシェアしながらの走行となったが、多くの学びがあったようだ。
「僕は雄資さんとクルマをシェアさせていただきました。セットアップ作業の進め方、エンジニアさんとのコミュニケーションの仕方なども勉強できましたし、自分の良いところ、悪いところも明確になりました」
そう語る三宅。スーパーフォーミュラ・ライツ(SFライツ)では難コンディションのレースで光る速さを見せた三宅だが、合同テストではウエットコンディションでブーストのかかるターボ車を制御することの難しさも感じ取ったようだ。
また、「雄資さんや(小林)可夢偉さんと比べても、S字などでは僕の方が車速が遅く、まだ“ビビっている”部分があると思います」と語る三宅だが、その一方で「今後につながる良いテストになったと思います」とも述べた。
“ガチガチ”の初走行からすぐに順応。FIA F4王者の実力見せた平良響
Hibiki Taira, ROOKIE Racing
Photo by: Masahide Kamio
佐藤や三宅と違い、平良は3日目のルーキーテストからの参加。1回目のセッションは少しずつタイムを上げていくような形だったが、2回目のセッションでは早々に佐藤、三宅と同等のタイムを出し、最終的には1分37秒447というタイムを残した(佐藤のベストタイムは1分37秒112、三宅のベストタイムは1分37秒390)。
2020年はFIA F4で12戦中10勝を挙げチャンピオンとなり、2021年はSFライツを戦った平良。「ほんの1年前までFIA F4に乗っていた自分が、こうやってスーパーフォーミュラのルーキーテストに参加することができ、チームの皆さんに感謝です」と開口一番語った。
そんな平良も、SF19初ドライブとなった最初の走行では身体がこわばっていた感覚があったという。しかし、力を抜くことを意識してセッションを進めた結果、最終的には佐藤や三宅と遜色ないタイムを出すことができたようだ。
「最初にコースインした際は、全身に力が入っていた感覚がありましたし、“ガッチガチ”でした。帰ってきた時は息も切れていました。次の走行からは徐々に力の抜き方を覚えられたので、無駄な力を入れずに走ることができるようになりました」
“日本最速ジェントルマン”のひとり、今田信宏が2度目のSFドライブ。「人生最良の日」
Nobuhiro Imada, B-Max Racing Team
Photo by: Masahide Kamio
将来を嘱望される3人の若手ドライバーに混じって走行したのが、ジェントルマンドライバーの今田信宏。今田は2021年SFライツのマスタークラス王者に輝くなど、ジェントルマンの中でもその実力は折り紙付きだ。
今田にとってSF19をドライブするのは、2020年の富士合同/ルーキーテスト以来2度目。今年57歳を迎えた今田だが、体力的にも負荷の大きいモンスターマシンを見事に操り、1分41秒049というベストタイムをマークしてみせた。セッション後は関係者から「速かったですね」と声をかけられるも「いやいや……」と恐縮しきりだった。
「前回富士でテストに参加した時は突然の参加でしたが、今回は事前にシミュレータでそれなりに走り込んできました。しかし若手とは差が開いてしまいました。(SF19は)とにかく速いですね。それぞれのコーナーで(ブレーキやスロットルが)余っているのは分かるのですが、スピード感に負けてしまいました」
「ただ、とても良い経験で、人生最良の日のひとつになりました」
そう振り返った今田。普段ドライブできないハイスピード、ハイダウンフォースなマシンで走行することはやはり新鮮な感動があったようで、機会があればまた乗りたいと意欲を示した。
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