スーパーフォーミュラのタイヤを横浜ゴムが解説! プロが着目する“良い使い方”のサインとは?
スーパーフォーミュラにタイヤを供給する横浜ゴム。第4戦SUGOの予選を走ったばかりのタイヤを見て、彼らはどういった点に着目するのか?
写真:: Motorsport.com / Japan
モータースポーツを戦うマシンの中でも、最も重要なパーツのひとつと言えるのがタイヤだ。レースを戦い切り、ピットロードに戻ってきたマシンを見ると、タイヤのトレッド面はスタート時と比べものにならないほど荒れており、レースの激しさを物語る。
しかし長年のモータースポーツファンであったとしても、走行後のタイヤを見て、タイヤの摩耗具合やドライバーのタイヤマネジメント力を推し測るのは簡単ではないはず。タイヤのトレッド面が綺麗でないことは素人目にも分かるが、果たしてそれが『タイヤの状態が悪い、タイヤの使い方が悪い』ということとイコールで繋がるのであろうか?
それらを確かめるため、今回はスーパーフォーミュラにタイヤをワンメイク供給する横浜ゴムの協力の下、第4戦SUGOの予選を戦った実際のタイヤを使って、モータースポーツタイヤ開発部 技術開発2グループの高口紀貴氏に解説していただいた。
今回見せていただいたのは、ウエットコンディションの中行なわれたSUGO戦の予選で、とあるドライバーが使用した左リヤタイヤだ。
「まず、このタイヤを見れば、どこからどこまでの範囲でタイヤを使っているのか、どこが路面に接しているかがよく分かりますよね」と切り出した高口氏。確かに上の写真を見ると、右側(車体側)に指一本分ほどの幅でトレッド面の綺麗な箇所がある。つまりここは路面には接地しておらず、“使っていない”箇所ということになる。
ウエットタイヤでウエット路面を走る際、水膜が厚い路面ではハイドロプレーニング(タイヤと路面の間に水膜ができてしまう現象)が発生しやすい。これを回避するために、キャンバー角(車体を正面から見た時のタイヤの角度)を大きくしたり、空気圧を高くすることで部分的にタイヤの接地圧を上げると、接地面積を効率よく使えない弊害として”使ってない箇所”が出来るケースがあるのだ。
さらに高口氏はこのタイヤのトレッド面を見て「教科書的な良い使い方をしている例です」と評価した。摩耗現象という面で高口氏が着目したのは、タイヤに付着している“ゴムかす”。上の写真の中央部にも、消しゴムの消しかすにも似たようなゴムの塊がタイヤに付着しているのが確認できるだろう。
Tyre
Photo by: Motorsport.com / Japan
「このタイヤはうまい具合につぶつぶ、つまりゴムかすが出てきていますよね」と高口氏。
「うまく温度が上がってゴムが軟化して、それが路面に追従して、その路面に引き剥がされた結果、このような状態になるんです」
「タイヤのトレッド面は、(車体側と外側の)2点で支えられている“梁”のようなものです。その梁に横方向や前後方向から力が加わると、色んなバランスで梁自体が変形しようとします。その結果、一部だけブロックが飛んでいってしまったり……そういった現象が起きる可能性もありますが、このタイヤは均一に摩耗しているように見えますよね。使用条件と使用方法がうまく噛み合っているんだろうなと思います」
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