バイザーに水が……雨のレースで平川を襲ったトラブル、その背景に何があったのか?
雨の中行なわれたスーパーフォーミュラ第7戦では、平川亮(carenex TEAM IMPUL)が装着するヘルメットのバイザーに水が侵入するというトラブルが発生した。その原因や、背景にあったものは何だったのか?
写真:: Masahide Kamio
モビリティリゾートもてぎで8月20日(土)に行なわれたスーパーフォーミュラ第7戦。レース開始直前に雨が強く降り出す慌ただしい展開となったが、平川亮(carenex TEAM IMPUL)は濡れた路面に足を取られてコースオフ。逆転タイトルの可能性を残す平川にとっては、手痛いノーポイントとなった。
そんな平川はレース後、バイザーに水が侵入したことで視界が悪くなり、それがコースオフの原因になったと説明していた。
また彼は、バイザーに水が侵入した原因について次のように説明していた。
「僕たちのバイザーは曇らないように熱線が入っています。それが熱で変形して縮んだのか、割れたのかでバイザーに隙間ができてしまって、そこに(水が)入ってきたような感じです」
motorsport.comがヘルメットを供給するアライヘルメットに確認したところ、確かに平川のバイザーは熱線の影響により歪みが生じ、そこから水が侵入したようだ。
そもそも、“熱線”とは何か。電熱線とも言われるこのパーツは車のフロントガラスや家庭の洗面台のガラスなどでも使われるもので、電気を流すことで発熱して、内気と外気の温度差による曇りを解消する。メイン写真に写っているのは平川が装着する雨用ヘルメットだが、バイザーを見ると下部に白っぽいラインがあることが確認できる。これが熱線だ。
アライヘルメットは雨用バイザーの曇りをできるだけ確実に解消するため、主催者の日本レースプロモーション(JRP)の承諾の下で昨年から熱線付きのヘルメットを投入している。
スーパーフォーミュラで使われている雨用バイザーはレンズが2枚構造となっているが、平川のケースでは経年劣化の影響もあってか熱線の熱でレンズが歪み、レンズとレンズの間に隙間ができたことでそこに水が侵入して平川の視界を歪ませた、というのが事の顛末のようだ。なお、KONDO RACINGのサッシャ・フェネストラズも同レースで視界に問題を抱えていたと語っていたが、彼に関してはどうやら手違いによって晴れ用バイザーを使用してしまっていたようだ。
平川のバイザーに経年劣化が生じた背景には、いくつかの要因が関係している。そもそもこのバイザーは手作りのパーツであるため安価ではなく、それほど頻繁に交換されている訳ではない。さらに雨用のバイザーは晴れ用のものと比べて使用頻度も少ないため、逆に定期的なメンテナンスが行き届きづらい、という側面もあるだろう。
そして今回のレースでは決勝スタート15分前になって急に雨が強く降り出し、そこで各陣営が今週末初めて雨用のヘルメットを引っ張り出してきた。タラレバにはなるが、もし専有走行の段階でウエットコンディションになり、そこで雨用ヘルメットを使用していたら……そこでトラブルに気付き、対処することができたかもしれない。そういう意味では、平川のトラブルは突然の雨が生み出した産物のひとつとも言える。
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