スーパーフォーミュラ

スーパーフォーミュラの“秘密の花園”、パートナーラウンジに潜入! そこにあるのは優雅な観戦体験だけじゃない……ビジネスチャンスも満載

スーパーフォーミュラの大会中には、シリーズパートナーやパス購入者を対象としたラウンジが開放されている。そこは単なるリラックスのための空間としての役割にとどまらず、様々な価値を生み出している。

戎井健一郎

公開日時: 2026/10/21 8:07

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パートナーラウンジ

写真:: Motorsport.com / Japan

 サーキットでのレース観戦は、何も観客席での観戦に限ったものではない。サーキットにはピットビルの上の階などにガラス張りの大部屋があり、そこにはスポンサーか、VIPか、関係者か、様々な人たちが集まり、談笑しながら優雅にレースの様子を見届けている。しかし、彼らが皆グラス片手に余暇を楽しんでいるだけなのかと言われると、決してそうではない。

 7月のスーパーフォーミュラ富士戦の会期中、ピットビル2階クリスタルルームに構えられた“パートナーラウンジ”なる部屋に赴いた。このラウンジは、スーパーフォーミュラのパートナー企業はもちろんのこと、特別なパスを購入すれば一般客も利用することができる。ホームストレートからの臨場感ある景色はそのままに、雨風に晒されない空調の効いた部屋で、ケータリングを楽しみながら優雅な時間を過ごす……憧れの観戦体験と言えるかもしれない。

 訪れたのがレース前だったこともあり、基本的にはゆっくりとした時間が流れている印象を受けた。しかしそこにいる人たちの動きを観察すると、円卓を囲んで名刺交換をしている人たちがいたりと、“何か”が動き出そうとしていた。

いつもの打ち合わせや会食よりも、価値のある場所

 パートナーラウンジの利用は社内向け、社外向け、様々な観点で価値があると語るのは、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社で執行役員を務める竹井昭人氏だ。デロイト トーマツ グループはスーパーフォーミュラのオフィシャルパートナーであり、NEXT50プロジェクトのトップパートナーとして事業推進支援も行なうなど、シリーズに深く関わっている。 竹井氏曰く、ラウンジでは異業種の企業間交流ができているという。

 他社の人間と名刺を交換し、打ち合わせなり会食なりをして、「ぜひ一緒に何か面白いことをやりましょう!」とその場では盛り上がったとて、実際に何かに発展することはなかなかない……社会人経験のある方なら、身に覚えがあるのではないだろうか。しかし竹井氏は、「スーパーフォーミュラのラウンジで会う」ということが、一歩進んだ交流を実現していると説明した。

「ただ出会うというだけではなく、『一緒にレースを、スーパーフォーミュラを盛り上げることはできないか』というお題を頂いた状態で出会うような形になりますので、コラボレーションもしやすいですよね。実現する・しないは別にしても、結構手触り感のあるアイデアが出てきやすいです」

 スーパーフォーミュラの制作協力で2024年に放送されたアニメ『HIGHSPEED Étoile(ハイスピード・エトワール)』のプロデューサーを務めた佐々木ゆうろ氏は、当時キングレコードに所属していたが、その後起業。アニメと企業を繋ぐ会社、チーム・エトワール株式会社の代表として、今もラウンジに姿を見せている。

HIGHSPEED Étoileはレーシングチームとしても活動(後列左から3人目が佐々木氏)

HIGHSPEED Étoileはレーシングチームとしても活動(後列左から3人目が佐々木氏)

写真: Motorsport.com Japan

 自身を「車の免許も持っていない」「外様」と形容する佐々木氏も、ハイスピード・エトワールを手掛けていた時代からラウンジで様々な人脈を築き、現在の事業に活かしている。彼もデロイトの竹井氏同様、スーパーフォーミュラの現場では単なる打ち合わせや会食以上に価値ある時間を作れるのだと話す。

「私自身、NEXT50プロジェクトが立ち上がった頃にちょうどキングレコードでモータースポーツのアニメを立ち上げていました。クルマ業界さんと何かやりたいと思っていながらも、アニメ業界とは距離が遠く、とっかかりがないなと思っていた中でNEXT50の記事を拝見し、お付き合いのあった大日本印刷さんにJRPさん(スーパーフォーミュラ運営会社)をご紹介いただきました。スーパーGTも盛り上がっていると聞いていましたが、自分は車の免許も持っていない人間だったりするので、フォーミュラのオーバーテイクシステムなど、アニメっぽくていいなと思い(笑)」

「ハイスピード・エトワールをやる中で、様々なご縁がありました。パートナーラウンジでレースを見ていたら業界関係者さんがいらっしゃって仲良くなったり……。その他にも、シーズン後のパーティでのプレゼンを横浜ゴムさんに気に入っていただいて協賛が決まったこともありました。スーパーフォーミュラの現場では、そういったご縁が積み上がっていきました」

「今は起業をして、アニメ業界とアニメ業界の外を結び付けて色々な作品を生み出していきたい、そういうスタンスでプロデュースをしています。独立した方が外の人たちとも話しやすいかなと思ったんです」

「最近では、僕のような車の免許を持っていないような新しいファン層を獲得していくという文脈でアニメを活用したいと、お声がけをいただいています。また『車業界の方とお仕事がしたいんだよね』とアニメ系のパートナーさんからもご相談いただいたり、車関係で何か新しい事業をしたい会社さんとたまたま知り合った時に、ラウンジへお連れしたり……。今の方がむしろ多方面に活用できていますね」

「(スーパーフォーミュラの現場は)休日のゴルフに近いかもしれませんね。1日中共に過ごすことになるので、ラウンジで一緒にレースを見て、グリッドウォークにも行ったりする中で、平日に打ち合わせや会食を積み上げるよりも色々な話ができます。僕も本当に外様なので何の人脈もなかったのですが、そこで頑張って話しかけていると、社長クラスや役員クラスの方とお話しする機会をいただけました」

写真: JRP

 人脈の構築、新たなビジネスチャンスの創出という点で、社交の場であるラウンジが有効なのは確かなようだ。ただ、それだけではない。デロイトの竹井氏曰く、社内の様々な役職の人間がスーパーフォーミュラの現場を訪れることで、会社自体の成長のきっかけが生まれることもあるのだという。

 その具体的な事例までは企業秘密もあり、なかなか口外しづらいとしながらも、竹井氏はとあるエピソードを披露してくれた。

「我々の執行役員は様々な担当に分かれていて、社内でも普段から執行役員同士で議論をしています。それも大切なことなのですが、こういう場でドライバーさん達とお話しする中で気付くこともあります」

「スーパーフォーミュラのドライバーさんって、特にトップドライバーになればなるほど、すごくしっかりとお話しされます。自分が勝つために、主張すべきところは主張して、吸収すべきところは吸収する……。彼らが培ってきた人間力の高さに、人事担当の執行役員が気付くわけです」 

写真: Masahide Kamio

「我々サラリーマンとしては、いくら稼いだ、いくら売れたといったKPI(重要業績評価指標)はもちろん大事ですが、そういった人間力も社員評価の対象にできないか……。そんな議論に繋がっていきます」

 大企業、スタートアップに関わらず、様々な人たちがスーパーフォーミュラのパートナーラウンジに価値を見出している。

ラウンジを楽しめるのはスポンサーだけにあらず

 先に紹介した通り、このラウンジは対象のパスを購入すれば一般客でも利用することができる。

 スーパーフォーミュラはいわゆる年間パスである“シリーズパス”を販売しており、このシリーズパスを持っていると全大会及びテストの観戦、パドックエリアへの入場、ピットウォーク、グリッドウォークへの参加が可能となる。一方で“シリーズゴールドパス”を購入すると、それらのサービスに加えてパートナーラウンジの利用、指定駐車パスの発行、決勝トップ3記者会見の見学、表彰台特別エリアの入場といった他にはない体験ができる。ゴールドパスのお値段はペア1組で年額100万円(税込・送料込)だが、JRPも体験価値を考えれば非常にお得だと胸を張る。

 もちろん、ケータリングの充実度や内装など、ラウンジのホスピタリティには改善の余地があるだろう。入場料が1大会で100万円を超えるF1のパドッククラブに匹敵させよというのは無理がある話かもしれないが、シリーズが盛り上がるにつれて、当然そこに少しでも近付いていくことが期待される。

 最近ではトムスのように、VIP向けの観戦プランを自社で用意し、クリスタルルームで食事・解説付きでレースが楽しめるようなサービスを提供しているチームもある。今後多くのチーム・メーカーでこういった取り組みが生まれ、切磋琢磨していけば、サーキット全体のホスピタリティのクオリティも上がっていくのではないだろうか。


【読者プレゼント】

 今回の記事をご覧いただいた方から抽選で、11月21日、22日の鈴鹿大会でスーパーフォーミュラのパートナーラウンジを利用できる特別なパスを1組2名様にプレゼント! 同パスで鈴鹿大会のレース観戦、パドック入場、パートナーラウンジ利用、ピットウォーク・グリッドウォーク参加が可能となります。 

 応募方法は「Xでmotorsport.com日本版アカウントをフォロー+当該ポストをリポスト」。応募期限は10月28日(水)までで、当選者にはDMにてお知らせいたします。

 

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