山下健太、参戦3年目で待望の初優勝「ようやく次のステップに行ける」
スーパーフォーミュラ初優勝を成し遂げた山下健太は、参戦3年目にしてついにレースを制することができてホッとしたと語った。

KONDO RACINGの山下健太は、スーパーフォーミュラ第6戦岡山で同カテゴリーにおいて初めての優勝を果たした。
2番グリッドの山下はミディアムタイヤでスタートし、セーフティカー(SC)が出動中の10周目にピットイン。SC出動と自身のピットタイミングが見事に合致したこともあり、スーパーフォーミュラ3年目にして待望の初優勝を成し遂げた。
現在の心境を尋ねられた山下は、嬉しさよりも安堵の気持ちの方が大きいと語った。
「3年参戦してきて、今年勝たないと迷宮入りしてしまうような気がしていたので、勝ててホッとしています」
「僕たちは(ミディアムタイヤで)Q1を通過するのに苦労していましたが、チームが解析をしてくれた結果、今回の大会でクルマがかなり良くなりました。自分がうまく走りさえすれば上位争いができるような状態にしてくれました」
「今のスーパーフォーミュラでは戦略が重要です。ソフトでスタートするかミディアムでスタートするか悩みましたが、最終的にミディアムを選んで良かったな、正解だったなという感じです」
2番グリッドという好位置につけながら、序盤で順位を落とすリスクのあるミディアムタイヤでのスタートを決断するのは、容易なことではなかったように思われる。山下はこの戦略を採用するに至った経緯を説明した。
「今日はミディアムスタートで行くと事前に決めていました。平川選手はソフトでスタートするだろうと考えていたので、それと同じ作戦を採ってもスタートで抜かないと(優勝する)可能性はほぼないなと考えました」
「決断に勇気は必要ありませんでした。このレースが始まるまでは、タイトル争いを考えて守りに入るような立場ではなかったですし、一発逆転を狙うなら、トップと逆のことをやらないといけないと思っていました」
「ミディアムスタートでSCが出たらラッキーですし、今回はその通りの展開になりました。本当に良いタイミングで(セーフティカーが)入りましたよね。今日は“持ってるな”と思いました」
山下は参戦初年度にポールポジションを獲得したこともあり、初優勝の日もそう遠くないと感じていたが、勝利にはなかなか手が届かず、スーパーフォーミュラのレベルの高さを痛感させられたとのこと。ただ、今回の優勝で今後に向けて弾みがついたようだ。
「初年度でポールをとったりしていたので、すぐ勝てるだろうと思っていましたが、そう甘くはありませんでした」
「それで時間がどんどん過ぎてしまっていて……でも、これでようやく次のステップに行けるような気がします」
なお山下はこの勝利で、最終戦鈴鹿を残してポイントランキング4番手に浮上した。ランキング首位の山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)とは8ポイントの差があるが、鈴鹿戦では優勝したドライバーに3点のボーナスポイントが与えられるため、大逆転タイトルの可能性がわずかながら残されている。
最終戦に向けて山下は「正直(逆転は)難しいなとは思っています」と言いつつも、今回作ることができた流れを活かせられれば、良い結果は狙えると自信をみせた。
「今年ここに来るまですごく苦労していたところを、チームにこれだけクルマを良くしてもらって、1戦だけでかなり飛躍できました。この流れで鈴鹿に行ければ、開幕戦は3位でしたけど、それよりも良い成績は狙えると思っています」
「もし勝つことができれば、(条件次第では)チャンピオンが獲れるかもしれません。そういう期待が持てるレースが今回できたと思います。とにかく勝って(シーズンを)終わりたいですね」
この記事について
シリーズ | スーパーフォーミュラ |
イベント | 第6戦:岡山 |
ドライバー | 山下 健太 |
チーム | Kondo Racing |
執筆者 | 戎井健一郎 |