SF第2戦はタイヤ交換により見応えのあるレースに。その裏にドライバーたちの働きかけが
石浦宏明は、スーパーフォーミュラ第2戦におけるタイヤ交換義務の復活は、ドライバー側から主催者に働きかけたものであることを明かした。

岡山国際サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラ第2戦では、今季初めてタイヤ交換が義務化された。これにはドライバー側の要望もあったようだ。
コロナ禍の中で8月に開幕した2020年のスーパーフォーミュラ。開幕戦もてぎは感染拡大防止の観点からピットの作業人員を減らすため、給油なし、タイヤ交換義務なしというフォーマットとなり、レース距離も35周に短縮された。
これにより開幕戦もてぎはピット戦略が存在せず、コース上でのバトルに依存する形となったが、決勝レースでは肝心のオーバーテイクがほとんど見られず、単調なレース展開となってしまった。
しかしその後、シリーズの主催者である日本レースプロモーション(JRP)は、第2戦岡山でタイヤ交換を義務化することを発表。給油は引き続き禁止となったが、これでレースに戦略的な要素が加わることとなった。
そして行なわれた第2戦の決勝レースでは、復活したピットストップが早速ドラマを生むこととなった。レース序盤はポールポジションスタートの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)を坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が追いかけるという展開となったが、先に動いたのは坪井。平川も1周後にピットインして坪井の前でコースに復帰したが、オーバーテイクシステムを使って迫ってくる坪井に対して、アウトラップで温まりきっていないタイヤの平川は抵抗することができず、オーバーテイクを許してしまった。いわゆる“アンダーカット”の成功だ。
また、坪井のチームメイトである石浦宏明は逆にピットストップをレース後半まで遅らせる作戦を敢行。30周目まで首位を走りながら後続とのマージンを築いていた石浦は、タイヤ交換を済ませた後もトップのままコースに復帰。アウトラップで坪井に交わされはしたものの平川の前に立ち、セルモ・インギングがワンツー体制を築いてそのままチェッカーを受けた。
PPスタートの平川を、坪井、石浦がそれぞれ異なるピット戦略で逆転した今回のレースは、開幕戦よりもエンターテイメント性の高いものとなった。レース後の記者会見で石浦は、茂木での開幕戦をきっかけにドライバーからピットストップ復活を望む声が挙がった結果、ドライバーの有志とJRPとの協議を経て、今回のレースフォーマット変更に繋がったことを明かした。
「前回のレースが終わった後、『レースが単調すぎてドライバーとしても納得がいかない』といった意見をもらったので、そういった意見を集約して(JRP)に僕たちの要望を伝えました」
石浦はそう語った。
「僕たちはJRPに、タイヤ交換義務を復活させて欲しいとお願いしました。その結果、とても面白いレースになったと思います」
「(既にピットストップを済ませた)見えないライバルとのタイムレースや、アウトラップでまだタイヤが温まっていないドライバーとの攻防などがありました。レースのスタイルが変わって、僕たちにとっても面白かったですし、おそらくレースをご覧になった皆さんも面白かったのではないかと思います」
今回のレースで終盤までタイヤ交換を遅らせて3位に入ったニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)は、開幕戦もてぎを「人生の中で最も退屈なレース」と表現するなど、タイヤ交換義務のないレースに最も批判的だったドライバーのひとりだったが、彼は岡山戦でのJRPの迅速な対応を称賛した。
「(タイヤ交換義務の復活は)レースをよりエキサイティングなものにしたし、ファンのためにもなった」とキャシディは語った。
「10周前後で入った人たちだけで見ると、そんなに大きな動きはなかった。(タイヤ交換義務による戦略の幅がなければ)そんな感じの(動きのない)レースになっていただろうね」
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