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ThreeBond DragoCORSE、タチアナ・カルデロンのレース日記|第2回:日本とヨーロッパの違い

2020年から日本のスーパーフォーミュラにThreeBond DragoCORSEから参戦しているタチアナ・カルデロンが綴るレース日記。第2回は、日本のとヨーロッパのシングルシーターを戦って肌で感じた、日欧の違いについて語ってくれた。

タチアナ・カルデロン Tatiana Calderon(ThreeBond Drago CORSE)

タチアナ・カルデロン Tatiana Calderon(ThreeBond Drago CORSE)

Masahide Kamio

 皆さん、こんにちは、タチアナです。このまえ日記を書いたあとで鈴鹿で行なわれたスーパーフォーミュラに出場しましたが、そのレースの後すぐさま空路ヨーロッパへ飛んで、ベルギーのスパで行なわれたWEC開幕戦にリシャール・ミルチームの一員として参加しました。私たちが走らせるのはLMP2クラスで唯一女性だけのチームです。開幕戦のスパのレースは、8月に行なわれるル・マン24時間レースの前哨戦で、様々な準備のために参加することがとても重要なんです。でも、このスパに来たせいでオートポリスのスーパーフォーミュラには参加出来ませんでした。日本は入国から14日間は自主隔離が必要で、残念ながらその規則を守るとオートポリスへ出掛けられないんです。ホント、とても残念です。その代わりと言ったらなんですが、今回はスーパーフォーミュラの内側をmotorsport.comの読者にお届けしようと思います。

 皆さんご存じかと思いますが、私は日本のシングルシーターのトップレース、いまはスーパーフォーミュラですが、そのカテゴリーにフル参戦する初めての女性ドライバーなんです。私はこれまでF1グランプリへ出場することを目標にずっと戦って来ました。女性ドライバーがF1の決勝を走ったのは1970年代のレラ・ロンバルディが最後で、彼女以降は誰も出ていません。私はその彼女に続きたいのです。女性ドライバーとして、これまで頑張ってきました。幾つかの女性初という記録も立てています。女性として初めてイギリスF3で表彰台に上り、FIA F3レースでトップを走り、GP3でポイントを獲得しました。これまで、ミッシェル・ムートンやスージー・ウルフの支援を得てきたことも私の誇りです。ムートンといえば世界ラリー選手権の傑出した女性ドライバーであり、現在はFIAの女性モータースポーツ委員会のトップです。ウルフはF1グランプリの週末にステアリングを握ったことがある女性です。でも、私は彼女達が成し遂げてきたこと以上のことが可能だと思っています。モータースポーツの世界で女性の存在をより高めるために、努力を続けます。

 昨年、ThreeBond DragoCORSEで走ることが決まったのはかなり遅かったのです。多分チームが私に何を期待して良いのか分からなかったからだと思います。だから、ホンダ、道上龍チーム代表、ThreeBondには感謝しかありません。2019年のF2の成績はボロボロだったのに……。だから、新しいシーズンが始まる時には、私を選んでくれたことが間違いでなかったことを証明する必要があると、心に誓いました。でも、3月に富士スピードウェイで行なわれたシーズン前のテストは凍えるように寒く、タイヤウォーマーなしで走り出して1周目にスピンしてしまいました。最悪! こんなスタートは今まで経験なし! でも、挑戦を続けて鈴鹿サーキットのような難しいサーキットでも経験あるドライバーのペースに近づけたのでホッとしています。チームもいまは私が何が出来るか理解してくれたようです。レースとは直接関係ありませんが、私は背が余り高くなく、髪の色もブロンドではないので、日本人の目には外人って写らなかったようです。いまでもチームの伊与木エンジニアには、ブロンドじゃないのでビックリしたって言われます。それに、去年が初めての来日だったことも。でも、いまでは私が男性ドライバーの中で戦う姿を応援してくれる人が大勢いることも知っています。

 日本の文化に関してもとても興味がありますが、日本人の礼儀の正しさとか海外から来る人に対する親切さにはとても感動しました。特にスーパーフォーミュラは、ヨーロッパでF2を終えた私にはとても新鮮でした。ヨーロッパではとにかく結果を出さないと誰も応援してくれません。でも日本では結果よりもやる気ややり方を認めてくれようとします。過去の結果よりこれからのポテンシャルに期待してくれる。このことはヨーロッパと大きく異なります。例えば、ヨーロッパではF3ドライバーはみんな素晴らしい……と言いながら24番手のグリッドしか得られなければもうお払い箱。でも日本ではそうじゃない。F3を走っていること自体素晴らしいことだと認めてくれる。その応援はドライバーにとれば非常に大きい支えになる。F1ドライバーから聞いたことだけど、日本のファンは情熱的で最高だって。コロナが収束すれば、スーパーフォーミュラでもその情熱を感じられるかもしれない。

 もうひとつ、日本とヨーロッパでのレースにおける違いは、ドライバーに対するチームの態度。もちろん言葉の感覚の違いもあって、コミュニケーションの取り方に違いが出て来るのは当然だけど、ヨーロッパのF2やGP3ではエンジニアは走り方ばかりに注文を出してきて、ドライバーが自信を持って走ることが出来るように仕向けてくれない。走り方を変えれば速くなる、とか。それに較べて日本では正反対。ドライビングに関しては注文を出さないで、速く走るにはクルマをどうすればいいか聞いてくる。これは私にとって天と地の差。なぜなら日本のエンジニアは私を速く走らせるために、より自信を持たせるためにどうしようか考えてくれているということだから。富士スピードウェイでの開幕戦の予選はその好例だったと思う。クルマを良くすれば我々は速いということが証明出来たんだもの。

 でも、難しいこともある。ThreeBond DragoCORSEチームのドライバーは私ひとりだけ。これまでのレースで1台体制は経験したことがない。チームにとっても1台だけというのはアドバンテージにならないことは分かっている。しかし、やるしかない。チームは私からのフィードバックを使い、良いクルマに仕立てて私が速く走れるように支えてくれる。結果を出す方法はそれしかない。私は少しでも前に行けるように全力でプッシュする。日本に来て経験した新しいやり方。それは私にとって素晴らしい宝物です。

 最後に、この日記はスペイン・マドリッドの自宅で書いています。次に日本に戻った時は、残りのレースで全力を尽くすことを約束します。皆さんの応援がとても大きな力になることを知っています。早く皆さんの前で好成績を残したいと思います。応援、宜しくお願いします。

 

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