逆転王座ならず……野尻智紀「タイトルを獲りたかったというのが本音」
2020スーパーフォーミュラ第7戦富士。逆転チャンピオンを目指してポールポジションからスタートした野尻智紀だったが、その目標は叶わなかった。
写真:: Masahide Kamio
富士スピードウェイで行なわれた2020全日本スーパーフォーミュラ選手権の第7戦。予選でポールポジションを獲得し逆転チャンピオンの可能性を大きく広げた野尻智紀(TEAM MUGEN)だったが、決勝では残念ながらリタイアに終わってしまい悲願達成はならず。レース後は悔しい表情を見せていた。
接戦の予選を制し、逆転チャンピオンに向けて好位置からスタートを切った野尻だったが、思うようにスタートダッシュを決めることができず、坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、松下信治(Buzz Racing with B-Max)の先行を許し3番手に後退した。
そこから何とか逆転を試みるものの、ポジションを上げることができない状態が続き、29周目のトヨペット100Rコーナーを抜けたところで左フロントタイヤとホイールにトラブルが発生しコースオフ。そのままリタイアとなってしまった。野尻曰く全く前兆などはなく、突然の出来事だったという。
「スタートが少し良くなかったところが大きな敗因だったと思います。でもズルズルと下がることなく、そこでレースを進めることができていましたし、十分にチャンスがあるなと思っていました」
レースを振り返り、開口一番にそう語った野尻。チャンピオンを争う山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が表彰台圏外に下がっていたため、野尻にはあとひとつポジションを上げれば逆転でチャンピオンを獲得できる可能性もあった。そこでポジションを上げられなかったことについても、悔しさを見せた。
「目の前の松下選手を抜いたら僕がチャンピオンになっていたというような状況でもあったので、そういった意味では悔しさはもちろんありますけど、トータルして考えると自分たちの弱さがまだまだあると思うし、乗り越えていかなきゃいけない壁でもあると思います」
「でも、自分の力も示せたようなシーズンだったんじゃないかなと思いますし、自分の成長を示せたシーズンだったと思います。ここ最近、今までの僕とは違うようなレースもできています。来季以降、自分自身に期待しているところがあります」
予選後の記者会見では、あまりチャンピオン獲得について強烈に意識している様子ではなかった野尻だが、決勝レースを終えた彼から出てきた言葉はタイトル獲得に対する想いだった。
「まぁ……獲りたかったというのは本音です。みんなでまた頑張っていきたいなと思います」
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