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今更聞けないタイヤのこと(3)レーシングタイヤ応用編〜ウォームアップの奥深さ〜

街中の乗用車やオートバイ、レース用の競技車両でも使われている“タイヤ”。今回は横浜ゴム協力のもと、今さら聞けないタイヤの基礎知識を取材した。

松下信治 Nobuharu Matsushita

松下信治 Nobuharu Matsushita

Masahide Kamio

 クルマやオートバイにとってなくてはならない存在である“タイヤ”。しかし、我々はこのタイヤについてどれくらいのことを知っているのだろうか? 知っているようで、意外に知らないことが多いのではないか? 今回は横浜ゴムの協力を得て、今さら聞けないタイヤに関することを紹介していこうと思う。

 これまではタイヤの基本構造や、グリップ、さらにコンパウンドの違いについて横浜ゴムの秋山氏に訊いてきたが、第3回となる今回は“タイヤを使う”ことを中心に解説していこう。

なぜレーシングタイヤはウォームアップが必要なのか?

 F1をはじめ様々なカテゴリーを観戦していると必ず見る光景、それが車両を左右に振ったり、急加速・急減速を加えるなど、タイヤをウォームアップする(=温める)姿だ。

 そもそも、なぜウォームアップが必要なのか? もちろん乗用車に乗るときはそのようなことをする人はほとんどいない。これも速さが求められるレーシングタイヤならではのことなのだ。

「走行したらタイヤは必然的に発熱します。だからその状態で摩擦力が最大となるよう設計されています。つまり摩擦力が得られる温度まで温める必要があるということです。」

 つまりスタート時、もしくはタイムアタックを始める段階で、その想定温度(=作動温度)に達していなければならないということ。そのためにドライバーたちは、マシンを蛇行(=ウィービング)したりして、タイヤを温めているのだ。

 また、ウォームアップはゴムの温度や内圧を上げるだけでなく“構造”の準備運動”にもなるのだという。

「タイヤを温める際は、ゴムの芯から温めることが大切です。また構造も“準備運動”が必要だと考えています。更に言えば内圧上昇との兼ね合いも大切になります。これら全てのタイミングを揃える温め方が理想です。ついでに言えば、それが予選であればこれらに加えてコースインのタイミング(トラフィックジャムの回避)も重要といえるでしょう」

 この“慣らし”をすることで、タイヤのそれぞれのパーツが、本来あるべき場所にぴったりと収まり、最適な性能を発揮するのだ。

 さらにレースの現場では、よく「タイヤの皮むき(スクラブ)をする」ということがよく言われるが、これもタイヤのグリップを上げるために重要な作業だという。

「ゴムを切ったり削ったりした表面は分子が切断されて活性が高い(ペタペタする)ので、金型に接した表面よりグリップが高まる傾向にあると考えられます。これもあって“皮むき”が行われています」

テレビ中継でよく聞く、あの言葉の意味は?

 よくレースのテレビ中継でタイヤに関する様々な専門用語が出てくる。実際のところその認識は正しいのか? これも改めてという形にはなったが質問をしてみた。

『デグラデーション』

「簡単にいうと“タレ”です。発熱とか摩耗で性能が低下している状態。これをデグラデーションと呼んでいます」

『ブリスター』

「発熱によるキャップコンパウンド(表面ゴム)の異常破壊のことで、発熱によりゴムが元の状態を維持できなくなって、どんどん破壊されていく状態です。これは構造には関係なく、トレッドだけに起きていることです。形を保っているものが耐えられなくなって、最初はプツップツッと小さな穴状のものができて、それがだんだんと筋になっていったりします。元の形を維持していられなくなり、形状が破壊される状態のことです」

『グレイニング』

「ゴムの強度不足による異常摩耗のことです。例えば、低温用の柔らかいコンパウンドを発動できる温度まで温めない、もしくは温まり切らないまま負荷をかけてしまった時に生じる異常摩耗です。結果的にゴムを痛めてしまって、その時にタイヤの表面にはササクレみたいなものができてしまいます」

『オーバーヒート』

「タイヤが負荷に耐えられない状態の温度に達してしまった状態のことです」

使用されたタイヤはどうなるのか?

 基本的に各レースが終わるとタイヤはホイールから外され、タイヤメーカーに返却、ホイールのみを各チームが持ち帰る。では、その“使用済みタイヤ”はどうなっているのか? 

「使用したタイヤは専門業者に渡して100%リサイクルされています。そのほとんどは燃料として熱利用されており、その他には粉砕したゴム粉が道路舗装等に再利用されています。一部トラックタイヤ等ではリトレッド(トレッド面の貼り直し)されていますが、基本的には再びタイヤに戻ることはありません」

 今シーズンもスーパーGTやスーパーフォーミュラなど国内トップカテゴリーにタイヤを供給する横浜ゴム。彼らがモータースポーツに挑戦を続ける意義とは……(次回、最終回に続く)

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