
脇阪寿一がスーパー耐久第5戦にゴルフTCRを駆ってスポット参戦。その参戦理由について訊いた。
富士スピードウェイで開催されている2017スーパー耐久第5戦。今回で参戦2レース目となる#10Racingline PERFORMANCE GOLF TCRは、レギュラーのフィリップ・デベザ、密山祥吾に加え、今回のみCドライバーに脇阪寿一が加入。3人体制で10時間耐久レースに挑む。
今年からスーパー耐久でも新しく始まったTCR車両での「ST-TCRクラス」。開幕戦からホンダ シビック TCR、アウディRS3 LMSが参戦していたが、第3戦からAdenauがフォルクスワーゲン ゴルフTCRを投入してきた。デビュー戦でもライバルと比べて遜色ない速さをみせていたが、決勝は5位でフィニッシュ。ただレース中に深刻なトラブルに見舞われ、続く第4戦オートポリスはマシン修復を優先して欠場していた。
そして迎える第5戦富士は、シリーズ最長となる10時間耐久レース。各チームとも長丁場を戦い抜くために助っ人ドライバーを用意。#10Racingline PERFORMANCE GOLF TCRは一昨年までスーパーGTで活躍していた脇阪を起用することが決まった。
参戦経緯について、脇阪は次のように語った。
「もともと密山選手と付き合いが長いし、フィリップ選手とも知り合いでした。彼らがアデナウとしてモータースポーツを盛り上げてくれている中で、この10時間レースを助けてほしいと言われたのが一番最初でした」
もちろん、脇阪はTOYOTA Gazoo Racingのアンバサダーという立場にあり、トヨタ車以外のマシンに乗るというのは異例なこと。今回のプレジェクト実現での、一番のキーワードは“モータースポーツをもっと盛り上げたい”と“もっといいクルマづくり”だった。
「僕はTGR(TOYOTA Gazoo Racing)アンバサダーという立場もありますが、まずはモータースポーツ全体を盛り上げることをしたいと思っています。過去にも台湾のサーキットのこけら落としのレースに行って、台湾のモータースポーツを盛り上げたし、その時にはフェラーリに乗りました。そういう意味では多少許されているところがあります」
「またヨーロッパで盛んになっているTCRというクラスに、WRCを戦ってきたフォルクスワーゲンが出ていて、今までのレーシングカーと比べると安く手に入るクルマなのですが、それをどういう形で作って世界に販売しているのかというのも知りたかったです。そういう意味では、10時間耐久レースでフォルクスワーゲンに乗る経験を僕がすることによって、これから先のトヨタのもっといいクルマづくりに役立つと思いますし、それを理解した上での密山選手のオファーでした」
「本当にありがたく思って、とにかく10時間でフォルクスワーゲンを徹底的に勉強しながら、自分の仕事に役立たせたいなと思っています」
「うちのボス(豊田章男社長)が自らTGRの服を着て、スバルのインプレッサに乗ったりとか、それらも全部踏まえて、モータースポーツ全体のことを考え、全てにおいて“もっといいクルマづくり”のために動かれています。それに対して、自分も同じようにTGRの関係の方々が、僕の趣旨と考えに理解いただいていることに感謝していますし、逆にOKをいただいているから、自分としては、より引き締まる思いで臨みたいと思っています」
「とにかく2人に対して、こういう機会をいただいたので、それに対して感謝する走りをしたいですし、まずは何より自分がミスなく走ることですね」
そんな#10Racingline PERFORMANCE GOLF TCRだが、予選ではA・Bドライバー合計タイムで3分44秒948をマーク。ここまで4戦連続でクラスポールポジションを獲得してきた#45LIQUI MOLY RS3 LMSを抑え、参戦2戦目でポールポジションを獲得。脇阪は直接予選タイムに関わらないCドライバー登録だったが、そのセッションでもクラストップタイムを記録していた。
密山は、「ちょっと富士は苦手だろうな思っていましたが、ポールポジションが獲得できて、すごく嬉しいです」と、予想以上の結果に喜んでいる様子。
デベザも、「昨年までST-Xに出ていて、今年からST-TCRクラスになりましたが、やはりポールポジションはすごく嬉しいですね。クルマも乗っていて楽しいです」と笑顔をみせていた。
取材・執筆/吉田知弘
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この記事について
シリーズ | スーパー耐久 |
イベント | 第5戦富士Super Tec ”10時間耐久レース” |
サブイベント | 土曜日 予選 |
ロケーション | 富士スピードウェイ |
ドライバー | Juichi Wakisaka , Philippe Devesa , Shogo Mitsuyama |