ボロボロになっても走り続けた59号車WRX STI、井口卓人「ベストメカニック賞をあげたい」
#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの井口卓人は、度重なるアクシデントからマシンを復活させたチームを讃えた。
#59 DAMD MOTUL ED WRX STI
Motorsport.com / Japan
富士スピードウェイで行われたスーパー耐久第3戦“富士SUPER TEC24時間レース”。ST-2クラスの#59 DAMD MOTUL ED WRX STIで戦った井口卓人は、度重なるアクシデントやトラブルでボロボロになったマシンを諦めずに修復し、ゴールまで導いてくれたスタッフを讃えたいと語った。
国内で10年ぶりに開催された24時間レースは、様々な感動の場面を生んだ。その中のひとつが、ST-2クラスに参戦していたTOWAINTEC Racingの#59 DAMD MOTUL ED WRX STIだ。
59号車のWRX STIはST-2クラスでは無敵と言えるほどのチームで、2013年から5年連続でクラス王者に輝き、今季はスーパーGTでも活躍中の井口卓人がレギュラー加入し体制を強化。開幕2連勝しランキングトップを快走していた。
今回の予選でも総合タイムで同クラスのライバルに5秒近い差をつけクラスポールポジションを獲得し、今回もST-2クラスでは大本命と言われていた。
しかし、スタートして30分も経たないうちに、アクシデントが発生する。1コーナーを曲がっている最中にST-Xクラスの#82 Phoenix Racing Asia R8に突っ込まれてしまう。幸いドライバーは無事だったが、右側のドア2つが大きくへこんでしまい、特にフロントドアは開かないほどの損傷具合だった。
やむなくドアを切断し、このレースは早々にリタイアかと思われたが、チームがサーキットへの移動車としてパドックに持ち込んでいた一般車両のWRX STIの右ドアを急きょ59号車に移植。わずか25分という短時間の作業でマシンをコースに送り出した。
その時の状況を、井口はこのように語った。
「(チームの)移動車ではあるんですが、当初の予定で(レース中に)何があってもいいようにスペアパーツ取り用の車両として持ってきていました。それに合わせて、今回の24時間レースでは純正パーツをふんだんに使っていて、ちょっと車重は重くなっていましたけど、(何かあっても対応できるようにした)チームの判断は素晴らしかったですね」
「メカニックさんの中にはラリーをやっている人も多くて、そういう事(短時間でのマシン修復)にも慣れていたとかしましたが、あんなに大きなクラッシュから、あれだけの時間で復活させてくれたのは本当に素晴らしかったです」
しかし、ST-2クラスのトップから10周遅れのクラス最下位まで後退。逆転の可能性は絶望的ではあったが、59号車は諦めずに挽回を開始。ナイトセッションも着々と周回を重ね、残り4時間のところでクラス2番手に浮上した。しかし、今度はサスペンションが壊れるアクシデントが発生し、コカ・コーラコーナーで停車。ここまでか……と思われたが、回収され「リペアエリア」に運ばれた59号車をメカニックたちが瞬く間に修復。ストップから約40分後には走行を再開した。
レース終盤もフロントフェンダーが外れかかりオレンジディスク旗が出されるなど、トラブルが解消されることはなかったが、そのたびにメカニックたちが諦めずに作業を行い、結果的にクラストップから15周遅れ、ST-2クラスでは最下位となる4位となったが、無事にチェッカーを受けた59号車に対して、スタンドからは惜しみない声援が送られていた。
「こんなに難しいのか……というくらい、難しい24時間レースでした」
そう語った井口は、ボロボロになりながらも、最後まで諦めずにマシンを何度も復活させたメカニックたちを心から讃えていた。
「最後までアクシデントやトラブルあって、その度にWRXはボロボロになっていたんですが、そこから復活していく姿をみて、結果は出なかったですけど……チームのメカニックさんたちに僕たちから『ベストメカニック賞』をあげたいなという気持ちです」
「こんな経験ができた24時間は(今まで)ないかなと思います。本当にチームのみんなが頑張ってくれて………結果だけは出なかったですけど、このメンバーでまたリベンジしたいなという気持ちになりました」
先月にはニュルブルクリンク24時間レースにも参戦した井口。富士での24時間レースは初めての参戦になったのだが、ニュル24時間に似ている雰囲気でイベントとしては楽しめたという。
「テントを張ったりとか、夜になったらバーベキューの香りがしてきたりとか、本当ニュル24時間をそのまま日本に持ってきたなという感じでした。コースはこっちの方がきれいですけど、お祭りみたいな感覚ですごく(ニュルに)近い雰囲気がありました。みんなもそう言ってると思うんですけど、すごく楽しめた24時間だったと思います」
最後に来年も富士24時間レースがあったら、参戦してみたいか?という質問に対して井口は、「絶対に出て、リベンジします!」と即答していた。
Be part of Motorsport community
Join the conversationShare Or Save This Story
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
Top Comments