【スーパー耐久】水素エンジンカローラがさらに進化。給水素時間は2分、ペースも上位クラスに匹敵するレベルに
スーパー耐久での投入3戦目となった水素エンジンカローラ。給水素時間から車両パフォーマンスまで、様々な面でさらなる進化を遂げているようだ。
写真:: 皆越 和也
スーパー耐久シリーズ第5戦鈴鹿の会場で、トヨタ自動車が記者会見を行い、水素エンジンカローラの進化の報告を行なった。
まずレーシングドライバー”モリゾウ”こと豊田章男社長が「カーボンニュートラルに向けた水素社会実現を達成するために、富士では(水素を)“つかう”、オートポリスでは”つくる”だった。今回は”はこぶ”と”つくる”をテーマに挑戦する」と発表。今回はオーストラリア産褐炭由来の安価な水素を使用しての参戦とした。
記者会見には川崎重工橋本康彦社長も登壇し「モータースポーツにおいて水素を用いて安心安全な世界を作りたい。液化水素を運ぶ技術研究組合、HySTRAを設立しオーストラリア産の安価な水素を日本に運ぶ取り組みを計画中で、また川崎重工も水素エンジンを開発中」と述べた。
今回は川崎重工、岩谷産業、J-POWER(電源開発)が試験的にオーストラリアから運んだ水素の一部を水素エンジン車両に供給。さらに来季のS耐では川崎重工の世界初となる液化水素運搬船「すいそふろんてぃあ」で運んだ水素を使用することを検討しているという。
今回の水素エンジンカローラについてGazoo Racing company佐藤恒治プレジデントは「水素エンジンはGRヤリスと同じものを使用しており、富士では出力がガソリンエンジンに比べ10%以上減だったが、今回はトルク特性を含め全く同じ(パワー)になった。給水素に関しても、2重系統とすることで1回あたり4分30秒かかっていたものが、今回は2分まで短縮できた」と説明した。
また「総括するとフェイズがひとつ変わった。ドライバーのコメントも従来は弱点を補うものが多かったが、『130Rで空力を効かせて走りたい』などと、一段階上のものに変わって来て、ルーキーレーシングと一緒に仕事をしていることで進化していることを実感している」と話した。
ルーキーレーシングの片岡龍也監督も「富士ではストレートでもST5クラスと同じレベルだったものが、今ではST4クラスより勝っています。ST2クラスに近いところまで来ている」と進化を実感している様子だった。
ル・マン優勝の小林可夢偉と2位の中嶋一貴に金銀メダルを授与
Kamui Kobayashi, MORIZO, Kazuki Nakajima
Photo by: 皆越 和也
また豊田社長は、S耐鈴鹿の記者会見の現場で、今年のル・マン24時間で総合優勝した小林可夢偉にオリジナルの金メダル、2位の中嶋一貴に銀メダルを授与した。
「全然聞いていなかったのでびっくりです。以前、社長とオリンピックのことで話をしていて、『レースってトロフィーはあってもオリンピックみたいにメダルをもらえないんだよね』という話があって、それが伏線になっているのではないかと思います。うれしい」と可夢偉は喜びを隠さなかった。表にはサルト・サーキットのコース図、裏にMorizoとGazoo Racingの刻印が施された特製のメダルは他のドライバーの分も用意されているという。
また豊田社長は会見で「五輪(の開催)は良くて、四輪と二輪が許されないというのは不公平」と相次ぐF1日本GP、WRCラリージャパン、WEC富士といった国際大会が開催されないことに不満を表明した。「レーシングドライバーもアスリートであるのに入国の判断が異なる」と疑問の声を上げた。
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