【スーパーGT】激走を見せた山本尚貴、3位表彰台も「正直、悔しい」

第6戦、鈴鹿1000kmで激闘の末3位を獲得した#100 RAYBRIG NSX-GT。しかし、山本尚貴が語ったレースの感想には”悔しさ”が溢れていた。

 鈴鹿サーキットで行われた2017スーパーGT第6戦鈴鹿1000km。次々とオーバーテイクを決め、最後は激闘の末3位表彰台を獲得した#100 RAYBRIG NSX-GTの山本尚貴。レース後は脱水症状に見舞われるほどの激走をみせたが、レースを終えた彼の感想は“悔しい”だった。

 6番グリッドからスタートした#100 RAYBRIG NSX-GT。序盤はなかなかペースが上がらず、後方でのバトルとなったが、山本が乗り込んだ第4スティントからマシンの調子も良くなり、それと同時にオーバーテイクショーが始まる。

 102周を終えたところで2回目のセーフティカーが解除されると、目の前にいるマシンを次々とパス。特に109周目には#12 カルソニックインパルGT-R(安田裕信)との攻防ではダンロップで並びかけ、デグナー1つ目でアウトからオーバーテイクをみせた。こうしてわずか9周の間に7つポジションを上げ2番手に浮上。116周目にピットインし伊沢にバトンをつないだ。

「(セーフティカー後のタイミングは)タイヤとかクルマの調子も良かったですし、周りがちょっと辛そうだったので、自分の得意なところと相手の苦手なところを見極めて、目の前にいるクルマはとにかく抜いていきました」と山本。

 そして、最終スティントでは#1DENSO KOBELCO SARD LC500(平手晃平)との壮絶なバトルを展開する。

 151周目に4番手に上がった山本は、すぐさま前を走る平手に接近。一度はインに飛び込んで前に出るが、ブレーキングで止まりきれず少しはみ出してしまい、3位浮上はならなかった。ここから、10周に渡って2台の激闘が始まっていく。

 その時の状況を山本はこう振り返った。

「最初にインに飛び込んだ時にちゃんと止まれなくて、相手に手の内を明かすことになってしまいました。そこからインをブロックされて、アウトから攻めるしかなかったんですけど、ブレーキもきつくてロックアップするのが多かったです。だからインに何とか入るしかない状況で、なかなか決め手がありませんでした」

「でも、平手選手はそれを分かっていてインを閉めていたのですが、あれだけ閉め続けていれば、きっとどこかで止まれなくなるだろうと思っていました」

 平手に狙いを読まれてしまい、打つ手を失いかけていた山本。しかし、165周目に唯一のチャンスが訪れる。

「それまではスプーンから背後について立ち上がっていたのですが、130Rでどうしてもダウンフォースが抜けちゃっていたので、(1号車を抜いた時は)スプーンあえてゆっくり走って間隔を空けて130Rで速く走れるようにしました」

「そのタイミングがうまくいって、相手がブレーキロックしたところを、立ち上がり重視で並んで前に出ました。でも、ペース的には僕の方が良かったので、もっと早く攻略できていれば64号車(Epson Modulo NSX-GT)には届かなかったにしても、23号車(MOTUL AUTECH GT-R)には届いたかなと。そう思うと悔しいですね」

 ついに扉をこじ開けた山本だが、3番手に満足せず最終ラップまで攻め続けて、2番手の#23MOTUL AUTECH GT-Rを追いかけたが、わずかに届かず3位のままでチェッカーを受けた。

 実は、最終スティントに入った時からドリンクのコネクター部分が壊れ、山本はドリンクが飲めない状態になっていた。パルクフェルメにマシンを止めた彼は、自力で立つのも難しいほど脱水症状に見舞われた。

「乗っている最中は集中していたのもあって大丈夫でしたが、最後は自分がヒートアップしていたのもあったし、夕方とは言え車内も暑かったので脱水症状になってしまいました」

 最初は表彰式への参加を控えようという話もあったそうだが、伊沢を始めチームとともに掴んだ3位表彰台に立ちたいと自ら希望。表彰式の途中から登壇し、トロフィーを掲げたが、その後は医務室に行って点滴を受けていた。表彰式でも辛そうな表情をしており、彼の体調を心配する声もあったが、およそ2時間後には元気にチームのピットに戻っている姿が見られた。

 脱水症状で痙攣を起こしながらも表彰台に向かった山本の目には涙があふれていた。その涙の理由について、山本はこう語ってくれた。

「前回(第5戦富士)は8号車が勝って、今回は64号車が勝って、自分たちが遅いわけじゃないけど、他のホンダ勢に先に勝たれるのが…悔しくて。チームのみんなも一生懸命がんばってくれているのに、それを形になかなか出来ないのが、申し訳なくて…。本当、悔しいの一言ですね」

「ホンダとしては2連勝できて、喜ばしいことではあるんですけど、ただ同じモノを使っている中でいうと、自分たちが1番を取りたいし、それが出来ないフラストレーションもありました。正直、(このレースは)勝ちたかったです」

 また、先週行われたスーパーフォーミュラ第4戦で、チームメイトのピエール・ガスリーが優勝し、自分は後方でのレースを強いられてしまったこと悔しさを、この鈴鹿で何としても晴らしたいという思いもあったという。

「あとは先週のSFのこともありますね。ガスリー選手が勝って、自分がうまくレースができなかったというのもあって、精神的に辛いではないけど、平常心ではいられないような状況でした」

「でも、もてぎのレースは帰ってこないし、自分の速さと強さを証明するには、結果でしか表せないです。だから今回は絶対勝ちたいと思って臨んだんですが、届きませんでした。そういう思いも、全部が重なって…色々込み上げてくるものがありましたね」

「レースが終わって毎回泣いているようじゃ弱いんですけど、やっぱり気持ちが出るし、負けたレースで泣かなくなったら(レーシングドライバーを)やめたほうがいいと思うくらい、どうしても勝ちたいですね」

「でも、泣いたからといって結果が出るわけじゃないので、気持ちを切り替えて、次のタイに臨みたいと思います。このクルマとこのチームなら、絶対に結果は出てくると思うので、まずは勝てるまで努力を怠らずに頑張っていきたいです」

 第3戦オートポリス、第4戦SUGOと後続を圧倒する速さを見せながら、不運で勝利を逃し、今回も表彰台の頂点には届かなかった。残り2戦の中で、山本の悔し涙が、嬉し涙に変わる瞬間が来るのか。目が離せない。

取材・執筆/吉田知弘

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この記事について
シリーズ スーパーGT
イベント名 Rd.6 鈴鹿1000km
サブイベント 日曜日 決勝
サーキット 鈴鹿サーキット
ドライバー 山本 尚貴
チーム チーム・クニミツ
記事タイプ 速報ニュース