大魔神・佐々木の”名采配”。ドライタイヤスタートでポルシェ3位入賞
元プロ野球選手の佐々木主浩が監督を務める#33 D'station Porsche。”名采配”が的中し、今季2度目の表彰台を獲得した。

タイ・ブリーラムで行われた2017年スーパーGT第7戦。GT300クラスで今季2度目の3位表彰台を獲得した#33 D’station Porsche(藤井誠暢/スヴェン・ミューラー)は、スコール直後で濡れた路面の中、スリックタイヤでスタートする作戦を選択。これが功を奏した格好だ。この戦略の提案者は、佐々木主浩総監督だったという。
予選15番手からスタートとなった#33 D’station Porsche。スタート30分前にコースを襲ったスコールにより路面は完全なウエットになる。しかし、スタート10分前にはその雨も止み、太陽が顔を出し始め路面も急速に乾き出した。
そんな中、#33 D’station Porscheはスリックタイヤでのスタートを決断。数周で路面が乾き切ると予想したのだ。同様の作戦をとったチームは数台いたが、路面の乾きは思った以上に遅く、トップ集団からは大きく離される展開になってしまう。
しかし、ニュルブルクリンク24時間レースなどで、こういった悪条件の経験もあるスヴェン・ミューラーが持ち前のパフォーマンスを存分に発揮。鬼門となった序盤の数周を耐え抜き、上位集団に食らいついていく。ウエットタイヤを選択したチームの中にはスリックタイヤを求めて早めにピットインするなど2ストップ作戦を取るチームもあったが、ミューラーは、前半から中盤にかけてうまくタイヤをマネジメントしトップに浮上。後続とのリードも十分に保ち、藤井にバトンをつないだ。
後半は装着したタイヤのコンディション等もあり、なかなかペースが上げられず……#55 ARTA M6 GT3の猛追を受けるが、そこは藤井が何とか耐え抜き3位を死守。チームに今季2回目の表彰台をもたらした。
今回はGT500、GT300を含め数台がスリックタイヤでのスタートを選択したが、実際にフタを開けるとほぼ全車が大きなタイムロスを余儀なくされ、実質的に“作戦は失敗”という結末を迎えていた。
その中で、唯一この作戦を成功させたのが#33 D’station Porsche。藤井によると、スリックタイヤでのスタートを決めたのは、佐々木主浩総監督の“直感”だったという。
「今回、ピット番号が“22”で佐々木総監督の(プロ野球選手としての現役時代の)背番号と同じだったんですね。そこで総監督が『今回は必ずいいことがあるから、勝負に出る!』という直感で、スリックスタートが決まりました。
「正直、状況的には絶対スリック(でスタート)はなかったんですけど、僕たちも(佐々木総監督を)信じて、その指示に対してできる全てのことを出し尽くしたら、15番手スタートから3位になりました。本当にミラクルですね」
藤井はそう笑顔で当時のことを振り返った藤井。
また、難しいコンディションで、安定したパフォーマンスを発揮したスヴェン・ミューラーの力も大きかった。
「今後のことも含めてスヴェンにスタートドライバーを務めてもらいました。ニュル(24時間レース)でも雨とかちょい濡れスリックも経験しているので、そういうコンディションで彼の強みが活かせました」
「後半は、ちょとセット数が足りなくてフロントだけ中古になってしまいました。すごくアンダーステアで苦しかったですけど、なんとか抑えきることができました。3位と4位では全然違うので、表彰台に上がれて良かったです」
「総監督の指示と判断、チームスタッフもすごく頑張ってくれたし、ヨコハマタイヤもすごく良かったです。関わった全員に感謝したいですね」
そう藤井は語る。
「最初の6周はすごく大変だったけど、うまくタイヤをマネジメントできた。僕にとってもチームにとっても今季2回目の表彰台。すごく嬉しいし、一生懸命やってくれたみんなに感謝したい」
次回は、いよいよ最終戦のもてぎ。藤井はこの勢いで勝利を飾ってシーズンを終えたいと次戦に向けての意気込みを語った。
「今シーズン2回表彰台には上がっていますけど、まだ勝てていないので、勝ちたいですね。次のもてぎはポルシェも得意なコースですし、優勝を狙って行きたいと思います」
取材・執筆/吉田知弘
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この記事について
シリーズ | スーパーGT |
イベント | Rd.7 タイ/ブリーラム |
サブイベント | 日曜日 |
ロケーション | チャーン・インターナショナル・サーキット |
ドライバー | スヴェン ミュラー , 藤井 誠暢 |