
2019スーパーGT第4戦タイ。#6 WAKO’S 4CR LC500の脇阪寿一監督は、チーム6年ぶりの優勝を果たし、ここまで応援してくれたスポンサーやファンに感謝の気持ちを述べた。
チャーン・インターナショナル・サーキットで行われた2019スーパーGT第4戦。#6 WAKO’S 4CR LC500を率いる脇阪寿一監督にとっては、就任4年目で待望の初優勝となった。レース後、脇阪監督はここまで応援してくれたスポンサーやファンに感謝の気持ちを述べた。
2015年シーズンいっぱいでレーシングドライバーとしての第一線を退くことを発表した脇阪監督。翌2016年からLEXUS TEAM LEMANS WAKO’Sの監督に就任した。そこから4シーズンに渡って合計8度の表彰台を獲得し、そのうち5回は2位という好結果だったが、肝心の“優勝”がここまでなかった。
迎えた今回の第4戦タイは、チームも最大のチャンスと捉え、万全の準備を施し現地入り。予選でポールポジションを獲得すると、決勝では一瞬#36 au TOM'S LC500に先行されるシーンがあったものの、これをピットストップで逆転し、その後はトップをキープ。監督就任4年目にして念願のGT500初勝利を飾った。
表彰式を終え、チームルマンのピットに行くと、そこには今週末ずっと気を引き締めていた表情でいた脇阪監督が、ようやく笑顔を見せていた。
「本当に勝てて良かったです。WAKO’Sさんをはじめ各スポンサーの皆さんに1回も勝つ姿を見せられなくて、それが我々の心の呪縛にもなっていました」
「今まで応援していただいたファンやスポンサーの皆さんにはお待たせしました。勝てない我々に対して、本当に今まで変わらぬご支援をしていただいたことに、心から感謝したいです」
いつになく丁寧に胸の内にある想いを語った脇阪監督。今回のレースを振り返り、ドライバーだけでなくエンジニアやメカニック、そしてチームスタッフ全員の頑張りが形になって現れた結果だったという。
「今回の勝ち方も、ただドライバーだけが頑張ったわけではありません。エンジニアが作ったクルマも非常に良く、ドライバーも毎周0.01秒の違いを争う精神戦を繰り広げた中で結果を出してくれました。大嶋に関しては最後、周回遅れの車両の処理のところで抜かれてしまった部分はありましたが、それをメカニックがピット作業でカバーしてくれました」
「今までピット作業でタイヤ交換をして(しっかり固定されておらず)タイヤが外れてしまっていたようなチームが、あのトムスをピットで逆転するという素晴らしい仕事をしてくれました」
「後半スティントの(山下)健太も、素晴らしい走りをしてくれました。健太とニック(・キャシディ/#37 KeePer TOM’S LC500)には、また違ったストーリーがあって、お互いがリスペクトした中でのバトルだったと思います」
「(今回勝ったことで)次からはもっと攻められる気がするし、(大嶋)和也にしても、健太にしても、チームにしても、それぞれの人生があって、今日に至るまでの経緯があります。その中で今回優勝できたというのは、それぞれの人生をポジティブに変えるものだと思っています」

後半スティントでの山下健太の激走を讃える脇阪寿一監督
Photo by: Masahide Kamio
結果だけを見ると今回の6号車は“ポール・トゥ・ウイン”だったが、決して楽なレースではなかった。しかし脇阪監督は、数々の試練に踏ん張って勝ったことが、今後のチームルマンには大きな弾みになると語った。
「レース中は『本当にこんな試練を与えないでくれ』という状況でした。(36号車の)一貴がきて、雄飛がきて、最後に(37号車の)ニックがきて、そしてセーフティカーが入って……。でもこういう難しいレースを勝ち切れたことが何よりも我々に足りなかった自信と実績の部分を(今後)カバーしてくれると思います」
「和也も自信になったと思うし、健太もスピードにさらに磨きがかかると思います。そしてメカニックたちも優勝するという“喜び”を感じてもらえたと思います。普段は『こうやれ!』『ああやれ』と苦しいことばっかりしか言ってきませんでしたが、勝った喜びを感じたことで大きく変わると思います。しかも、強力なトムス2台を振り切っての優勝というのは大きいと思います」
これで合計35ポイントとなり大嶋/山下組はドライバーズランキングトップに浮上。脇阪監督は早くも次のレースから始まるシーズン後半戦に目を向けており、次なる目標は“タイトル獲得”だと語った。
「タイトル目指して頑張らないといけないです。でもスーパーGTというレースは凄い(レベルが高い)から、もう次のレースに向けた準備が始まっています。でも……とにかくホッとしています」
「これからはもっと攻めていって、お客さんがワクワクドキドキするようなレースをして、ドライバーふたりがもっと輝けるように、そんなチーム作りを頑張りたいと思います」
「3年前はランキング2位、2年前はランキング3位ときて、昨年は(エンジニアの山田)健二さんが亡くなって(成績も)全然ダメになってしまいました。でも今年は来るべきところに来ました。最後タイトルをとって、この物語は一旦幕を下ろして、次のステップに行きたいなと思っています……頑張りますよ!」

#6 WAKO'S 4CR LC500
Photo by: Masahide Kamio
この記事について
シリーズ | スーパーGT |
イベント | 第4戦:タイ |
サブイベント | Race |
ドライバー | 大嶋 和也 , 山下 健太 |
チーム | Team LeMans |
執筆者 | Tomohiro Yoshita |