現状維持か大シャッフルか……各社混沌の2020年GT500ストーブリーグ

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現状維持か大シャッフルか……各社混沌の2020年GT500ストーブリーグ
執筆:
2019/12/16 5:59

2020シーズンに向けて動きが活発化しているスーパーGT(GT500クラス)のストーブリーグ。その最新情報をmotorsport.com日本版の独自取材でお届けする。

 2020年から新型車両が導入されるスーパーGTのGT500クラス。すでに開発車両によるテストも始まっているが、同時に来季のドライバーズラインアップの動きも佳境を迎えている。

 motorsport.com日本版の取材で来季のトヨタ、ホンダ、ニッサンの各ラインアップの詳細が少しずつ見えてきた。

■トヨタ:WEC参戦の中嶋と山下に代わり、フェネストラズ&宮田がGT500にステップアップか

Toyota GR Supra

Toyota GR Supra

Photo by: Masahide Kamio

 今季8戦中6勝を挙げる活躍を見せ、GT500クラスの2019シリーズチャンピオンを手にしたレクサス(トヨタ)。来季からGRスープラをベースにした車両を導入するため、約15年ぶりにトヨタブランドとしてGT500クラスに参戦することになる。

 すでにmotorsport.com日本版でも報じている通り、今季チャンピオンを獲得したチームルマンが2019シーズンいっぱいでGT500クラスの参戦を終了する模様。11月の段階では噂レベルではあったが、2020シーズンが近づくにつれて現実味を増しているようだ。

 なおそのチームルマンは、来季GT300クラスに参戦するという話もあるようだが、その可能性は現時点では極めて低いようだ。

 とはいえトヨタ勢は2020年も6台体制でGT500クラスに参戦することに変わりはなさそう。つまりチームルマンに代わる新チームが登場することになるのは間違いないようだ。その詳細だが、セルモが2台体制になるという噂があるものの、具体的な部分については謎に包まれたまま。来年の体制発表でその全貌が明らかになりそうだ。

 気になるドライバーラインアップだが、現在WECに参戦中の中嶋一貴と山下健太が同カテゴリーに専念するため2020年はスーパーGTに参戦しない模様。その後任として今シーズンは全日本F3選手権とGT300クラスで活躍したサッシャ・フェネストラズと宮田莉朋がGT500へステップアップすることになりそうだ。

 今回のストーブリーグで一番の注目を集めているフェネストラズ。当初はニッサン勢に加入かと思われていたが、どうやらトヨタ陣営加入の方向で話が進んおり、中嶋一貴の後任として36号車をドライブするのではないかと言われている。一方の宮田は最初は今季第2戦でエントリーした36号車のドライバーとなるかと思われていたが、最終的には19号車のWedsSport BANDOHに入る方向で調整中のようだ。

 前述で紹介した新チームだが、ここに大嶋和也が入ることは確実な様子。そのパートナーの候補として国本雄資と坪井翔の名前が挙がっている。

 その他の体制については、2019年と変わりはないようだ。

■ホンダ:大幅入れ替えも検討中? キーパーソンは“松下信治”

Honda NSX-GT

Honda NSX-GT

Photo by: Masahide Kamio

 すでにジェンソン・バトン、中嶋大祐が陣営から離脱することが明らかとなっているホンダ陣営。2020年は“大シャッフル”の布陣になることは間違いなさそうだ。実は特別交流戦のパドックで流れていた噂によると、最大で5人のドライバー(バトン、中嶋大祐を含む)が離脱するという情報があった。ただ、そこから調整が進んでいく中で、そこまで大々的な入れ替えにはならなさそうだ。

 まずはTEAM KUNIMITSUだが、山本尚貴の参戦継続はほぼ濃厚。そのパートナーとして牧野任祐が抜擢されるようだ。実際に特別交流戦の際にも牧野が足繁くTEAM KUMIMITSUのピットを訪れ、時には伊与木エンジニアと話し込んでいる姿が目撃された。すでに同チーム加入に向けて動き出しているのではないだろうか。

 開幕戦岡山で勝利したARTAには今季GT300でチャンピオンを獲得した福住仁嶺がステップアップしてくる模様。野尻智紀と組んで8号車をドライブするようだ。また今季後半戦で目覚ましい活躍を見せた17号車のREAL RACINGは塚越広大とベルトラン・バケットでドライバーに関しては変更がない様子。しかし、メインスポンサーである株式会社ケーヒンが10月末に関連企業との経営統合を発表した。この影響で来シーズンはマシンのカラーリングが変わるのではないかという噂が流れている。

 そして現段階で詳細なラインアップがなかなか見えていないのがModulo NAKAJIMA RACINGの64号車とTEAM MUGENの16号車だ。まず64号車だが、シーズン終了直後の段階ではナレイン・カーティケヤンが今季限りで離脱することが確実と言われており、特別交流戦でも一部の関係者の間では“彼のスーパーGTラストレース”と言っている人も少なくなかった。実際にこの時のカーティケヤンに来季の話について訊くと「まだ何も決まっていない、これから(中嶋)悟さんと話をする」と具体的なコメントを避けていた。

 ところが、特別交流戦のレース2でカーティケヤンが優勝したことで事態が急変。来季も64号車で参戦するという可能性が出てきている模様だ。また今季同チームで走った牧野が100号車へ移籍する可能性が高まっていることもあり、GT500のダンロップタイヤ経験者のカーティケヤンに来季も残ってほしいという現場レベルでの想いもあるようだ。64号車に関しては候補者が複数人おり、今季GT300で活躍した大津弘樹がステップアップしてくるという話がある他、8号車から離脱する可能性が高まりつつある伊沢拓也が加入するという噂もある。

 一方の16号車だが、一時はドライバー総入れ替えという噂もあったが、武藤英紀が残留する方向で話がまとまり始めている様子。そのパートナーに今季FIA F2に参戦した松下信治が挙がっている。松下の国内レース復帰とスーパーGTで16号車に加入するという噂は11月の段階からあったのだが、本人としてはヨーロッパでのレース継続を熱望しており、国内レース関係に関してはまだ契約はしていないという噂もある。彼の2020年の動向に関しては不透明な部分が多そうだ。そういった絡みもあり伊沢が16号車に加入するのではないかという噂も出始めている。

 この辺に関しては、年明けの体制発表でどういう布陣になるか……という状況になりそうだ。

■ニッサン:平手晃平が23号車加入の噂、今なお最終調整が続く……

Nissan GT-R nismo GT500

Nissan GT-R nismo GT500

Photo by: Masahide Kamio

 ニッサン陣営も2020年に向けては様々な噂が飛び交っている。まずシーズン終了とともに真っ先に飛び込んできたのが陣営のエースチームである23号車NISMOが2014年以来となるドライバー変更を考えているということだ。どうやらロニー・クインタレッリの残留は確実なようだが、その相方候補として挙がっているのが2019年からニッサン陣営に移籍してきた平手晃平だ。関係者筋の話によると、彼のパフォーマンスをニッサン/NISMO側が高く評価しているようで、早速2020年はエースチームに抜擢されるという方向で話が始まっている模様。すでに今季の最終戦あたりから噂として聞こえてはいたが、12月のこのタイミングに入って少しずつ現実味が増しているようだ。

 これにより松田次生が23号車から離脱する可能性が高まっている。来季についてはNDDP RACING with B-Maxの3号車に移るという話もあるが、KCMGに加入して海外のGT3シリーズに専念するのではないかという噂もある。

 また、第6戦オートポリスで体調不良のジェームス・ロシターに代わって代役出走した千代勝正が2020年はレギュラーシートを獲得できる方向で話が進んでいるようだ。加入チームは12号車インパルが有力と言われているが、3号車という選択肢もあるようだ。

 これに加えて今季スーパーフォーミュラで2度の表彰台を獲得したルーカス・アウアーもニッサンでのGT500シート獲得を目指している様子。彼はDTMでの参戦経験があるため、このクラスの車両をよく知っている。本人も先日のスーパーフォーミュラ合同・ルーキーテストで「来季についてはまだ何も決まっていないけど、GT500とSFに参戦できればベストだと思っている」とコメントしており、GT500参戦に高い興味と意欲を示していた。加入するとなればB-Maxのつながりで3号車への加入が選択肢として挙がっているようだが、交渉の状況は芳しくないという情報も入ってきている。

 そして今季12号車で戦ったロシターが離脱するという噂があるが、これについてもまだ正式に決まってはいない様子。実際に2020年型のGT-Rのテストにも参加しており、来季に向けても意欲を見せていた。

 ニッサン勢に関しては噂レベルの話が非常に多いのが特徴で、当事者間でもまだ調整中という状況のようだ。

【2020スーパーGT GT500クラス ラインアップ予想(2019年12月15日時点)】

※motorsport.com日本版 調べ

◎=濃厚、◯=有力、△=候補、▲=微妙、?=噂

■ホンダ
#8 ARTA
◎野尻智紀、◯福住仁嶺
#16 MUGEN
◯武藤英紀、▲松下信治、?伊沢拓也
#17 REAL
◎塚越広大、◎ベルトラン・バケット
#64 NAKAJIMA
△ナレイン・カーティケヤン、△大津弘樹、?伊沢拓也
#100 KUNIMITSU
◎山本尚貴、◯牧野任祐

■トヨタ
#? 新チーム
◎大嶋和也、◯坪井翔、▲国本雄資
#19 BANDOH
◯国本雄資、△坪井翔、◯宮田莉朋
#36 TOM’S
◎関口雄飛、◯サッシャ・フェネストラズ
#37 TOM’S
◎平川亮、◎ニック・キャシディ
#38 CERUMO
◎立川祐路、◎石浦宏明
#39 SARD
◎ヘイキ・コバライネン、◎中山雄一

■ニッサン
#3 B-MAX NDDP
△平手晃平、△松田次生、▲ルーカス・アウアー、?千代勝正
#12 IMPUL
◯佐々木大樹、△千代勝正、▲ジェームス・ロシター
#23 NISMO
◎ロニー・クインタレッリ、◯平手晃平、▲松田次生
#24 KONDO
◎高星明誠、◎ヤン・マーデンボロー

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この記事について

シリーズ スーパーGT
執筆者 吉田知弘