武藤英紀、スーパーGT参戦は今季限りで区切りの意向。背景にあった感情面での変化
武藤英紀は、スーパーGTへの参戦に今季限りで区切りをつける意向であることを明らかにした。
Hideki Mutoh, Iori Kimura, #55 ARTA NSX GT3
Masahide Kamio
今季は55号車ARTA NSX GT3のドライバーとしてスーパーGTを戦った武藤英紀。彼は長年参戦を続けてきたスーパーGTについて、ドライバーとしての参戦は今季限りでピリオドを打つ意向であることを明らかにした。
武藤は2006年にGT500クラスのNAKAJIMA RACINGからスーパーGTデビュー。翌年から渡米してインディカー・シリーズなどを戦った。そして2011年からスーパーGTに復帰し、2013年はGT300クラスのTEAM 無限でチャンピオンを獲得。その後はGT500のホンダ陣営で様々なチームを渡り歩き、今季は再びGT300クラスに戻り、ルーキーの木村偉織とコンビを組んでレースを戦っていた。
今季序盤は、久々のGT300クラス車両ということで走らせ方の面で適応が必要だったという武藤。さらに今季からNSX GT3は『EVO22』のアップグレードが新たに施されたため、車両の熟成にもやや手を焼いたようだ。
しかし、後半戦はコンスタントに予選トップ10に入るなどパフォーマンスを発揮。トラブルやペナルティなどで結果に繋がらないレースが続いていたものの、最終戦もてぎでポールトゥウィンという形でそれらが結実した。
まさに有終の美を飾ってシーズンを終えた55号車だが、武藤はmotorsport.comの取材に対し、スーパーGTでレースを戦うのはこのもてぎ戦が最後だろうと明かした。
「第一線というか、張り詰めた空気感の中でレースをするのはこれで最後かなと思っていました」
#55 ARTA NSX GT3
Photo by: Masahide Kamio
「今後は自分が今まで以上に楽しいと思えるレース、やりがいを感じられるレースに出場したいです。もちろん、レースに出るからには勝敗が大事だと思いますが、目を三角にして走るようなことはもうないかなと思っています」
実は武藤としては、TEAM Red Bull MUGENのドライバーとしてGT500で走った2020年シーズンを終えた段階で、自身の中でスーパーGTキャリアに一線を引いていたという。ただ昨年は牧野任祐の代役として2戦にエントリーし、今季は若手育成の一環としてGT300のオファーを受けた。
しかし武藤は、自身の中での感情面での変化に気付いていた。レースを通して、以前と同じレベルの悔しさや嬉しさが感じられなくなっていたという。「最終戦で優勝した時ももちろん嬉しかったのですが、前だったらもっと内から熱いモノが込み上げてきたと思います」と武藤。未来ある若手にシートを譲るためにも、自らは国内最高峰の熾烈なコンペティションから身を引く意向を固めた。
PPを獲得し木村と抱き合う武藤
Photo by: Masahide Kamio
ただ、レースを愛する武藤にとって、モータースポーツに対する情熱やモチベーションが失われた訳ではない。今季限りでレーシングドライバーとしてのキャリアにピリオドを打つという訳ではなく、今後もスーパー耐久などのカテゴリーを通して自らの経験を活かしていきたいと考えている。なお鈴鹿サーキットで行なわれるスーパー耐久の今季最終戦では、ホンダの従業員チーム『Honda R&D Challenge』のゲストドライバーとして新型CIVIC TYPE Rをドライブする予定だ。
「レースとクルマは好きだから、そこにピリオドを打つつもりはありません。ただ、今は自分が勝った負けたということよりも、自分が今まで経験したことを活かして、必要とされる場所に返していくということの方が楽しいですね」と語る武藤。彼のレース人生の新章にも注目だ。
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