予選Q1落ちから一転、終盤の追い上げで表彰台をゲット。松田次生が振り返る“ゾーン”に入った瞬間
スーパーGT開幕戦で追い上げのレースを見せて表彰台に立った松田次生。彼曰く、終盤は“ゾーン”に入っていたという。
写真:: Masahide Kamio
スーパーGT開幕戦岡山で3位表彰台を獲得したMOTUL AUTECH Z。予選9番手から実質的な8番手でバトンを受けたが、終盤追い上げ次々とライバル勢をかわす走りを見せ3位表彰台を獲得した松田次生に話を聞いた。
岡山に入って最初の走行となった16日朝の練習走行では、1分18秒185でトップタイムをマーク。しかし公式予選のQ1で松田は1分17秒697と練習走行より0.5秒タイムアップしながらも9番手となりまさかのQ1敗退。Q1でアタックできた14台のタイムはすべて1秒以内に収まる超接近戦だったとはいえ、Q2に進出できなかったのは大きなショックだったようだ。
「練習走行は柔らかめのタイヤで出たタイムで、予選では決勝に強い硬めのタイヤを履きました。予測どおりのタイムは出たんですが、最後にZENT(スープラ)にやられちゃいましたよね。周りのタイムがグッと上がって置いていかれた感じで、『何で?』って」
決勝は9番グリッドからのスタート。いつものようにロニー・クインタレッリがドライブしオープニングラップで8番手に順位を上げるが、岡山はコース幅も狭くなかなか前を走るauスープラのジュリアーノ・アレジのブロックをかわせず抜きあぐねる周回が続いた。クインタレッリは31周目にピットインし松田に交代。松田は暫定10番手(実質的8番手)でコースに出た。NISMOの素晴らしいピットワークもはまりauスープラの前に出られたことは大きかったが、逆に姉妹チームのクラフトスポーツZに逆転を許すこととなった。
「路面温度を考えると残り50数周をちゃんと走りきれるか心配でした。なので交代してしばらくはタイヤをもたせる走りを続けました。ロニーからも『リヤタイヤが苦しい』という情報をもらっていましたし、タイヤを労りながら8番手を走っていました。そのうちリアライズコーポレーションZのペースが徐々に上がらなくなったので、これをかわしたあたりですかね? スイッチが入ったのは」
タイヤを温存していた松田は昨年の鈴鹿やオートポリスの時と同じように「いい感じのゾーンに入りました。5位には行ける状態かなということで頑張りました。決して楽ではなかったです」と言う。
67周目のヘアピンでクラフトスポーツZと共にDENSOスープラを挟み撃ちにするようにして抜き、最初のFCY明けとなった69周目にはクラフトスポーツZもかわし5番手に浮上。72周目にはタイヤを消耗したカルソニックZをレッドマンコーナーで抜き去り、さらには73周目のアトウッドでZENTスープラに並びかけバックストレートエンドのヘアピンで、ついに3番手表彰台圏内まで順位を上げた。そして最後まで目の前のSTANLEY NSXを追いかけ3位フィニッシュを遂げ表彰台を獲得した。
「ZENTスープラとのバトルを制して残り2周はトップが見えていましたから、あと5周あったら勝てたかもしれませんが、表彰台に上がれたか上がれなかったかというのは大変な違い。ノーウェイトでの開幕戦で表彰台を獲得できたのは、冬場にNISMOやミシュランが一生懸命に開発をしてきた結果だと思いますし、9番手スタートからの表彰台は頑張った甲斐がありました」
昨年の開幕戦はスープラが表彰台どころか4位までを占めたが、今年は3メーカーが僅差で表彰台を分け合った。「今年は過去最高に混戦になるかもしれません。次の富士は22kgのサクセスウェイトを積むので簡単ではないと思いますが、セットアップを決めて長いレースですししっかりポイントを取って大好きな鈴鹿へ向かいたいと思います」とポジティブに語った。
ちなみにレース翌日都内へ帰って来た松田は、大好きなラーメンで自分にご褒美をしたとSNSで報告した。「糖質制限も大事ですが、食べないと逆にストレスが溜まります。身体を動かした分、油も補ってあげないと!」と笑った。ちなみに筋力は維持しており、集中力を高めるトレーニングは欠かさないという。42歳ベテランの活躍はまだまだ続きそうだ。
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