スーパーGT 第5戦:鈴鹿
aprが“勝てるクルマ”を再び手にしたことで露呈した、“ヒューマン”の課題。第5戦鈴鹿でQ1敗退の嵯峨宏紀は「昭和の運転」と金曽監督が苦言
aprの金曽裕人監督は、LC500h GTというポテンシャルの高いマシンを得た一方で、そのことによってチームメンバーそれぞれに課題があることが浮き彫りになったと語った。
戎井健一郎
公開日時: 2023/08/28 3:34
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レーシングコンストラクターのaprが今季からスーパーGTのGT300クラスに送り込んだレクサスLC500h GT。31号車apr LC500h GTは第4戦富士では5位、第5戦鈴鹿では6位とまずまずの結果を残しているが、予選や決勝の失敗がなければ優勝もあり得たのではないか……そう感じさせるパフォーマンスを続けている。
第4戦富士の予選では3番手タイムを記録。しかし、手違いにより指定外の燃料……つまり第3戦の燃料を使用してしまっていたことが発覚して失格となった。最後尾からのスタートとなった決勝は、難しいコンディションの中で猛然と追い上げ、優勝争いの一角に浮上してみせたが、ピット作業でのタイムロスも響き5位に終わった。
迎えた第5戦で31号車は、練習走行を6番手で終えるなどまずまずの滑り出しとなっていたが、予選ではQ1を担当した嵯峨宏紀がアタックをまとめきれず、セッショントップから2.7秒落ちタイムで敗退。今回も後方20番グリッドからの追い上げとなったが、最終的には上位争いまで顔を出し6位でレースを終えた。
「クルマの速さではなく、今回もヒューマンの部分での弱いところが出てしまいました」とレースを総括するのは、aprの金曽裕人監督だ。
監督曰く、嵯峨は自身のドライビングをハイダウンフォースのニューマシンにアジャストすることができておらず、「昭和の運転しとる」と厳しい言葉で苦言を呈した。
「Q1で落ちたのも、嵯峨のドライビングがまだこのクルマに合わせ切れていないのが要因です。あんなの落ちるわけがない、というのが正直なところです」
「今のクルマは空力で走っているので、ギクシャクした走り方をすると一定のGをかけて走れず、一定のダウンフォースを得られません。そこはドライバーが自分でコントロールする必要があります」
「ドンっとブレーキをかけてギャンっとステアリングを切る古いスタイルの走らせ方でクルマをピッチングさせたり、ヨーイングを残したままになると、せっかく(地面に)へばりついていたものが離れようとします。ブレーキで頑張るとチンスポイラーと路面とのクリアランスがなくなり、そこでフロントのダウンフォースがなくなるんです。『俺は〇〇メートル看板まで(ブレーキを踏まずに)行けた』というようなスタイルだと今のGTは乗れません」
「今のZ世代のドライバーはもっと違うクルマの動かし方をしている一方で、古いスタイルの走らせ方をするドライバーは乗りにくくなっています。歴史を紡いでいるドライバーたちは、色々な車両を乗り継いできたからこそ、ドライビングはこうだという固定観念がある。では、(96号車K-tunes RC F GT3の)新田守男や高木真一がなぜ乗れているかというと、そこにピュアに合わせていけるから。あの人たちは若い子に自分のドライビングスタイルを合わせられるカメレオン的な精神があります」
予選の結果を受けて、決勝は小高一斗と根本悠生のふたりでレースを戦ったapr31号車。ただ金曽監督も「だからといって見捨てるわけではない。彼は器用なドライバーなので、猛勉強中です」と語る。
以前はミッドシップのTOYOTA PRIUS apr GTで嵯峨らを擁し、GT300のシリーズ争いの常連だったapr31号車。2019年からフロントエンジンのTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTとなってからは大いに苦戦したが、そのためチームが“クルマ”というハード面に意識がいき過ぎてしまい、チームの総合力というソフト面を高めることが疎かになっていたと金曽監督は指摘した。
ピットミスが出た第4戦を受け、チームを今一度引き締めた金曽監督は次のように語る。
#31 apr LC500h GT
Photo by: Masahide Kamio
「今回はメカニックミスは一切出ていませんが、今度はドライバーの弱い部分にしわ寄せが来た。レースって弱い部分にスポットライトが当たり、目立つようになっています。ひとりひとりがパーフェクトな仕事をしないと、今のGTでは勝てません。たまたま勝てるということはないです」
「やはり土曜日の結果をもっと良くしていかないと。10数台抜きましたと言っても、じゃあ前からスタートしたらどうだったんだ、という話ですから」
「去年までは(プリウス)PHVでしたが、弱いのはクルマだと分かっていたので、クルマクルマクルマになり過ぎている間に周りが疎かになっていました。やっと良いクルマが設計できた一方で、周りがついていけていなかった。まずメカニックたちと、管理面。今度はドライバーだった、ということです」
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