ウエイト82kgながら、一時はトップに……王者au TOM'S、僚機Deloitteと異なるタイヤを選ぶも想定外に泣く|スーパーGT第6戦
36号車au TOM'S GR Supraは、ウエットコンディションのスーパーGT第6戦SUGOで一時首位に立つなど、優勝争いにも絡んだが4位に。タイヤ選択とレース展開が噛み合わなかったことも要因にあるようだ。
#36 au TOM'S GR Suprat
写真:: Masahide Kamio
ウエット路面からドライ路面に変化していく難しいレースとなったスーパーGT第6戦SUGOでは、37号車Deloitte TOM'S GR Supraが14番手スタートから劇的勝利を飾った。同じくトムスの36号車au TOM'S GR Supraも4番手スタートから優勝をうかがっていたが、4位に終わった。
ポイントリーダーで、サクセスウエイト82kg(実際には48kgのウエイト+燃料流量2段階ダウン)という足枷があったにもかかわらず、レース前半は首位に立って後続を引き離す場面もあったau TOM'S。ただ37周目に、後方から追い上げてきたDeloitte TOM'Sにオーバーテイクを許すと、その流れで背後にいた後続にも交わされ、4番手に落ちた。
こういったレース展開の背景には、スタート時のウエットタイヤのコンパウンド選択も関係している。実は優勝したDeloitte TOM'Sは、いわゆるハード側のウエットタイヤをチョイスしていた。その一方でau TOM'Sはミディアムを選択。ドライバーの坪井翔はすぐに発動してパフォーマンスを発揮できるミディアムの長所を活かし、序盤に一気に先頭に立ったのだ。
しかしながらau TOM'S側にとっては不運な出来事があった。ストップ車両の処理のため、26周目にセーフティカーが出動したのだ。既に、ハード側のタイヤを履くDeloitte TOM'Sのようなマシンの方が“元気”な状況になっている中で、au TOM'Sが築いていた後続とのリードが“チャラ”になってしまったのだ。
縦軸がタイム、横軸が周回数
写真: Motorsport.com Japan
こちらのグラフは、第6戦で優勝したDeloitte TOM'S、そしてポールスタートから2位となった38号車KeePer CERUMO GR Supra、そして4位のau TOM'Sという3台のスープラ勢のレースペース推移を表したものだ。ミディアムを履くオレンジのau TOM'Sは序盤から安定して1分22秒台〜24秒台と高い水準のペースを発揮している一方、20周前後あたりから、ハードを履く緑のDeloitte TOM'Sの方がアベレージペースで上回るようになっている(赤の円)。そして1回目のセーフティカー明けのリスタートから、2度目のセーフティカー出動を前に各車ドライタイヤに交換するまで(黄緑の円)は、au TOM'Sのペースもさらに落ち込んでしまっている。
また、青色のKeePer CERUMOもau TOM'Sと同様に序盤ペースが良かった一方で、そこから一時ペースを落とすようなグラフとなっているが、選んだタイヤはハードだったという。ただ走行を担当していた石浦宏明曰く、「ウォームアップに不安があったのでそこをケアする設定にしてもらった結果、ウォームアップが良くてスタートで前に出られた一方、ペースが安定したところでフロントタイヤが厳しくなってしまった」とのことだ。
au TOM'Sの吉武聡エンジニアは、前半にセーフティカーが出動したこと、そして路面がなかなか乾かなかったことから、結果論的にはハード側のタイヤが正解だったのだろうと話す。また4位という結果もサクセスウエイトを考えると、セミウエットのレースだったことを差し引いても金星なのだが、展開次第ではより上の順位も狙えただけに、納得のいっていない様子を見せた。
「最初に前に出られたところまでは良かったですが、SCが出てしまい、狙っていたギャップがなくなってしまいました。そこからはちょうどハードの(有利な)コンディションになってしまったので」
「SCがなければ、ライバルに追い付いて来られた頃にちょうどドライアップ……というイメージでした。結果論で言うとハードだったのかなと」
「(路面の乾きが遅かったことは)予想外でした。それもひとつの要因で、ミディアムでスタートして、ドライアップにはそんなに時間がかからないと思っていました」
「結果だけ見れば4位というのはすごく大きいですし、燃リス(燃料流量リストリクター)も入っている中でランキングトップも守れて万々歳なのですが、前が見えていただけに、モヤモヤしますね」
続く第7戦オートポリスでau TOM'Sはさらに燃料流量が引き下げられ、通常の95.0kg/hから88.0kg/hまで引き下げられることになる。オートポリスもオーバーテイクが決して容易なサーキットとも言えないため、チームとしてはコース上で燃費走行とハイペースを両立しつつ、ピット戦略で少しでも上の順位を目指すような戦いとなるだろう。
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