スーパーGT 第7戦:オートポリス

「気持ちとしては、非常に辛い」断腸の思いの坂東代表。“ガチンコ勝負”を追い求めてきたスーパーGTがタイヤワンメイク化の経緯を説明

2027年からタイヤがワンメイク化されることになったスーパーGT。GTA坂東代表が、その経緯などを語った。

戎井健一郎

公開日時: 2025/10/19 4:04

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GTA坂東正明代表

写真:: Motorsport.com / Japan

 スーパーGTが2027年シーズンよりGT500、GT300両クラス共にタイヤワンメイクとなることが、第7戦オートポリスの決勝レースを前にした会見で発表された。これまで複数メーカーによるタイヤ開発競争を特色としてきたスーパーGTにとっては、シリーズの大きな転換点を迎えることになる。

 スーパーGTはこれまで、サクセスウエイトなどシリーズを盛り上げるギミックを持たせながらも、自動車メーカーによる車両の開発競争、タイヤメーカーによるタイヤ開発競争を根幹としてきた。シリーズをプロモートするGTアソシエイション(GTA)の坂東正明代表も、「すべてのものに対して“ガチンコ勝負”で長くやってきた」と語る。

 坂東代表は、トヨタ、ホンダ、日産の国内3メーカーによるGT500の戦いは「苦しいながらも今後も続けていく方向で相違ありません」とした一方で、現在ブリヂストン、横浜ゴム、住友ゴム(ダンロップ)、ミシュランの4メーカーが供給するタイヤに関しては、コストなど様々な問題によりマルチメイクを断念せざるを得なかったと説明した。

「ひとつの問題として、チームに対するタイヤのコストが高騰しているのは間違いなく、GT300のチームが支払うタイヤの金額がかなり高くなっています。それに開発タイヤとコマーシャルタイヤの差異の問題などもあり、各エントラントと再三話し合いをしてきました」

「タイヤメーカーとしても、企業としてただ参加するのではなく、結果が求められるという部分があったのも事実です。それらの話し合いをした結果、2027年から500も300もワンメイクでやります」

 これらの話を聞くと、ワンメイク化に至った理由はひとつではなく、複雑な要因が重なっていそうだ。

 坂東代表は続けて、この決断が断腸の思いで下したものであったと話した。その時彼の声は途端に詰まり、傍目には感情を押し殺しているようにも見えた。

「自分の気持ちとしては、非常に辛い。ガチンコを追い求めてやってきたところがありますから。断腸の思いで、色々なことを考えながら、500も300もワンメイクでやる方向にいたしました」

 関係者への取材の中でも、難しい判断を強いられる坂東代表の心中を慮るような声も聞かれていたが、坂東代表は苦渋の決断に至る背景を次のように語った。

「自分がチームをやっていた時も、大きな力に対して(タイヤメーカーと共に)立ち向かっていくという意思もありました。そういった小さなチームの意志は、大きなタイヤ屋さんの中にも当然ありました」

「ただ、それを支えている上場企業の皆さんとしても、楽しい、悔しいという思いだけでは、企業全体の経営の部分、費用対効果の部分でなかなか難しいものがあるのだろうと思います。会社の全員がモータースポーツを理解してくれているとも限らないでしょうし。そんな中でタイヤメーカーの皆さんと色々と話し合いをした結果、GTAとしてはこの先の道としてワンメイクを選ばざるを得ないと判断しました」

 今後に向けては、入札によって各クラスのワンメイク供給のメーカーを選定する流れとなる。坂東代表は「単価だけの問題ではなく、トータルでどのような形でパートナーシップを組めるか」を模索するとしている。既に入札自体は開始されている模様で、供給メーカー決定後、2026年中に供給体制を整えていくとのことだ。

 スーパーGTに参戦する各チームは、タイヤメーカーとの付き合い方もそれぞれ。中には、シリーズの歴史の中で特定のタイヤメーカーと強い結び付きを持ち、タイヤメーカーからのサポートによって参戦体制を整えているチームも存在する。タイヤワンメイク化により、こういったチームの参戦継続に懸念はあるのか? これについて坂東代表に尋ねると、次のように答えた。

「我々はプロモーターとしてレースをやっているわけで、(特定チームとタイヤメーカーの繋がりは)付帯物として後からついてきたものですよね。自分は全チームのことを考えているわけで、そういったスポンサーシップ等はチームとタイヤ屋さんの問題。我々としてはGT300のタイヤのコストを下げることを第一に考えています」

「ただ、今(ワンメイク化を)発表することで、1年かけてチームの方で体制を整えることができます。タイアップやパートナーシップ、タイヤ販売など様々な都合のあるチームは、体制を修正いただいたり、販売戦略を新たにお考えいただくといった時間にこの1年を充てていただきたいです」

 

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