スーパーGT 第2戦:富士
“映画のような逆転劇”の裏で——スバルBRZを襲った残酷な運命。優勝目前でストップの井口卓人「今日のはちょっと……キツいです」
スーパーGT第2戦富士で、トップ走行中の最終ラップにマシンがストップした61号車SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人。気持ちを切り替えて頑張りたいとコメントしたが、さすがに憔悴した様子を隠しきれなかった。
戎井健一郎
公開日時: 2025/05/04 11:36
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写真:: Motorsport.com / Japan
まるで映画のようなレースだ——。スーパーGT第2戦富士のGT300クラスのレースを表現する上で、これ以上の言葉はないかもしれない。6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIの優勝はそれほど劇的であり、61号車SUBARU BRZ R&D SPORTの敗北はそれほど悲劇的だった。
予選から61号車SUBARUと777号車D'station Vantage GT3の一騎討ちの様相を呈していた今回のGT300クラス。決勝でもこの2台を中心に優勝争いが展開されたが、D'stationが給油のため追加のピットストップを強いられたことで、レースリーダーはSUBARU BRZにかわった。
レース終盤、27番グリッドから追い上げてきたUNI-ROBOフェラーリが差を縮めていたが、井口卓人が乗るBRZが逃げ切れそうなギャップを保っていた。ファイナルラップの時点で、ギャップは2秒と少し。チームにとって3年ぶりとなる歓喜の瞬間が訪れようとしていた。
しかし、ヘアピンを立ち上がってきた井口のマシンからは白煙が。BRZは力無くランオフエリアに止まり、勝負が決した。ファイナルラップ、フィニッシュまであと半周での悲劇だった。
#61 SUBARU BRZ R&D SPORT
写真: Masahide Kamio
レース終了から1時間以上経っても、ピット裏には多くのスバルファンが残っていた。憔悴しきった表情でピットに戻ってくる井口が目の前を横切った時、少女の目から大粒の涙がこぼれた。
井口に悲劇的なファイナルラップの顛末を聞くと、「まだ原因は分かっていませんが、おそらくエンジンが壊れたのだと思います」と彼は答えた。
「走行中から、パワー感があったりなかったり違和感はありましたが、それでも普通に走れてはいました。ただ最終ラップのヘアピンの立ち上がり、アクセルを踏んだ瞬間から急に、エンジンが完全に壊れているかのような抵抗感があり、ガラガラと音もしていて、ボンネットの抜き(開口部)から煙が出てました。だからもう止めるしかありませんでした」
予選、決勝と高いパフォーマンスを見せていたスバル。「最後は差を詰められましたが、優勝に手が届いていたと思います。この良さを次も活かして、またチームと笑えるようにみんなで頑張りたいです」と井口はいつも通り気丈に語りはしたが、気持ちなど切り替えられるはずもないだろう。率直にそう問いかけた。
「今日のはちょっと……キツいです」と井口は力なく返した。
「昨年も色々とトラブルがある中で頑張って走り続けましたが、今年はクルマも変わって心機一転、チームも気持ちを新たにして臨んだシーズンでした。このリタイアはショックも大きいですが、まだ2戦目なので、なんとか気持ちを立て直して、今日みたいな走りをしたいです」
2021年にチャンピオンを獲得して以降、スバルの面々の嬉し涙よりも悔し涙を見ることが圧倒的に多い。井口はスバルファンと共に、もう一度嬉し涙を流したいと述べた。
写真: Masahide Kamio
「チャンピオンをとって以降、苦戦が続いてしまっていますが、そんな苦しい状況でも応援してくれるファンの皆さんの存在が僕たちのモチベーションに繋がっています」
「優勝したりチャンピオンを獲った時に、ファンの皆さんと一緒に嬉し泣きするあの感覚は忘れられません。またその感覚を取り戻せるよう頑張ります」
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