スーパーGT
多種多様なGT300クラスで、公正なタイヤ供給という難題。来季ワンメイクサプライヤーのダンロップに聞く「考え方はシンプルです」
来季からスーパーGT・GT300クラスのワンメイクタイヤサプライヤーを務めるダンロップ。既にその仕様はほぼ固まっているというが、方向性を大きく誤っているようなことはないはずだと語る。
戎井健一郎
公開日時: 2026/10/14 11:08
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Start action(GT300)
写真:: Masahide Kamio
2027年のスーパーGTでは、タイヤがワンメイクとなり、GT500はブリヂストン、GT300がダンロップ(住友ゴム)が供給する。第4戦富士以降ではレース後の居残りテストも行なわれており、開発中のワンメイクタイヤには概ねポジティブなコメントが多い印象だ。
特にGT300クラスはこれまでヨコハマ、ブリヂストン、ダンロップ、ミシュランという4つのタイヤメーカーが参入しており、車種も非常に幅広いバラエティに富んだクラス。来季は大きな変化の年となるが、ダンロップのスーパーGTタイヤ開発を統括する安田恵直氏に、9月のSUGO戦で開発の進捗を聞いた。
2027年からのワンメイクサプライヤーが公表されたのは、第4戦富士が行なわれた8月頭。そして富士戦の後に最初の開発テストがスタートし、一部の車両が来季用のダンロップタイヤをテストした。
安田氏曰く、最初のテストにタイヤを持ち込んだ段階で、仕様はほぼ確定しているという。
「実際にテストが始まって、そこからデータをフィードバックして仕様変更をして……という時間もないので、ほぼ決まっているような状態ではあります。今コンペ(開発競争)をやりながら、ですからね」
「コンペよりもピークグリップは下がるのですが、性能の幅が広くて耐摩耗性の高いコンパウンドは、他のカテゴリーで開発をしていて既に持っているので、それをベースにしています」
やはりGT300のワンメイクサプライヤーにとって最大の難関となるのが、性能面で公正なタイヤを供給するということではないだろうか。GT300クラスには複数の車両規定があり、駆動形式も様々。それぞれのメーカーが各車両に合わせ込んだタイヤ開発をできた従来ですら、「今年のタイヤはウチに合わない」などといった声が聞こえてくるほどだった。
住友ゴムの取締役常務執行役員、津崎正浩氏が「安全で、そして公平・公正な競技環境を提供できるよう努力してまいります」と記者会見で言及しているように、“公平・公正”は来季以降のダンロップにとってひとつのキーワードとなる。ただ安田氏は、考え方としてはシンプルだと語る。様々な重量配分の車両がある中で、その中間値をとる、という考え方だ。
リヤエンジンの911からフロントエンジンのGT-Rまで、多用な駆動形式の車両が揃う
写真: Masahide Kamio
「色々な重量配分のクルマがいるので、その中間値を取るような開発の準備をしてきました。大外しはしていないのかなと思っています」
「考え方としては非常にシンプルです。これまでは基本的に、各車両の重量配分に合わせて剛性の前後配分を変える開発をしてきたのですが、今後はそれを1スペックでやる必要があります。ということは、ポルシェ(リヤエンジンのポルシェ911 GT3 R)の重量配分からGT-R(フロントエンジンの日産GT-R NISMO GT3)の重量配分……その中間のところに合わせたタイヤを作ってきています」
「そしたらここ(中間)の重配に近いクルマが有利になるということになりますが、そこは如何ともしがたいですので、そこはBoPで調整いただけないかとお願いをしているところです」
「結果的に出来上がったタイヤの剛性のバランスは、(世界のGT3カテゴリーにタイヤを供給する)ピレリさんのバランスに近いものに仕上がっているので、考え方としてはそんなにおかしいことはないんだろうなと思っています」
なお、来季用のタイヤは「コンペから1周1秒強落ちくらいで開発しています」とのことで、タイムレンジは大きく落ちない見込み。レースの見栄えとしても変わることはないだろう。
ただ、ピレリタイヤを履いたIGTC(インターコンチネンタルGTチャレンジ)の車両と混走する鈴鹿1000kmでのパフォーマンスは気になるところ。もしGT300勢が鈴鹿で従来と1秒ほどしか変わらないラップタイムで走った場合、IGTCのマシンを大きく上回ってしまい、海外勢は総合優勝争いの蚊帳の外になってしまう……といったことも考えられなくもない。
ただ、スーパーGTプロモーターのGTA(GTアソシエイション)としても大きな懸念はしていないようで、坂東正明代表は記者会見の中で「テストを見る限りはダンロップの方が速いですが、そこは合わせ込みをします。例えばハードタイヤを使ったりすれば、(IGTCに)相当するタイムになるとは思いますので。その辺りはSRO(IGTC運営)とタイヤの確認をしながら進めていきます」としている。
“異種格闘技”の競争者から、全車の足元を支える立場へ。安田氏は「皆さんが大きな問題なくタイヤを使って競技をしてもらえて、お客さんも喜んでいただけたら、それが一番ですよね」と述べた。
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