スーパーGT 第6戦:SUGO

タイヤ無交換で19番手から2位! GT300王座争い大量リードのリアライズ。しかしオリベイラ「こんな“ジョーカー”毎戦使うわけにはいかない」

スーパーGT第6戦でタイヤ無交換作戦を成功させた56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラは、GT300クラスのタイトル争いで大きなリードを得たものの、その表情は決して明るくない。

戎井健一郎

公開日時: 2026/09/21 8:40

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#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R

#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R

写真:: Masahide Kamio

 スポーツランドSUGOで行なわれたスーパーGT第6戦のGT300クラスは、フロントロウスタートの60号車Syntium LMcorsa LC500 GTと61号車SUBARU BRZ R&D SPORTが快調な走りを見せ、そのままダンロップユーザーによるワンツーフィニッシュが飾られるかと思われた。

 しかしレース後半、後方から思わぬ伏兵が現れた。それが19番手スタートの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rだった。

 第2戦富士を制し、以降も2戦連続で手堅く5位に入ってGT300のポイントリーダーにつけていた56号車リアライズのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ、木村偉織組。しかしSUGO戦の予選では苦戦し、ランキング上位陣では唯一のQ1敗退に終わった。

 そこで彼らが決勝レースで敢行したのは、タイヤ無交換作戦だった。GT300ではピットストップでのタイヤ無交換は珍しいことではなく、主にブリヂストンタイヤを履くGTA-GT300勢や、車体の軽いMC86 マッハ号などで見られるが、GT-R GT3×ヨコハマタイヤというパッケージでの無交換はある意味奇襲作戦と言えた。

「僕がスーパーGTで経験した中で一番速いピットストップだったと思う。ドライバーが出てきて、(交代の)ドライバーが乗って、エンジンをかけて、“ブーン”だ」

「トップに立っていると言われた時は驚いたけど、それもチームが素晴らしい仕事をしてくれたおかげだ」

 GT300のKONDO RACINGのドライバーとして2度のGT300タイトルを獲得してきたデ・オリベイラのこのコメントは、彼らにとってタイヤ無交換がいかに珍しい作戦であったかを物語っている。デ・オリベイラに交代した56号車はLMcorsaの前に立って事実上のレースリーダーとなり、一躍大逆転優勝の目が現れた。しかし、トラフィックの中で思わぬ落とし穴があった。

 デ・オリベイラはフレッシュタイヤを履くライバルからの追走からなんとか逃れていたが、レース終盤にハイポイントコーナーでGT500クラスの38号車KeePer CERUMO GR Supraに抜かれる際、接触してしまったことでアウト側のグラベルにコースオフ。LMcorsaに首位の座を奪われてしまった。デ・オリベイラはこう説明する。

「60号車(LMcorsa)がプレッシャーをかけてきていることは分かっていたし、僕のペースも落ち始めていて厳しくなっていた。その中でトラフィックを使って優位に立とうとしていた」

「GT500のドライバー(KeePer CERUMOの大湯都史樹)があそこで突っ込んでくるとは思っていなくて、僕はコースオフすることになってしまった。マシンには小さなダメージがあったけど、幸い走行を続けることができた」

 結果的に2位でフィニッシュした56号車リアライズ。デ・オリベイラは、普通の戦略では上位には入れないため、前日の夜にタイヤ無交換というギャンブルを決断したのだと説明した。前半スティントを担当した木村のタイヤマネジメントにも助けられ、自身のスティント終盤はバイブレーションに苦しみながらも、なんとかペースを保って走り切ることができたという。

「ヨコハマタイヤと、素晴らしいピットストップをしてくれたチームに心から感謝している」

 今回の2位獲得で、デ・オリベイラと木村は今季のチャンピオンに大きく前進した。混戦のランキング2番手以下との差は21ポイントに広がり、ほぼ1レース分の差をつけて頭ひとつ抜け出した(優勝は25ポイント)。

 しかしながら、インタビューに応えるデ・オリベイラの表情は芳しくない。予選で大苦戦したことをかなり深刻に捉えているようで、タイトル争いでも優位な状態にあるという意識はないという。

「こんなジョーカーを毎回毎回使うわけにはいかない」

「今日はギャンブルが成功したけど、ペースがもっと必要だ。僕たちは予選の速さが足りていなくて、これが今後改善できなければ大きな痛手になるだろう」

「こう言うと意外に思うかもしれないけど、僕は(ポイントの)計算は一切していないし、するつもりもない。最終戦で色んなことが起こってチャンピオンシップがひっくり返ることは何度も見てきた。僕たちは最高のパフォーマンスを発揮し続け、自分たちのミスでポイントを失わないようにして、相手のミスにつけ込む必要がある。それが最終的に勝敗を分けるんだ」

 

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