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インタビュー

半年ぶりに帰ってきた“Are You Ready”。ピエール北川アナが語るファンの存在

新型コロナウイルス感染防止対策で前半4戦が無観客での開催となったスーパーGTは、第5戦から観客を入れて開催されるようになった。その中でも場内実況を担当するピエール北川アナウンサーから、観客のいるスーパーGTはどのように見えたのだろうか。

Fuji Speedway

写真:: 吉田知弘

 スーパーGTの決勝レース前に必ずと言っていいほど響き渡る「Are You Ready?」の声とファンの声援。それが、10月初旬に行なわれた第5戦富士で帰ってきた。

 新型コロナウイルスの影響で、2020シーズンの開催スケジュールは大幅に変更。さらに感染防止対策の一環として前半4戦は無観客でレースが実施されることとなったのだが、第5戦から様々な感染対策を講じた上で、人数を制限して観客動員が再開された。

 スーパーGTでは、フォーメーションラップ開始前の短い時間を利用して、各スタンドに詰めかけたファンに応援の準備ができたかを呼びかける「Are You Ready?」のかけ声が風物詩となっている。第5戦では飛沫感染を防ぐため、大声を出すことはできなかったが、それでも「Are You Ready?」のかけ声と、それに反応して盛り上がるファンの姿が、久しぶりに見られた。

 その火付け役となったのが、同シリーズの場内実況を担当するピエール北川アナウンサーだ。約半シーズンぶりに実現した「Are You Ready?」を行なった瞬間の心境を訊いた。

シーズンを迎えられる“安堵”と、無観客開催という不安”

 当初は4月に開幕予定だった2020シーズンだが、新型コロナウイルス感染拡大により、開幕は大幅にずれ込むこととなってしまった。ただ、無観客ではあるものの、7月からシーズンが動き出せると分かり、ピエール アナウンサーは安堵したのと同時に、大きな不安も感じたという。

「まずはシリーズができることに対して安堵しました。アナウンサーという立場よりも、モータースポーツ好きという立場から考えると、観客は入れられないけど、まずはレースが始められるんだなと思いました。ただその反面、お客さんがいないのであれば、アナウンサーの仕事は必要ないのではないか? ということになります。そこを考えると……正直、普通の精神状態ではいられなかったです」

 ピエール アナウンサーはそう語る。

「必要とされる場所がなければ仕事がないということになります。『どうしよう……』と心がグラつく時もありましたが、GTAの坂東(正明)代表から『お客さんは入れられないけど、レースをやる以上は、いつもの雰囲気を出したい』とお話をいただきました。なので、無観客であっても、場内実況は行なうということなりました」

「非常に光栄だったし、責任は重大だなと思いました。同時に僕なりにどういうアウトプットをした方が良いのか? というのを色々考えました」

「実際に4戦やってみて、最初は不安も多かったですが、いざやってみたら、お客さんがいなくても、いつものテンションで実況はしているし、レースも追いかけることができています。自分のいつもの仕事が帰ってきた感じではありました」

無観客開催となった第2戦富士のグランドスタンド

無観客開催となった第2戦富士のグランドスタンド

Photo by: Tomohiro Yoshita

開幕戦で目の当たりにした“誰もいないグランドスタンド”

 しかし、開幕戦の実況席に座ったピエール アナウンサーの目に飛び込んできたのは、誰もいないグランドスタンドだった。

「開幕戦と第2戦の舞台だった富士スピードウェイはパドック側に放送室があって、グランドスタンドが正面に見えるんですが……全く人がいないんです。これは僕にとっても初めての体験でした」

「いつも、大勢のお客さんがいるのに、そこに誰もいないというのは、ものすごく違和感でしかなかったし、寂しかったです。改めて、僕はそこ(グランドスタンドにいる大勢のファン)に頼って喋っていたんだなと実感しました」

「お客さんの反応を見ながら、言葉を選んで、そこに語りかけていく。その反応をみて、さらに楽しさを伝搬させていくというスタイルをとっていたので……無観客の間、それが全くできないというのは、寂しさを覚えました」

「でも、みんなの安全を考えると、この(無観客開催という)判断は間違っていなかったと思います。自分も寂しさを感じながらも、いつも通りのテンションでやったつもりでした」

 もちろん、無観客の中で場内実況をするというのは、ピエール アナウンサーにとっても初めての経験だった。誰もいない静まり返ったグランドスタンドを見ながら実況し、思わず自分の存在意義について問う場面もあったという。それでも、今までのようにみんなで盛り上がれる瞬間が帰ってくることを信じて、前半4戦を乗り切り、ようやくサーキットにファンが戻ってくる瞬間を迎えた。

「第5戦からお客さんが入ってこれるようになったんですが、まずはサーキットに入った時のテンションが違いますよね。『あ、1コーナーにたくさんお客さんがいる!』『あっちではテントを張っている人がたくさんいる』と思うと、それだけでワクワクしました。やっとお客さんが帰ってきてくれたなと感じて……それだけでテンションが上がりました」

観客を動員して行なわれた第5戦富士

観客を動員して行なわれた第5戦富士

Photo by: Masahide Kamio

“僕たちみんなのスーパーGTが帰ってきた”ということを伝えたかった

 そう語ったピエール アナウンサー。ファンのみならず関係者も待ちに待っていた「Are You Ready?」のかけ声については、このようなエピソードも披露してくれた。

「レースが始まる時の“Are You Ready?”については、事前に中継のスタッフと念入りに打ち合わせをしました。スタート前の1分20秒~1分30秒くらいあるタイミングで、必ず(呼びかけをする)4ヵ所はカメラで押さえましょうということを話し合いました」

「お客さんが盛り上がる姿を撮影したものが全国に中継映像として流れて『いつものスーパーGTが戻ってきたよ』というのを、(テレビ観戦している)みんなに知って欲しかったですし、中継チームと一緒にそれを作り上げることができて、本当に良かったなと思いました」

 ピエール アナウンサーは、こう続けた。

「僕たちみんなのスーパーGTが帰ってきたことを伝えたかったんですよね。スーパーGTはファンあってのレースですし、誰が欠けてもいけないイベントです」

「もちろん、まだ全員が来られている訳ではないですし、オフィシャルステージもまだ出来ていない状態です。それでも、まずはお客さんが帰ってくる最初のレースだったということもあって、今まで以上に“Are You Ready”は感動を覚えましたね」

ファンが生み出す“新たな化学反応”に期待

 この第5戦富士を皮切りに、今季の残る3大会についても有観客でのレースが開催されることとなる。ピエール アナウンサーはファンの声援が、新たなドラマを作っていくことになるのではないかと期待を寄せていた。

「第5戦でもファンが入ってくれて、その熱気がドライバーやチームにどうやって伝搬して、科学反応が生まれるのかというのをすごく楽しみにしていました」

「前半4戦もたくさんの真剣勝負が見られましたが、そこにお客さんが加わることで、ドラマを変える存在になる可能性は十分にあると思います。それをすごく期待しています」

「これから、少しずつ観客動員も増やしていけるかもしれません。最終戦の時は“withコロナ”ではあるけれども、我々が“勝ち取った”というか、全員でいつものスーパーGTを“取り戻せた”という雰囲気にできればいいですね」

 今週末はコロナ禍では初めて鈴鹿サーキットで観客を動員してのシリーズ第6戦が開催される。富士スピードウェイと並んで、毎年大きな盛り上がりを見せる鈴鹿ラウンド。今回はどんな熱気に包まれるのか、目が離せない。

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