登録

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本

英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記:元F1ドライバーを失ったスーパーGT。実績ある外国人を誘致する手立てはあるか

日本を拠点に活動するmotorsport.comグローバル版のニュース・エディター、ジェイミーがお届けするコラム。今回はヘイキ・コバライネンがスーパーGTを離れることに関連して、スーパーGTにおける有力外国人ドライバーの減少について綴った。

ヘイキ・コバライネン Heikki Kovalainen(#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra)

ヘイキ・コバライネン Heikki Kovalainen(#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra)

Masahide Kamio

 こんにちは! 日本在住のイギリス人ジャーナリスト、ジェイミー・クラインです。今年最後のコラムをお届けします。

 先月富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT最終戦は、日本の二大カテゴリーのスリリングな1年を締めくくるにふさわしいものでした。日産GT-R GT500の最後のレースということもあり、ある意味ひとつの時代の終わりも感じさせられました。

 そしてレース後には、ヘイキ・コバライネンがTEAM SARDでの7シーズンに渡るスーパーGT生活を終えることを発表しました。コバライネンは今年の夏、8月の鈴鹿ラウンドを前にフィンランドに一時帰国。妻のキャサリンと年末年始以来の再会を果たしていましたが、その時には決心していたようです。

 コロナ禍の影響で渡航制限が続いており、さらにはオミクロン株が発見されるなど予断を許さない状況が続いていることを考えると、コバライネンの決断は十分に理解できます。ただ、これでスーパーGTは世界的な注目を集めるドライバーをひとり失ってしまいました。

 コバライネンがスーパーGTを離れることによって、2022年のグリッドには海外出身の元F1ドライバーがひとりもいなくなることが濃厚です。信じられないことですが、これはスーパーGTの前身である全日本GT選手権の実質的な初年度、1994年シーズン以来のこととなります(翌1995年からはエリック・コマスが参戦開始)。これでは、海外のモータースポーツファンに目を向けてもらうのが難しくなります。

 富士での最終戦の後、コバライネンとZoomで話す機会があったのですが、そこで彼と、元F1ドライバーがスーパーGTに少なくなってしまったことについて話しました。彼曰く、第7戦もてぎの後に自身の決断をSARDに伝えた時、チームから「日本に来てくれそうな外国人ドライバーはいないか」と聞かれたとのこと。それに対して彼は、2019年にルノーF1のシートを失って以来、目立ったレース活動をしていないニコ・ヒュルケンベルグくらいしか思い付かないと返答したそうです。

 その後SARDがヒュルケンベルグとコンタクトを取ったかどうかは定かではありません。ただ仮に連絡を取っていたとしても、実現の可能性は少なかったでしょう。ヒュルケンベルグは家族と離れ離れになることを望んでおらず、それがインディカー挑戦を断念した理由のひとつではないかとも言われています。そう考えると、彼が日本に来る可能性は極めて低かったと考えられます。

 悲しいかな、外国人ドライバーは現状、日本に完全に移住するか少なくとも1年の大半を日本で過ごさない限り、スーパーGTに参戦することは難しいと言えます。元F1ドライバーはおろか、外国人ドライバーの新規参戦すら難しい状況です。

 世界を見渡すと、WEC(世界耐久選手権)、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権、フォーミュラE、インディカー・シリーズなど、数多くの選手権があります。コロナ禍で厳しい状況の中、元F1ドライバーたちがスーパーGTに参戦するのは考えにくいことです。

 スーパーGTがコバライネンのような素晴らしいドライバーを7年も抱えることができたのは幸運だったと言えます。実際、コバライネンが2014年にラウジッツリンクで行なわれたDTMテストの後、BMWのシートを逃していなければ、彼が来日することもなかったかもしれません。その年、コバライネンはトヨタWECチームへの加入に向け話し合いをしていました。しかし、レースシートを得るためにはテスト/リザーブドライバーとして1年を過ごさなければならないと言われたそうです。それは彼にとって魅力的ではものではありませんでした。

 そこでトヨタが提案したのがスーパーGTでした。SARDはアウディからWECに参戦することとなったオリバー・ジャービスの後任として、別の外国人ドライバーを探していたのです。SARDは鈴鹿でオーディションを行ない、コバライネンと、トヨタのWECチームから外れたニコラ・ラピエールを競わせました。その結果、コバライネンが2015年シーズンのシートを得たのです。

 それ以降でF1出身の外国人ドライバーがスーパーGTに参戦した例は、ジェンソン・バトンとナレイン・カーティケヤンの2例。ただバトンは2シーズン、カーティケヤンは1シーズンのみの参戦に留まっています。

ジェンソン・バトン

ジェンソン・バトン

Photo by: Masahide Kamio

 さて、今後大陸間の移動が容易になった際に、さらに多くのスタードライバーを日本に呼び込むためにはどうすればいいのでしょうか?

 ひとつ考えられるのは、スーパーGTがスーパーフォーミュラのようにシーズン終了後の“ルーキーテスト”を開催し、そこで外国人ドライバーを起用したチームにインセンティブのようなものを与える、ということです。ただ、プロモーターのGTアソシエイションと、GT500に参戦するホンダ、トヨタ、日産の3メーカーが外国人ドライバー誘致に積極的であればの話ですが……。

 トヨタ、ホンダ、日産の3メーカーは世界各国のレースに参戦している企業なので、実績あるドライバーを日本に呼んでGT500をテストドライブさせることはそれほど難しくないはずです。例えばの話ですが、セバスチャン・オジェやマイク・コンウェイがGRスープラに乗ったり、ホンダがアレクサンダー・ロッシにNSX-GTをドライブさせたり、あるいは日産フォーミュラEの新鋭、マキシミリアン・ギュンターが新型Zをドライブしたり……見てみたいと思いませんか?

 例えこれらのドライバーがスーパーGTにフル参戦しなかったとしても、テストドライブをするだけでその宣伝効果は絶大です。欧米のドライバーたちの間で、GT500マシンがいかに素晴らしいかという話が広まるでしょう。もしかしたら、アントニオ・ジョビナッツィやダニール・クビアト、ロバート・クビサなんかもスーパーGTに目を向けるかもしれません。

 最後になりましたが、今シーズン、私のコラムを読んでくださった読者の皆さんに感謝します。良いお正月をお過ごし下さい。2022年シーズンは目の前に迫っています。今から待ち遠しいですね。

 
Read Also:

Be part of Motorsport community

Join the conversation
前の記事 【インタビュー】ヘイキ・コバライネン:後編 静かなる退場に「僕らしい引き際。これでいいんだ」
次の記事 【スーパーGT】Hitotsuyama Racingが参戦休止を発表。GT300にはSHADE RACINGが新規参入へ

Top Comments

コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本