天候に翻弄された岡山公式テスト、GT500クラスで気になった日産とホンダの“流れ”

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天候に翻弄された岡山公式テスト、GT500クラスで気になった日産とホンダの“流れ”
執筆:
2019/03/25 0:35

先週行われたスーパーGT岡山公式テスト。2日間にわたって天候に翻弄されたが、それ以上に各チームが揃って手の内を隠しているのが垣間見えたテストだった。その中でもGT500クラスでは、日産とホンダが動きや流れが気になった。

 今年も4月に開幕を控えているスーパーGTシリーズ。2019シーズンの行方を占う上で最も重要視されるのが、3月に2度行われる公式合同テストだ。

 このうち、GT500・GT300の両クラスが一堂に会する最初の機会が、岡山で行われる最初の公式テスト。今年も3月16日~17日に開催され、メディア関係者だけでなく多くのファンも来場し、サーキットは本戦さながらの熱気となった。

天気に翻弄され、各チームとも思うようにテストができず……

テスト2日目は霰(あられ)に見舞われた岡山国際サーキット

テスト2日目は霰(あられ)に見舞われた岡山国際サーキット

Photo by: Masahide Kamio

 今年の岡山公式テストは、とにかく天候に翻弄された。1日目の朝にはサーキットに雪が積もり、除雪等のためにセッション開始が30分遅れた。午後のセッションでも開始直前に雨が降ったかと思えば、すぐに太陽が顔を出し30分後にはドライコンディションに回復するなど路面状況が常に変化する1日だった。

 2日目も午前中が雨で、午後には霰(あられ)が舞ってセッションが一時中断される始末。両日ともセッション終盤にはドライコンディションで走行できた時間はあるものの、安定しない天候状況に各チームとも「用意していたテストメニューが消化できなかった」と頭を抱えていた。

 そんな中、GT500クラスでは日産とホンダの動きが気になった。

カルソニック IMPUL GT-Rの好調さは本物?

#12 カルソニックIMPUL GT-R

#12 カルソニックIMPUL GT-R

Photo by: Masahide Kamio

 1日目は日産勢が速さをみせ、午前のセッションではトップ2を独占。午後のセッションでも途中までは上位を占める展開が続いたのが印象的だった。昨シーズンは第2戦富士で#23 MOTUL AUTECH GT-Rが勝利を飾ったものの後半戦では上位に食い込むシーンもなく、大敗を喫した。

 今年は何としても雪辱を晴らすべく、車体・エンジンともにパフォーマンス改善を狙って徹底的な見直しを図ってきた模様。それが、少なからずこのテストに出ているようではあった。

 その中で際立つ速さをみせたのが、#12 カルソニック IMPUL GT-R。1日目午後に行われたGT500専有走行ではコースレコードを約1秒上回る1分17秒167をマークした。このタイムを記録した佐々木大樹は手応えを感じつつも、満足している様子はなかった。「(ホンダ勢は)絶対に僕たちと近いところにいるはず」と、昨年チャンピオンのホンダ勢の動きをかなり警戒。同じように、現場を取り仕切るチームインパルの高橋工場長も、この初日の結果に対して全く笑顔を見せなかった。

 しかし、冬のメーカーテストから常にトップタイムを記録している部分をみると、明らかに#12 カルソニック IMPUL GT-Rが速さを取り戻しつつあるのは確かと見ていいかもしれない。久しぶりに優勝争いに絡む力強い12号車の走りを、今年は楽しめそうだ。

手の内を隠していたにしても“流れが悪い”ホンダNSX-GT勢

#8 ARTA NSX-GT

#8 ARTA NSX-GT

Photo by: Masahide Kamio

 もうひとつ気になったのが、昨年チャンピオンであるホンダ勢の動きだ。昨年の岡山公式テストでは速さをみせトップタイムを連発してみせていたが、今年は一転して下位に沈むリザルトとなった。

 これについてライバル陣営は「絶対に本来のパフォーマンスを隠している」「三味線を弾いている」と警戒感を強めていた。その理由となっているのが「BoP」だ。

 日産GT-R、レクサスLC500とは異なりミッドシップレイアウトを採用するホンダNSX-GTには性能調整(BoP)が入れられ、他の2車種と比べて比べて車体の最低重量が重く設定される。今シーズンのBoP数値を決定する上で、この岡山公式テストの結果はひとつのバロメーターとなるため、それを踏まえてテストをしていた部分もあったようだ。

 調子の良いチームやメーカーは第2戦、第3戦で課されるウエイトハンデを想定して岡山のテストでウエイトを積んでテストをすることもある。ただ、どうやら今回のホンダ勢にそこまでの余裕はなかった模様だ。陣営の各チームを頻繁に行き来していたホンダの佐伯LPLの表情を見ても、確かに余裕があるとは思い難いものだった。

 それの裏付けになるかは分からないが、タイム結果以外の部分でも2日間のホンダ勢の動きには気になるものがあった。

 2日目の午後のセッションでは、#17 KEIHIN NSX-GTが深刻なマシントラブルを抱え、セッション開始早々に走行を断念。残り5分を切ったところでは、#1 RAYBRIG NSX-GTのリヤカウルがバックストレート走行中に突然脱落した。同様のトラブルは2017年の第4戦SUGO(このときは17号車に発生)でも起きている。

 また1日目にはNSX-GTの何台かが、バックストレート終わりのヘアピンでブレーキをロックさせコースオフをするシーンが見られた。同じ場所で同じような症状が複数回起きているとなると、偶然とは言い切れない可能性も出てくる。

 これらの事象が、どこまで深刻なものなのか? シーズン開幕に影響するものなのか? については分からない。だが、この岡山テストはホンダ勢にとって決して流れの良いものではなかったことは確かだ。

 昨今のスーパーGT、特にGT500クラスは激戦を極めており、その差も非常に拮抗している。開催レース数も8戦とそこまで多くないことを考えると、ちょっとした事で“流れ”が大きく変わり、レース結果に少なからず影響することもある。そして毎年言えることだが、その“流れ”の出発点となるのが、この3月の岡山公式テスト。すでに2019シーズンの戦いは始まっていると言っても良いのだ。

 これらを踏まえて、次回の富士公式テスト(3月30日~31日開催)で、どのような内容・結果が出てくるのか? それによって2019シーズンのGT500クラス勢力図が少しずつ明らかになりそうだ。

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この記事について

シリーズ スーパーGT
イベント 公式テスト岡山
執筆者 吉田知弘
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