スーパーGT第4戦プレビュー:昨年ホンダ陣営が“制圧”したもてぎ……トヨタ陣営の逆襲はあるのか?
第2戦富士の開催から約2ヵ月半。スーパーGTがようやく帰ってくる。今回の舞台であるツインリンクもてぎは、昨年ホンダ陣営が圧倒的な強さを見せたサーキットだが、今季もその流れは続くのか? それともトヨタ陣営の逆襲はあるのか?
写真:: Masahide Kamio
2021年のスーパーGTは、5月4日に富士スピードウェイで第2戦が行なわれた後、約2ヵ月半ものインターバルを挟んでようやく次なるレースを迎える。これは5月末に予定されていた第3戦鈴鹿が8月に延期されたためだが、17号車Astemo NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット組)が勝利を収めた富士戦がはるか昔のことのように感じられる。
7月18日に決勝レースが行なわれる第4戦の舞台はツインリンクもてぎ。もてぎでは昨年2レースが開催されたが、その両方でホンダ陣営のマシンが優勝した。9月に行なわれた第4戦では17号車NSXが優勝し、11月に行なわれた第7戦ではNSX-GTによるトップ5独占という快挙が成し遂げられた。
近年のもてぎ戦はノーウエイトの最終戦に組み込まれることが多かったが、昨年の2レースはランキング上位がウエイトを積んだ状態での戦いとなった。今季予定されている2レース(第4戦、第7戦)も、状況は同じだ。しかし、昨年の第4戦で46kgものウエイトハンデ(現サクセスウエイト)をはねのけて優勝した17号車のバゲットは、今回のレースでその再現をするのは難しいと考えている。
というのも、今回17号車に課せられているサクセスウエイトは52kg。サクセスウエイトが51kg以上となった場合、ウエイトの搭載と燃料流量リストリクター径の調節が併用されることとなり、17号車の燃料流量は95.0kg/hから91.8kg/hまで絞られることになるのだ。これはいわゆるストップ・アンド・ゴーのレイアウトであるもてぎを戦う上で不利な状況と言える。
2021年スーパーGT:ドライバーズランキング(第2戦富士終了時点)
順位 | ゼッケン | 車両名 | ドライバー | ポイント | サクセスウエイト |
---|---|---|---|---|---|
1 | 14 | ENEOS X PRIME GR Supra |
大嶋和也 山下健太 |
35 |
70kg*2 |
2 | 17 | Astemo NSX-GT |
塚越広大 ベルトラン・バゲット |
26 |
52kg*1 |
3 | 37 | KeePer TOM'S GR Supra |
平川亮 阪口晴南 |
23 | 46kg |
4 | 36 | au TOM'S GR Supra |
関口雄飛 坪井翔 |
15 | 30kg |
5 | 39 | DENSO KOBELCO SARD GR Supra |
ヘイキ・コバライネン 中山雄一 |
13 | 26kg |
6 | 1 | STANLEY NSX-GT |
山本尚貴 牧野任祐 |
11 | 22kg |
*1燃料流量が通常95.0kg/hから91.8kg/hに
*2燃料流量が通常95.0kg/hから88.6kg/hに
「今回の目標は、チャンピオンシップにおける(ランキング首位との)差を縮めることだ」
バゲットはそう語った。
「速いマシンの多くが軽いので、トップ5に入ることができればいいと思っている。僕たちが勝つには雨とかコンディションの変化が必要だと思う。予選も決勝もフルでドライだと、かなり厳しいだろう」
「ウエイトは燃料リストリクターに比べればそれほどハンデではない。燃料リストリクターはかなりタイムを失うし、何故かホンダ勢の方がトヨタ勢よりもそのハンデが大きいように感じる。もし勝てたら本当に驚くよ。トップ5というのが現実的な目標で、それが達成できればハッピーだ」
ホンダ勢にとって朗報なのは、17号車が厳しいサクセスウエイトを課されている一方で、前戦富士で速さを見せた8号車ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組)と1号車STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組)に関しては、それぞれ14kg、22kgと、比較的軽いウエイト搭載量で済んでいることだ。
バゲットは、昨年の第7戦もてぎを制した8号車が今回の“大本命”だと考えている。8号車がホンダ-ブリヂストン陣営(1号車、8号車、17号車)の中で最もマシンが軽く、なおかつもてぎでの直近4レースで2勝していることを考えれば、それも頷ける。
しかし、現在ランキング3番手につける37号車KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/阪口晴南組)の平川は、今回のもてぎ戦はホンダ勢にとって一筋縄ではいかないだろうと予想している。そしてこの楽観的な見方には根拠がある。
今回37号車が搭載するサクセスウエイトは46kg。これは奇しくも昨年17号車がもてぎを制した際に搭載していたウエイト量だ。また、GRスープラ勢は開幕戦岡山で37号車がポールポジションを獲得しただけでなく、決勝でもトップ4を占めており、直線成分の多いコースのみならずテクニカルなコースでも速さを発揮できることを証明しているのだ。
「僕たちはスープラの弱点克服に取り組んできました」と平川はmotorsport.comに語った。
「昨年のようなこと(ホンダ勢の圧勝)にならないといいですね。僕たちはどんどん良くなっているので、昨年とは違う展開になることを期待しています」
平川は46kgのサクセスウエイトを背負い、1周あたり約0.5秒のハンディキャップがある37号車がもてぎで勝つのは難しいと考えているが、表彰台は不可能ではないと考えている。現在ランキングトップの14号車ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組)も、富士で40kgのサクセスウエイトを背負いながら2位に入っている。
「表彰台は可能だと思っています」と平川。
「予選は厳しいと思いますし、Q1を通過できればそれでいいと思います。戦略も限られていますし、コース上で追い抜くのも難しいでしょう。5位、6位でも十分だと思いますが、運が良ければ表彰台には上がれると思います」
先述の14号車は燃料流量リストリクターの制限が2段階目に突入し、燃料流量が95.0kg/hから88.6kg/hまで絞られるため、かなり厳しい戦いを強いられることが予想される。一方他のBSスープラ勢に目を向けると、開幕戦で2位に入った36号車au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔組/サクセスウエイト30kg)や、昨年のもてぎで表彰台に上がった38号車ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明組)あたりも脅威になってくるだろう。
今回のレースウィークは最高気温が30℃を超えると予想されているが、その暖かいコンディションが好都合なチームもある。ヨコハマタイヤは夏のレース、そしてもてぎ戦との相性が良く、富士でポールポジションを獲得したトヨタ勢唯一のヨコハマユーザー、19号車WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋組)が再び輝きを放つ可能性もある。
また、23号車MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)はここまでノーポイントに終わっているが、ミシュランタイヤにとって暖かいコンディションは大歓迎。ノーウエイトの利点を活かして開幕2戦の鬱憤を晴らしたいところだ。
もてぎ戦はオーバーテイクが難しい関係で、予選で速さを見せることが重要になると思われるが、これは開幕2戦でホンダ勢が苦しんできたところだ。ホンダBS勢の3台はレースペースの良さを見せているものの、開幕戦岡山では3台共Q1敗退に終わっており、これが響いて決勝での上位進出を逃している。
バゲットもホンダ勢にとって予選が重要になると認めた。
「トヨタ勢は依然として直線スピードでアドバンテージがあるので、予選が重要になるだろうし、ホンダ勢が最近予選で力強さがないのは事実だ」とバゲット。
「でも昨年の結果から分かるように、もてぎは僕たちのマシンに合ったサーキットだ」
「岡山を見る限り、トヨタ勢は昨年に比べて大幅に改善しているので、警戒しないといけない。富士でも14号車はウエイトをかなり積みながらも速かったからね」
「でも正直、僕はホンダ勢の勝利を期待している。ホンダ勢が予選で前に行けば、倒すのは簡単ではないと思う」
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