「走るエンジニア」野尻智紀と「速すぎる宇宙人」大湯都史樹……対照的なふたりがARTAで“相思相愛”コンビ結成。かつてない化学反応が生まれる?
2023年のスーパーGTでコンビを組むARTA8号車の野尻智紀と大湯都史樹。彼らはお互いの良さが噛み合えば、GT500で最強のコンビになれるという自信があるようだ。
写真:: Motorsport.com / Japan
12月12日(月)にホンダの2023年シーズンの参戦体制が発表された。その中で最も注目を集めたのが、スーパーGTのARTAが無限のメンテナンスの下、GT500クラスで2台体制を敷くということだ。その中の1台である8号車は、国内トップフォーミュラで最強を誇る野尻智紀と、最も勢いのある若手のひとりである大湯都史樹がコンビを組むことになった。
GT500で3シーズン目となる大湯は、ここ3シーズンで11勝を挙げている“NSX-GT×ブリヂストン”というパッケージを手にした。さらにチームメイトは日本を代表するドライバーのひとりである野尻とあって、相当な期待感を持っているようだ。
「スーパーフォーミュラで2年連続チャンピオンをとって、ARTA、NSX、ブリヂストンというパッケージでの歴が長い野尻さんと組めるというのは良かったですし、お互いのドライバーがお互いと組みたいという意思がありました」
「僕は2年間(笹原)右京くんとやらせていただいて、その中でも学べることがあり良い刺激がありましたが、クルマを作るという点で野尻さんのチームとの関わり方も気になっていました。野尻さんも僕の実力は買ってくれていますし、こういう体制で来年乗れるというのは楽しみですね」
野尻とは“相思相愛”な関係であることをうかがわせた大湯。一方の野尻も、大湯が持つスピードセンスをこれ以上ない形で絶賛した。
「速さはピカイチですよね。走ったら彼の方が速いですよ」
Photo by: Masahide Kamio
「言ってしまえば、今回名前が出ているドライバーの中で誰が一番速いかと言ったら、絶対大湯都史樹なんですよ。スーパーフォーミュラも悪い状況の時がありましたが、クルマの限界以上のタイムを出してきます。そこで僕のセットアップの考え方などを融合させれば……という思いがあります」
「彼は能力が高く、どんなクルマでもタイムが出せます。ただどうにでもできちゃうからこそ、それで走っちゃう。僕はその逆で、どうにもできないからクルマを速くするんです」
「それらふたつがまとまり、お互いが少し足りない部分をより刺激し合い、相乗効果を生み、野尻智紀と大湯都史樹が共にレベルアップすることができていれば、その時はチャンピオンが獲れていると思います」
車両のメカニズムに関する造詣がエンジニア並に深く、チームと共にマシンを速くしていく能力に定評がある野尻と、その天才的なセンスでどんなマシンでも速さを見せられる大湯……もちろん、対照的なふたりがバッチリと噛み合う保証はなく、それは彼らも理解している。
「正直、どう転ぶかは分からないと思っています」と語るのは野尻。ただ、“宇宙人”とも評される強烈な個性を持つ大湯と良い協力関係を築くことはできるだろうと語った。
Photo by: Masahide Kamio
「大湯選手は強烈なキャラクターを持っている選手です。GTでは良い協力関係を築けるかが重要ですが、そういう点で彼と組める選手ってなかなかいないと思います」
「凡人の僕には、強烈な個性を持つ彼の全てを理解することはできないかもしれませんが……(笑)。ホンダのドライバーの中では彼を理解している方だと思うので、他の人よりも彼の言動を受け止められるのではないかと思っています」
一方の大湯も持ち前のセンスで、野尻の仕上げるマシンに走りで合わせることができると自信を見せる。
「ベースとしては野尻さんがクルマを作っていく形になると思いますが、野尻さんは性格的にもお互いがパフォーマンスを出せるクルマにしていく方だと思いますし、そもそも良いクルマは誰でも速く走れるクルマだと思っているので、クルマの好みに関する意見の食い違いはないと思います」
「それに僕は何でも乗れる感じなので、野尻さんが『これだと乗れない』と言うのであればそっちに合わせられる自信はあります」
そのピースがハマりさえすれば、GT500で誰も手が付けられないコンビになるというポテンシャルを感じさせるふたり。野尻は「ものすごく噛み合ったら(良い意味で)とんでもないことになるんじゃないかという期待もあります」と言う。大湯もコンビ初年度からチャンピオンを狙っていくと意気込んだ。
Photo by: Masahide Kamio
「今年のARTAは色々噛み合わない部分があったと思います。そんな中で来年は無限とタッグを組むことで、かなり良いシリーズを戦っていけると思っています」
「8号車のパッケージは最強だと思っているので、満を持して初年度からチャンピオンを狙えると思います」
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