【トップインタビュー】坂東正明「理想は“世界統一戦”。みんなで発展の可能性を探らねば」

スーパーGTの運営団体であるGTアソシエイションを率いる坂東正明代表にmotorsport.comがインタビュー。第2回となる今回は、海外への展開を中心に話を聞いた。

【トップインタビュー】坂東正明「理想は“世界統一戦”。みんなで発展の可能性を探らねば」

 コロナ禍においても独自の道を探りつつ、スーパーGTの開催に成功したGTアソシエイション。組織を牽引する坂東正明代表はその発想力、実行力において他に例を見ない。コロナ禍でのレース開催に関しては第1回インタビューで語っていただいたので、第2回の今回はスーパーGTの目指すところ……国内ばかりか海外への展開などに関しての考えも聞いてみた。

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ーー国内では不動の地位を占めたスーパーGTですが、海外への進出も視野にあります。まず、ドイツのレースシリーズDTMとの競演に関して伺えますか?

「2009年のITRとの会合以降、DTMとの規則統一という話が持ち上がった。当初は2017年からの技術規則統一に向けて合意し、それに先駆けてスーパーGTでは2014年からDTMとの共通部品を採用し統一した規則に対応する車両を導入した。その後、日本で先行して使用していた2L直4ターボエンジンのDTM側での採用時期の関係で規則の統一を2年間延ばし、2019年からとすることで合意した」

「それで進めていたらメルセデスがDTMを止めるという話になった。その翌年にはアウフレヒト(ハンス・ヴェルナー)がDTM会長を辞めることになって、DTMはかなりドタバタした状況になった。しかし、アウフレヒトに代わってゲルハルト・ベルガーがDTMの会長になって、我々との約束は守るということで、共通の技術規則を2019年に向けて完成させる話は継続できた」

ーーその後交流戦が行なわれました。

「2017年のDTM最終戦にスーパーGTのクルマを何台か持って行ってDTMマシンとのデモランをやり、同じ年のスーパーGTの最終戦に今度はDTMマシンが来日しスーパーGTマシンとのデモランを実施した。そして、2018年6月の共通規則CLASS1の完成版の公開を経て、昨年の末に独日双方で両シリーズの車両が競い合う特別交流戦を実施した」

「それをきっかけに、その後はお互い毎年1戦ずつ交流戦をそれぞれのシリーズ戦に入れていこうという話まで出来ていた。しかし、メルセデスの後に参戦したアストンマーチンが2019年1年だけで止めたので、BMWとアウディの2メーカーのみとなった。その後、アウディは2メーカーでは負担が大きすぎると言うことで、結局アウディも今年限りでの撤退ということになった。そんなわけで今DTMは大きく姿を変えようとしている」

ーー交流戦どころの話ではないですね。

「はい。しかし我々としてはせっかく合意した車両規則CLASS1はしっかり継続させて日本の3メーカーだけでもきちっと作りあげていこうと。DTMとは話をするけれど、どういう方向性を持っているのか定かではない。いろんな話は聞こえてくるけど、どうなるかわからない」

ーーDTMに対して苛立ちはないですか?

「DTMに対して苛立つというよりは、彼らと我々ではプロモートのあり方が違う。DTMはメーカーの意向を代表したITRという窓口があるわけで、それぞれのメーカーの考え方で方向が変わってくる。我々はGTAという組織があって、メーカーと協力関係でやっている。GTAだって取締役にはメーカーの人達がいるけれど、運営はあくまでGTAという組織。ただ、一概に向こう(DTM)がどうだとは言えない。生い立ちが違うんだから」

アレッサンドロ・ザナルディ Alex Zanardi #4 BMW M4 DTM

アレッサンドロ・ザナルディ Alex Zanardi #4 BMW M4 DTM

Photo by: Masahide Kamio

ーーただ、交流戦はやりたいですね。

「本当は世界統一戦の様なものをやりたい。例えばアメリカではIMSA、日本ではスーパーGT、ドイツはDTMだけど、それらが同じ技術規則の下、共通のパーツを使用したレースを行なうのであれば、世界統一戦の可能性はある。でも、そこにはマーケティングが絡んできて、特にDTMはメーカー主導なのでその傾向が強い。だから、世界統一戦というのはなかなか難しい。日本車がDTMで勝っても、ヨーロッパで売れるかといえば難しい。本来はそうやってマーケットを取りに行くのがいいんだけど。ヨーロッパのメーカーも東南アジアのマーケットを欲しがっているのは分かっている」

ーースーパーGTはすでに東南アジアでレースをやっています。

「スーパーGTはタイやマレーシアでレースを開催しているが、これは自動車メーカーの意向以上に、GTAがそこにしっかりとした本物のレースを根付かせたいという考えから。理想としては、東南アジアの各国でスーパーGTルールでのレースシリーズが行なわれ、スーパーGTが東南アジア地域で大会を開催する際にそれぞれの国のチャンピオンがワイルドカードで参加してくるといった形態になればいいかなと思っている。GT300でね。GT500の可能性もなきにしもあらずだけど、難しいだろうね。日本の3メーカーにならぶ自動車メーカーが東南アジアにあるかといえばなかなか難しいからね。現地の日本車メーカーのディーラーが日本のクルマを買って参加してくれてもいいんだけど(笑)」

ーーGTAが支援するということは出来ないんですか?

「メーカーの協力がないと無理だろうね。日本車のメーカーがそれぞれの国のレース活動をきちんと認知した上で動き出さないと。DTMとの交流戦だって長い時間がかかってやっと実現したわけで、まあ積み重ね、継続が重要で、それがビジネスに繋がってくれば東南アジアでのスーパーGTルールのシリーズの開催も可能性がある。まあ、時間はかかるよね」

「そういう意味では、アジアでスーパーGTルールのシリーズを開催出来る可能性が一番高いのは、経済力という点でも中国だと思っている。そういうようなことを考えながら、自動車メーカーをはじめみんなでモータースポーツを発展させる可能性を探らないといけない」

ーー最後にこれからの話を聞きたい。環境対策が急務ですが、レースも避けては通れない。

「来年の事も重要だが、GT500の次期技術規則を導入する2024年以降の環境問題や、30年に向けてEV(電気自動車)の普及はどうなるかとか、色々課題がある。そういうことを含めて、レースのあり方も考えていかなければならない。化石燃料のレースをすぐに止めるわけにはいかないから、継続していった上で30年以降のスタンスをどうするかを考えなきゃいけない」

「代替燃料に関して、例えばEVに供給する電気を考えても、ヨーロッパは陸続きだから、他国で発電した電気をケーブル引っ張ってその国と遣り取りができる。イギリスは島国だけど、大陸と近いし友好関係を結んでいる国が多いのでそういう遣り取りが出来る。でも、同じ島国でも日本は状況が違うので自国の中だけでやらなきゃいけないのか、という話。EVはガソリンは不要だが、走行に必要な電力をつくる際のCO2の排出を考え合わさなければならない。そういうことを考えると、市販車にEVを普及させるにも様々な難しい問題がある。そんな状況でいかに化石燃料のレースをやりながら代替燃料のレースに移行するか? 簡単な話じゃない」

ーー最後は少し難しい話になりましたが、有り難うございました。

 

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この記事について

シリーズ スーパーGT
執筆者 赤井邦彦