走る電車のそばで! TikTokで! レースの世界観伝える斬新な試みに出たスーパーGT。女性新入社員の目線も取り入れ「もっとSNS活用を」
両国駅を舞台に行なわれた『SUPER GT CONNECT FES 2026』。スーパーGTのプロモーターGTAは、長いインターバル期間に既存ファンを楽しませ、新規ファンを開拓すべく、様々な人たちの思いを形にしたという。
写真:: Motorsport.com / Japan
日曜日のJR両国駅に、日本最高峰のレースカテゴリー『スーパーGT』がやってきた。この日開催されたのは『SUPER GT CONNECT FES 2026』。現在では定期列車が発着せず“幻のホーム”と呼ばれる3番線ホームを舞台に、スーパーGT車両(昨年チャンピオンマシンのau TOM’S GR SupraとLEON PYRAMID AMG)を展示し、現役ドライバーや監督によるトークショーなどを実施、さらにはその模様をTikTok LIVEで配信するという、これまでにない挑戦的な試みとなった。
受付を行なえば駅構内への入場券のみで参加できるこのイベントには、午前中から熱心なファンが詰めかけた。入場人数が制限されていることもあり、11時にイベントが開始された直後には、既に1時間以上先の入場整理券(リストバンド)が配布されていた。
またスーパーGTの世界観を体感できるのは、3番線ホームに集まるファンだけではない。お隣2番線は、約5分間隔でJR総武線の列車が発着しており、ドア越しに物珍しそうにレーシングカーを眺める人たちや、スマホで撮影する人の姿も見られた。この日総武線を利用する多くの人々に「あのレースカーは何だ」と思わせただけでも、このイベントを開催した効果はあったはずだ。
電車の車窓から撮影をする人も
写真: Motorsport.com Japan
今季のスーパーGTは6月下旬に予定されていた第3戦セパンが昨今の社会情勢を鑑みて延期(本年開催中止)という措置が取られたため、ゴールデンウィークの第2戦富士から8月頭の第4戦富士まで3ヵ月という非常に長いインターバルが空くことになった。スーパーGTを運営するGTアソシエイション(GTA)によると、参戦チームからなるGTエントラント協会側から「このインターバルを活用して何かイベントをしたい」という話が出ていたといい、GTAがその想いを両国駅でのイベントとして形にした格好だ。
そういった背景もあってか、両国に来ていないチームの多くからも全面的な協力が得られている。各チームはTikTok LIVEのコラボ配信という形で、各チームのファクトリーなどと両国を繋ぎ、普段はなかなか見られないガレージの様子などを発信した。初の試みということで手探り感は否めない部分もあったが、チームによってはオフラインでのファンイベントと連動させるなど、多くのファンを楽しませたいという意気込みが伝わってきた。
このTikTokをプラットフォームに選んだというのも、実に“今風”であると言える。
ショート動画とライブ配信などが楽しめるTikTokは、今や流行が作られる場所という側面もある。例えばアイドルシーンでは、CUTIE STREETの『かわいいだけじゃだめですか?』に代表されるように、キャッチーなフレーズがTikTokでバズることがブレイクの鍵となっているし、サカナクションの『夜の踊り子』が十数年の時を経て再び音楽チャートの上位に入るようになったのも、この曲を使ったミームがTikTokで爆発的に拡散されたことが発端となっている。
そんなTikTokの活用は、GTAに新卒入社した20代の女性社員のアイデアによるものが大きいという。
「TikTok LIVEで新規の方々が見にきてくださる機会を作れると思います」
そう語る彼女は、このイベントのライブ配信を「どれだけ『おすすめ』欄に出せるか」が重要だと話す。
オフラインでのトークイベントと、各チームに中継を繋いでのTikTok LIVEを連動
写真: Motorsport.com Japan
TikTokでは自分がフォローしているアカウントの動画や配信をスクロールして視聴するタブの他に、『おすすめ』というタブが存在する。“面白い動画”との出会いを求めて、このおすすめ欄に入り浸って夜通しスクロールを繰り返す人たちも少なくない。
おすすめ入りを果たすためには、いいねやコメントといった、いわゆる“エンゲージメント”、そして視聴数や離脱率の少なさなどが指標になると言われている。要するに、配信が盛り上がれば盛り上がるほど、おすすめ欄に表示される確率も上がるというわけだ。
「両国駅にGTカーがあるということで、ファンの方にも楽しんでいただけると思いますし、コアファンの方々がコメントなどで配信を盛り上げてくださることで、(おすすめ欄に載りやすくなり)新規のファンを連れてきてくださる……そういうコアファンと新規ファンの繋がりも、TikTokではできるかなと思います」
彼女は元々親の影響でモータースポーツには馴染みがあったというが、昨今のF1人気を受けて「モータースポーツの業界に足を踏み入れたい」と思い、国内最高峰であるスーパーGTの門を叩いた。F1に若年層のファンが増えたことは肌で実感しており、「私の友達でもF1が好きな子がいるのですが、ほぼNetflix(のドキュメンタリー番組)から入っていますね」と話す。
そういった若年層の新規ファンを取り込むためには、やはり昨今ブームの“推し活”を取り入れるアプローチは有効であるはず。ただ同氏はスーパーGTではそれだけでなく、「日本のクルマ好き」をもっと取り込める余地があると感じたという。
推し活ブームの昨今
写真: Motorsport.com Japan
「最近では、ドライバーを推すという“推し活”が人気とよく言われますよね。F1もそういった形で新規のファンを大きく増やしているので、それも大事だなと思っています」
「ただGTAに入って感じたのは、スーパーGTは日本のクルマ好き、クルマ文化を代表しているということです。そういった文化としての盛り上がりをプッシュしていけるんじゃないかと思っています。推し活や女性ファンも大事ですが、若い男性やお子さん連れも一緒に盛り上げていくためにも、クルマやメーカー同士の戦いという側面を見せていきたいですし、その見せ方の一環としてSNSをもっと活用していきたいです」
「実際にやっていることの規模は大きいので、もっと多くの人にハマっていただける価値は十分にあると思います。それを伝えるという部分で、もっとSNSを活用していければと思っています」
新入社員からのフレッシュな意見も参考に、新たな角度からの施策を打ち出してきたスーパーGT。人気拡大のためなら、斬新なトライはいくらあってもいい。
入場待ちの通路では各チームのパネルがお出迎え
写真: Motorsport.com Japan
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