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25号車MCが残した“最後のプレゼント”、土屋武士「最後まで役目を全うしてくれた」

先日行なわれた「autosport web Sprint Cup」でラストレースを迎えたつちやエンジニアリングの#25 HOPPY 86 MC。ラストランで、このクルマがチームの若い職人たちに最後に教えたものとは……

#25 HOPPY 86 MC

#25 HOPPY 86 MC

吉田知弘

 スーパーGT×DTM特別交流戦と併催されたGT300車両主体の「autosport Web Sprint Cup」で、ラストレースを迎えた#25 HOPPY 86 MC。つちやエンジニアリングの代表であり今回は#244 MaxRacing RC F GT3のドライバーを務めた土屋武士は、86マザーシャシーがレース2決勝で、チームのスタッフに大切なものを残してくれたと語った。

 つちやエンジニアリングは、これまで使ってきた86マザーシャシーでの参戦を2019年いっぱいで終了することを表明。来シーズンは具体的な車種は明らかになっていないがGT3マシンにスイッチすることが分かっている。

 その25号車マザーシャシーのラストランとなった「autosport Web Sprint Cup」。しかし土屋は、今回は25号車の監督として臨むのではなく、スーパー耐久でメンテナンスを担当する244号車のエンジニア兼ドライバーとして参戦した。そのため土屋は週末を通して25号車の業務を一切行なわず、普段つちやエンジニアリングのマネジメントを担当する松井宏太がこのレースのみチーム監督を務めた。そしてセッティングに関しては、チームの若いスタッフとドライバーたちでセッティングを話し合い決めていくという、今までにないスタイルを採った。

「こういう(244号車の)仕事を僕が受けたので、25号車は良い機会だから全部若い連中に任せて、僕は完全に244号車に集中していました。今までのもの(持ち込みのセッティング)はこっちで用意しましたけど、そこから先は好きなようにやらせました。だから、この週末は仕事に集中していて、唯一25号車に気持ちが行ったのは、最後のウイニングランの時だけでした」

「そんな機会は(シリーズ戦では)本当にないことですし、またこういう機会をいただくことができた。そしてこのクルマが最後に走る姿をみんなに観てもらうことができたと思います」

 土屋はそう語った。

「autosport Web Sprint Cup」最終日となった24日(日)のレース2決勝では、25号車は順調に順位を上げる走りを見せ、最終的には表彰台も手が届きそうな位置を走っていた。しかし途中のピットストップで義務付けられている“ピット滞在時間”が規定に0.4秒ほど足りず、その罰則として1秒のストップ&ゴーペナルティを言い渡された。

 これにより25号車は後退を余儀なくされ、最終的にトップから53秒差の8位でチェッカーを受けた。サーキットには25号車を応援するサムライサポーターをはじめとして多くのファンが駆けつけ、このマシンの最後の勇姿を見守っていたが、残念ながら“有終の美”を飾ることはできなかった。

 まさかの展開にチームのメカニックも笑顔はなく、チェッカーを受けた25号車を迎える姿も、どこか力が入っていない様子だった。その光景を244号車のコックピットから見た土屋は、25号車というクルマが最後に残してくれた“プレゼント”だと感じたという。

「正直、このラストランで感じたこことは……チェッカーを受けてサインガードの前を通過した時のメカニックが残念そうにしている表情が目に入ってきました」

「彼らの悔しそうな落ち込んだ顔を見て『(25号車マザーシャシーは)最後の役目を果たしてくれたな』と思いました。こうして、このクルマはチームのみんなに悔しい思いをまたさせてくれた……これが今後みんなの成長の糧になると思います。みんなの悔しそうな顔を見た時に、『そうか!』と僕も改めて気づきました」

「つちやエンジニアリングがレースに復帰した時も、若い職人を育てるというテーマで、このクルマと共に5年間やってきました。僕ももちろん良い思いも悔しい思いもしてきました。その中で最後に25号車は役目を全うしてくれたとメカニックの顔を見た瞬間に感じました」

 土屋によると、ピット滞在時間を守るべく緻密な練習を重ねてきたが、このレース2だけはエンジンのかかりがいつもより良く、その分だけ早くピットアウト……その結果、規定時間を0.4秒下回る結果になったという。

「(規定時間に)0.4秒足りなかったらしいんですけど、(チームによると)いつもよりエンジンのかかりが良かったと言っていました。いつもエンジンのかかるタイミングがあって、それを見越して練習していましたが、(決勝では)それ以上にエンジンのかかりが早かったらしいので……このクルマは最初“聞かん坊”だったんですけど、最後の最後に大事なことを教えてくれて……今となっては誰かに似ているような気がしますね」

 まさに25号車マザーシャシーが「君たちはまだまだ成長しなければならない」とメッセージを投げかけていたような展開だった。そう感じた土屋は、25号車マザーシャシーに改めて感謝の気持ちを伝えていた。

「最後の最後にそういう気持ちをみんなに経験させてくれた。本当にこのクルマは最後まで役目を全うしてくれたクルマだったなと思います。また自分たちがやるべきことをしっかりと示してくれましたし、本当にこのクルマには感謝しかないです」

 そして、ラストランを終えた25号車の周りには、詰めかけたサポーターらが集まり、レース2終了後もスタンドから惜しみない声援が贈られた。その光景を見て、土屋は改めて多くの人から愛された1台だと感じていた。

「1台という“個体”としてみると、こんなに色んな人に愛されたクルマはないんじゃないかと思います。ドライバーやチームという部分で(みんなから愛された存在は)ありますし、もちろんクルマでも『車種』という単位であると思います。でも、ひとつの個体がこんなに愛されたクルマというのは、僕もレース歴が長いですが、思い当たるものはありません」

「こんなに何かが宿っているんじゃないかと思うくらい……色んなことを教えてくれたし、色んな思い出をくれたクルマです。本当に『ありがとう!』の一言しかないですね」

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