コラム

スーパーGT 第5戦:鈴鹿

来年はGT300の1戦に。“お祭り”色の強い今年の鈴鹿1000kmも存分に味わおう|英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

日本を拠点に活動する英国人ニュースエディター、ジェイミー・クラインによるモータースポーツコラム。今回のテーマは、2026年の鈴鹿1000kmについて。

Jamie Klein

Jamie Klein

編集: 2026/08/30 10:32

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写真:: Masahide Kamio

 来月、2025年に復活して以来2回目となる鈴鹿1000kmが、インターコンチネンタルGTチャレンジ(IGTC)の一戦として開催されます。8月13日に発表されたように、今回は8つのメーカーから計28台のGT3マシンが参戦する予定です。

 エントリーリストが発表された後、日本のファンからかなり不満の声が上がっていることに驚きました。確かに、参戦台数は33台から28台に減っていて、プロクラスのエントリーも昨年の11台から9台へと減少しています。ただ、グリッドから姿を消したチームの多くは中国勢であり、前週に上海で開催されるチャイナGTへの関心が高まっていることも要因のひとつでしょう。

 その一方でグリッドはより日本色の強いものになっています。28台のうち12台は日本のチームであり、昨年より2台増えています。そのうちプロクラスは3台で、昨年の2台から増加しました。また、28台中14台、つまりちょうど半数のマシンに少なくとも1人の日本人ドライバーが乗ることになりますが、これは昨年の3分の1(33台中11台)から大きく割合を増やしています。スーパーGTのレギュラードライバー、とりわけGT500ドライバーのエントリーも増えています。

 日本勢では、昨年参戦したGOODSMILE RACINGとTeam Handwork Challenge(B-Max Racing)がエントリーしていないのは間違いなく残念なことです。また、2輪のレジェンドであるバレンティーノ・ロッシの再来日を期待していたファンもガッカリしていることでしょう。

 しかし私は、こうしたマイナス要素はBMWを除くすべてのメーカー(今年はフォードが新たに参加)がプロクラスに参戦すること、そして日本のチームが総合優勝争い、少なくとも表彰台争いに絡む可能性が高まっていることで相殺されると思っています。

 昨年のレースでは、予選でまずまずの速さを見せた5ZIGENが決勝で後退してしまったのは残念でした。確かにシルバークラスの優勝(総合15位)ではありましたが、同クラスはわずか3台のエントリーだったことを考えても、やや寂しい結果と言えました。

 今年は全員が現役GT500ドライバーというラインアップで臨む5ZIGENは、より力強い走りを見せてくれることでしょう。また、千代勝正が再び日産GT-R NISMO GT3のステアリングを握るということは、それ自体が大きな見どころのひとつです。

 K-tunes Racingもオールプロのラインアップで臨みますが、山内英輝と松井孝允のレクサスRC F GT3での経験が乏しい点からも、過度な期待は禁物でしょうか。ただ、フェラーリ296 GT3 EvoでエントリーするPONOS RACINGは牧野任祐というビッグネームを擁しており、ダークホースと言えます。

 もし皆さんが表彰台の中央に日本人ドライバーが立つ姿を期待しているのであれば、スーパーフォーミュラでのチャンピオン獲得が目前に迫っている太田格之進がおそらく最も有力な候補でしょう。彼はクラフト・バンブー・レーシングからエントリーし、日本のタクシーをモチーフにしたカラーリングのメルセデスAMG GT3 Evoをドライブします。

 上記の要素を抜きにしても、2027年以降に鈴鹿1000kmが大きく変わることを考えれば、今年の大会はファンがしっかり味わっておくべきレースだと私は強く思います。理由はシンプルで、各チームが純粋に勝利だけを目指す鈴鹿1000kmは当面これで最後になるからです。

 来年の鈴鹿1000kmは、SROとGTAがタッグを組み、グリッドの半数がスーパーGT・GT300クラスの車両となる見込みです。そしてこれはGT300のシリーズ戦のひとつと位置付けられるため、チームは優勝だけでなくチャンピオンシップのことも考える必要があります。したがって総合優勝を狙うというよりは、ライバル同士互いに競い合うことに集中するかもしれません。(もっとも、その予想は外れてほしいですが)

 また来年のレースでは、IGTC勢がピレリタイヤを使用する一方、GT300勢はダンロップタイヤを使用します。来季からGT300にワンメイク供給されるダンロップタイヤは、現在使われているコンペティションタイヤよりも1周1秒〜1.5秒遅くなると予想されていますが、昨年の鈴鹿1000kmのポールポジションタイムを基準に考えると、それでもGT300がIGTC組より1、2秒速い計算になります。このギャップをBoP(性能調整)で埋めるとした場合、その調整は極めて難しく、BoPに不満を抱くチームが出てくるのはほとんど避けられないでしょう。

 こうした懸念はあるとはいっても、SROとスーパーGTの結び付きが強まることは、鈴鹿1000kmの将来を考えても正しい方向だと考えています。SROのステファン・ラテル代表としても、昨年鈴鹿を訪れたファンの少なさに失望しており、それが今回の提携に繋がったと言われています。

 とはいえ、今年の鈴鹿1000kmの観戦を迷っている皆さんには、ぜひ足を運んでみることをおすすめします。

 いちジャーナリストとしても、私はバサースト12時間やマカオGPのような、“お祭り”的なレースイベントを取材するのがとても好きです。こうしたレースには、独特の軽やかで活気のある雰囲気があります。参加するドライバーやチームは、チャンピオンシップどうこうではなく、単にそのレースに参戦して勝ちたいという意思で戦っています。

 今年の鈴鹿1000kmは、まさにそうしたお祭り的レースになるでしょう。一方で来年の大会はグリッドのマシンもグッと増えることが期待されますし、より真剣勝負の色が濃くなるという点でまた違った魅力を醸し出すことでしょう。

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