新体制で初勝利、39号車SARD脇阪監督「ヘイキや雄一にとっても大きな一歩になった」
富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT第5戦富士で優勝した#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraの脇阪寿一監督は、今季初勝利に安堵の表情を見せていた。
写真:: Masahide Kamio
2020スーパーGT第5戦富士でGT500今季初勝利を挙げた#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraの脇阪寿一監督は、ドライバーのヘイキ・コバライネンや中山雄一にとっても大きなレースとなったと語った。
昨年はTEAM LEMANSで大嶋和也/山下健太をチャンピオンに導いた脇阪監督は、今季TGR TEAM SARDに移籍し指揮をとっている。最初はチームがひとつにまとまらず苦労したところもあったというが、昨年同様に“自分のためではなく人のためにやれる環境づくり”を構築していったことが今回の結果につながったという。
「このチームに入った時は僕も大変だなと思いましたが、それだけ多くの要求をチームやスタッフひとりひとりにしました。それに対して腐ることもなく付いてきてくれた皆に感謝したいです。この優勝で『頑張って力を合わせて、プロがプロの仕事を自分のためではなく人のためにやれる環境を作れば、成績って自然とついてくるし、レースの神様は見ててくれる』ということを証明できたので、良かったなと思います」
「今回も色んなことがありました。走り始めもクルマは悪かったし、降りてきたヘイキの顔が曇っていました。でも、その辺から色んなことを守りに入らず攻めると決めていきました。何か選択肢があったら、必ず攻めている方を選びました。それを最後までやりきった結果です。本当にドライバーふたりとチームスタッフの頑張りを褒めてやってほしいです」
そう語った脇阪監督は、前半スティントでアグレッシブな走りを見せて順位を上げたコバライネン、後半スティントで見事なトップ快走劇をみせた中山のパフォーマンスを讃えるとともに、彼らにとっても大きなステップとなる勝利だったと語った。
「ヘイキはコロナの影響で最初来られなかったんですが……やっぱり彼も年齢的なものがあって、レースができなくてクルマに乗れない時間が彼を不安にさせたと思います。それを表すようなコメントも時折みせていました。土曜日の公式練習でクルマが乗りにくくて、それを(チームに)訴えていたんですが、僕のところにきたら『もちろん僕の運転もダメなんだけどね』とへりくだったコメントをするんですよね。人として素晴らしい選手だと思いますが、僕としてはもっとヘイキには自信をもってやってほしい。そういう心境にさせている自分たちチームとクルマが情けないからね」
「でも20分間のウォームアップが終わった後は、いつものヘイキに戻ってくれて『寿一、クルマは完璧だ! これでいきたい』と的確なコメントをくれました。レースが始まったら、たくさん抜いてきてくれて、その通りのレースをしてくれました。そういった意味では、コロナでレースができなくて大変だったヘイキに対しても今回は大きなレースになったはずです」
「後半の雄一も後ろから37号車(KeePer TOM’S GR Supra)に迫られた場面で頑張ってくれました。不安な気持ちにはなったと思うけど、自分を信じ、クルマを信じてタイヤのポテンシャルを示し続けてくれました。最後まで焦ることなく走り続けたことが最後の逃げにつながりました」
「その後8号車(ARTA NSX-GT)がきて、14号車(WAKO’S 4CR GR Supra)がきたけど、その辺もキチッとタイヤをマネジメントして最後まで(クルマを)導いてくれました」
「GT500って優秀なドライバーがたくさんいるから、そういった中で雄一はそこまで目立った選手ではなかったと思います。それは優しい性格や色んなことも関係あるかもしれない。でも、こうやってキチッと強いレースをするということを、今回彼は示したので、これは彼のレース人生において、非常に大きな一歩となるレースになったのではないかなと思います」
今回からスーパーGTでも観客を動員してのレース開催となったが、脇阪監督はスタンドからのファンの声援が優勝の後押しになったと語り、次はシリーズタイトルという次の目標に向かって邁進していくと、決意を新たにしていた。
「こうしてお客様が入られた初戦で、クルマとモータースポーツの持つ力で、お客様が喜んでいただいたとするならば、それはそれで僕も嬉しいかなと思います」
「僕はやっぱりお客様に生かされているなと思います。現役の頃からそうなんですけど、皆さんからプラスアルファのパワーをもらうんですよね。今回(の優勝)もそれだと思います。もちろんチーム、ドライバーが頑張ったのもそうですし、トヨタやブリヂストンの力もありますけど、それ(ファンの声援)が大きかったのかなと思います」
「次はトヨタ勢、ブリヂストンユーザーとしてどれだけタイトル争いができて、そこに貢献できるかだと思います。その辺は気を引き締めて、また頑張りたいです」
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