何度もチェッカーが出たこと確認した……塚越広大、“不安”と戦いながらのトップ快走
2020スーパーGT第2戦富士。GT500クラスで今季初優勝を飾った#17 KEIHIN NSX-GTの塚越広大は最後まで不安を払拭できないままトップを走り続けていたことを明かした。
写真:: Masahide Kamio
富士スピードウェイで行なわれた2020スーパーGT第2戦富士。GT500クラスで今季初優勝を飾った#17 KEIHIN NSX-GTの塚越広大とベルトラン・バケットだが、決して楽な展開ではなかったとレースを振り返った。
予選で2番手につけた17号車はスタートスティントを務めたバケットが序盤から#8 ARTA NSX-GTを積極的に追いかけ15周目にオーバーテイクに成功。トップに浮上してからは、他を寄せ付けない力強い走りをみせたバケットだが、決して簡単なレース展開ではなかったと語った。
「(優勝することができて)最高の気分だ。でも今回はタフなレースで(勝つことは)決して簡単ではなかった。開幕戦では予選に苦戦してしまったけど、第2戦では2番手につけることができて、優勝争いをするには完璧なポジションからスタートすることができた。クルマも速くて、レースペースは非常に良かった」
「序盤からずっと8号車を追い抜こうしたけど、相手も速くてなかなかチャンスを見出せなかった。だけどGT300との混走をうまく利用して追い抜くことができた。そこからはプッシュをしてギャップを築いていくことができた。今回ブリヂストンが用意してくれたタイヤも素晴らしくて最後までパフォーマンスが安定していた」
バケットからステアリングを引き継いだ塚越だが、後半スティントも楽な展開にはならなかったという。
「バケットの前半スティントがすごく良くて、トップでギャップも築いてくれた状態で帰ってきてくれました。本当にパーフェクトな状態でバトンをもらいましたが、僕のスティントは彼のようにうまくいかなくてコントロールに苦労してしまいました」
そう語った塚越は、GT300との混走になった場面でペースが安定しなくなるなど辛くなる部分があったという。
「具体的に何が起こっていたのかはチームとしっかり確認をしなければいけませんが、単独で走っている時にはクルマのバランスは良かったんですけど、GT300クラスをオーバーテイクしたりとかで走行ラインを外した時にペースを上げられませんでした。あとGT300と遭遇するタイミングも悪くて、それで後ろとの差も詰まったのかなと思います」
後続との差は当初は22秒以上あったのだが、それが一時は15秒を切るところまで迫られた。途中からはペースを取り戻すことができ、ギャップを維持することができたという塚越だが、彼の頭の中では過去の苦い経験から“不安”の2文字が常によぎっていたという。
「17号車というか僕自身は、過去にもこういう(トップを快走している)時に何か起きたりしたので、最後まで油断できませんでした。後ろとのギャップがあっても何が起こるか分からないレースだったので、最後まで集中して走りました。それこそチェッカーを受けたことを何回も確認したくらいで『もう1周残っているんじゃないか?』と思うくらい心配でした」
「でも、こうして優勝できましたし、昨年からバケットと組んで速さはあったけど勝てなかったので、『今年は勝とうね』と(お互いで)言っていました。それを今年は早い段階で実現できて嬉しいです」
これで20ポイントを獲得しランキング4番手に浮上した17号車の塚越とバケット。鈴鹿サーキットでの第3戦では40kgのウエイトを積むことになるため、塚越は速さだけでなく強さも必要になってくると次戦の展望を語った。
「これでウエイトが重くなって、今度は速さで前に行くのがだんだん難しくなると思うので、強さをしっかりと磨いてポイントを稼いでいかないといけないと思います。僕自身、他のサーキットでは良い結果が出ているのですが鈴鹿に関してはなかなかうまく行かないことが多かったです。こうして良い流れで鈴鹿に臨めるので、最高の結果を出せるようにバケットと頑張りたいと思います」
一方のバケットは、チャンピオン争いを有利に進めていくためにも鈴鹿ではさらなるポイント獲得が必要だと、2週間後に迫った第3戦に向けて意気込みを語った。
「鈴鹿に向けては今回と同じような感じで頑張れればと思っている。鈴鹿は僕も大好きだしNSX-GTとの相性も良いと思っている。チャンピオンシップのためにも少しでも多くのポイントを稼ぐことが重要だから、良いリザルトを目指したい」
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