
スーパーGT第6戦オートポリス、GT300クラスを制した#60 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3のふたりが、レースを振り返った。
オートポリスで行われたスーパーGT第6戦。目まぐるしく天候が変わる難しいレースとなったが、#60 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3(吉本大樹/宮田莉朋)はスリックタイヤで走行を続け、終盤にトップ浮上。劇的な優勝を飾った。
12番手から決勝に臨んだ60号車は、宮田がスタートを担当。途中から雨が降り出す難しいコンディションの中、スリックタイヤで走行を続けた。
宮田は、昨年のレース映像を見直すなどして予習。ウエットタイヤに履き替えるライバルたちも多くいた中スリックタイヤで踏ん張り、吉本へとバトンを繋いだ。
「今年はダンロップタイヤに変えていて、全レースが挑戦という形で挑んでいます。今回はスタートドライバーとして、スティントを引っ張る方向の作戦でした」と、宮田は会見で語った。
「12番手からどう追い上げるか、レース全体をどう戦うかを考え、昨年速かったマシンの映像を見たりして、その戦い方を少し真似して挑みました」
「その作戦がうまくいったというか、天気を含めてコースアウトせずに走り続けることができました。早くピットに入るクルマがある中でも、チームと無線でやり取りをして、ステイアウトを選びました」
「少し賭けの作戦になってしまいましたけど、今週末はクルマもタイヤも自信があったので、それを信頼して戦いました。吉本選手は最初はつらかったと思うんですが、最終的にこうやって勝つことができました」
レース後半を担当した吉本がマシンに乗り込んだ時点で、ライバルたちの多くはウエットタイヤを装着。スリックからウエットに替えるマシンもある中で、飯田章監督はスリックタイヤで吉本を送り出すことを選んだのだという。
吉本はレースを振り返り、次のように語った。
「莉朋は前さえいなければもっと速いペースで走れるくらい順調でした。ストレートがあまり速いクルマではないので、前のマシンをなかなか抜けませんでした。ただ雨の中をスリックで走っている中では莉朋が一番速かったと思います」
「ウエットに替えるべきかというやり取りをずっとしていたので、莉朋にスティントを引っ張ってもらいました。あのタイミングでは絶対にウエット(に合ったコンディション)だったんですけど、コースに出る寸前に飯田監督がスリックで行こうと判断しました。僕はそれに疑問を持っていたんですけど、乗り換え寸前に路面から湯気がでているのを確認したので、スティント序盤はしんどいけど必ず乾いていくと思って、スリックでコースに出ました」
「そのあとすぐにセーフティカーが出て雨もたくさん降ってきたので、”これは終わったな”と思いましたが、路面温度が高くすぐにラインが乾いてくれました。全てが噛み合い、何か欠けていたら勝てなかったと思います」
吉本は今回のレースで、スーパーGT参戦100戦目を迎えた。motorsport.comの取材に応えた際、彼は立ち上げから関わっているLMcorsaで勝利したいと強く語っていたのが印象的だったが、まさに有言実行。終盤に怒涛の追い上げを見せ、自らの手でその目標を達成した。
「LMcorsaの立ち上げ初年度(2014年鈴鹿)は勝てましたけど、翌年からRC Fの開発で悔しい思いもたくさんしてきました」と、吉本は今回の勝利を噛み締めた。
「けど、全てがかみ合えば結果が出せるということを証明できましたし、何よりトヨタのホープである宮田を預かっているのに結果が出せないということをチームとしても心苦しく思っていたので、共に勝利を獲得することができて、ダンロップさんを含め、チームのみんなにありがとうじゃなくて、おめでとうと言いたいです」
今回の勝利で、吉本がドライバーズランキング8位に浮上(宮田はGT500代役参戦があり、ランキング12位)。ポイントリーダーとは16.5ポイント差で、残り2レースでの逆転も不可能ではない。
宮田は、8月に行われたSUGOでの公式テストで”良いモノ”が見つかっていると、自信をうかがわせるコメント。第7戦SUGOでも優勝を目指すと話した。
吉本は、RC F GT3が得意としているSUGOで結果を出し、最も苦手とする最終戦もてぎでは「雨か雹でも降ってくれれば結果に繋がるんじゃないか(笑)」と話しながらも、「運も味方につけて悔いなく、思い切り気持ち良くレースをしたいです」と意気込んだ。
この記事について
シリーズ | スーパーGT |
イベント | 第6戦:オートポリス |
サブイベント | 決勝 |
執筆者 | 松本 和己 |